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ロッドさんが危ない。どうしたらいいんだろう?鎧アーントの弱点ってなに?いや、あればロッドさんもその弱点を突くはずだ。
体は固いから関節を狙って攻撃をするとか言ってたけど……それ以外にないの?火が苦手だとか。
いや、火は森を燃やすからだめなんだっけ?
「何をしている、危ないぞっ!」
ロッドさんが私に気が付いて声を上げた。
「ここならだいじょーぶでしゅ」
ロッドさんが剣を振り下ろしながらちらりと私を見て、また鎧アーントに視線を戻す。
「絶対下りてくるなよっ!」
「あい!」
幸いなのは、鎧アーントは仲間が邪魔になることで、動きが鈍い。同時にロッドさんに迫るのはせいぜい4匹程度。
密集があだとなっているのだ。魔法の攻撃もない。
ロッドさんは、4匹……4体……単位は匹で問題ないのか?
ロッドさんはそれくらいの同時攻撃なら難なく除け、倒していっている。けど……。
すごい数、びっくりするくらいの数。いつまでも体力が続くわけがないし、もしミスして怪我をしたらあっという間にピンチになってしまうかもしれない。
私に何かできないのか……と、もやっとしている。
「ミチェ、大きな鎧アーントが見えないか?」
ん?
大きな?きょろきょろと見下ろす。わしゃわしゃと鎧アーント……でっかい蟻の群れのなかなから大きな蟻を探すの?
無理じゃない?と思ったら、あっさり見つかった。
鎧アーントが行列になって集まってきているけれど、その行列の先に、めちゃくちゃでっかい鎧アーントが!
「いちゃでしゅ、あっちでしゅよ」
ロッドさんに指で方向を示す。
それだけでは分かりにくいかと、羽猫のにゃんたんにそっちの方向に移動してもらう。
ロッドさんは、時々上空で私の位置を確認しながら、鎧アーントをなぎ倒しながら私の後をついてきた。
「うわぁっ!こりぇは……」
めちゃくちゃでっかい鎧アーントがぼんぼん卵を産んでいる。
そして、その卵は時を待たずして孵化。数秒後には兵として戦いに参加していっている。
つまり、やっつけてもやっつけてもきりがないっ!
この、でっかい女王鎧アーントを倒さない限り終わらないってことだ。
でっかい女王の上空に到達するころには、すでにロッドさんは女王鎧アーントに剣を向けていた。
けれど、その剣が女王に到達する前に、兵隊鎧アーントが阻む。
兵隊を倒している間に、女王が卵を産み、また兵隊が増えるというどうにもならない状態だ。
これ、ロッドさん一人じゃ無理じゃない?
ロッドさんにまだ疲れは見えないけれど、完全に積んでる。
女王がエネルギー切れでもうこれ以上卵は産めませんってなることってあるんだろうか?それなら、それを待てばロッドさんの勝ち筋もあるんだろうけど……。
「た、たちゅけをよんできまちゅっ!」
ロッドさんが一瞬ハッと顔をあげた。
「すまん、ルーナが知っている。小屋に戻って信号を上げてもらってくれ。それから」
ロッドさんが剣を振りながら、女王鎧アーントのすぐ前まで来た。
「助けが来るまでは何とかしてみせるからな、安心しろ」
もう一度顔をあげにこりと笑った。