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 今度は、サーベルウルフの巣に連れていかれるのかな?

 私、餌には向いてませんよ?頑丈なんで、食べられないですよ?

 私どうなっちゃうんだろう。お腹すいたなぁ。

 ぶらーんぶらーんと揺れる手足を眺めながらぼんやりとしてると、サーベルウルフが立ち止まり、ぽとりと私を地面に落とした。

 扱いが雑だよ、ミチェだから怪我しなかったけど、普通の4歳児なら顔面地面にぶつけて鼻血出しちゃうとこだよっ!

 地面にうつ伏せで大の字で寝転ぶ。

 お腹すいたぞ。

 これ、頑丈でも空腹で死んじゃうじゃん。何とかしないと……。あ、そうだ。収納鞄の中にもしかしたら携帯食とか何か入っているかもしれない……。

 ごろりと、転がって仰向けになる。

 もう立ち上がりたくなーい。……おうちだったら「抱っこ」って言えば誰かが抱っこしてくれたのになぁ。

「うっ、うっ、おうちに、帰りたいよぉ……うっ、うっううう」

 ボロボロと泣きながら、鞄の中に手を突っ込んであさる。

 食べる物、食べられる物……。

 なんか葉っぱみたいなのが手に当たったので取り出す。

「……やちゃい、きらい……」

 思わず顔をしかめて手に持った葉っぱを見る。

 いや、幼児の味覚だと、大人が感じる以上に野菜って苦いしまずいのよ。これ、本当にびっくりしたよ。3日泣くくらいびっくりした。

 野菜を食べないとだめだっていう前世知識があるもんだから、健康のためにも食べないとダメだっていう気持ちもあり、でも、どうしてもまずくて食べたくないっていう……。

 でも、今は食べなくちゃ死ぬ。

 ガブリと葉っぱ……大葉みたいな見た目の葉っぱにかぶりつく。

 ぐふぅ、まずい。まずいと思っていた野菜の何倍もまずい……。

 何の葉っぱだろう、これ……。

「でもたべりゅ……」

 ボロボロと涙が頬を伝う。

「ありぇ?」

 なんか、体がぽかぽかする。

 待って、待って、待って、わざわざ収納鞄に葉っぱ入れる?

 これ、もしかして、収納鞄を持っている冒険者が薬草採取の依頼を受けて採取した薬草で、ポーションンの材料になるやつだったり?

 で、ポーションにしなくても、そのまま食べても少し効果があるみたいなやつなのでは?

 本で読んだ!前世の漫画だけど。

 な、なんと!

 ミチェ、生き残れる!ちょっと元気出たら、食べられるもの探して食べよう。木の実とかならきっと美味しい。

 大丈夫、木登りはへたくそだけど、木から落ちても平気だもん。

 ミチェは頑丈だから。

 収納鞄の中からもう一枚葉っぱを取り出して口にくわえる。

 体がポカポカして頭がぼんやりしてきた。

「赤ちゃん落ちてたから、拾ってきたおぉー、飼っていい?」

「は?何度も言ったよな、これ以上何か拾ってくるなって!もう限界、うちでは飼えないから戻してきなさい!」

 あれ?何、この会話。捨て猫拾ってきた子供でもいるのかな。赤ちゃん猫かぁ。さぞやかわいいんだろうなぁ……。

「えー、いいでしょ?飼おうよ、飼おう!」

 子供の声だ。10歳くらいかなぁ?

「だめだ。これ以上は無理だって、何度言えばわかるんだ」

 男の人の声だ。まだ若そうな声だなぁ。お父さんというよりも子供のお兄ちゃんかな?年の離れた兄弟?

「戻したら死んじゃうよ、飼おうよ、ね?ちゃんと面倒みるから、ね?餌もとってくるし、いいでしょ?」

 あ、これ知ってる。結局面倒みなくて、お兄ちゃんが世話することになるやつだ。

「だめなものはだめ!怪我してるなら、怪我が治るまでは置いてもいいけど飼わないから!」

 ふっ。優しいな、お兄ちゃん。でもさ怪我が治るまで面倒みたら、なし崩し的にペットとして飼う流れしか見えないよ?

「で、怪我してるのか?」

「わかんなーい、なんか、ぐったりしてた~」

 ぐったりって、死んじゃうじゃん。

「それを早く言え!」

 お兄ちゃんの慌てた声とドアを開くような音。

「ぎゃーっ!人間っ!お前、どこからさらってきた!」

 え?人間をさらう?ちょ、やばいやばい。奴隷売買とかあるの?

「落ちてた」

「人間は落ちてないんだよっ!魔の森に、人間の子供が落ちてることはないのっ!」

 あれ?

 声が近づいてくる。もしかして、人間の子供って私?

「本当に落ちてたんだもん」

 落ちてたっていうか、落っこちたんだけどね!でも、今のこの状況は落ちてるのかもしれない。

「怪我はないか、怪我……って、なんで毒草食ってるんだっ!」

 は?毒草?

 毒草ーーーーっ!


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