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 で、迎えたスキルチェックの日。つまり4歳の誕生日。

「おお、やはり身体強化(受)はあるわね。しかもすでにレベルが8だわ」

 スキルレベル?

「それから、水魔法(生)に火魔法(生)が使えるようだぞ」

 待って、生ってなに。生水は分かる。生火って何?

「それからもう一つスキルがあるわね」

 お母様が、スキルチェックの紙を覗き込んでいる。

 魔法が付与された紙に手を載せると、載せた手の人間のスキルが浮かび上がるというものだ。スキルにもレベルがあるため、時々紙に手を載せて確認するためのものらしい。

 そして4歳での誕生日がくるまで使えないようになっているそうだ。

 その昔、生まれてすぐにスキルを確認し不要なスキルをもって生まれた赤子を捨てる者が増えたため、4歳まではスキルを確認しないことになったんだってさ。

 追放系小説とかもあったけど、赤ちゃん追放は無理だよ。どうにもならない。よかった、4歳で……。って、全然よくない!子供を追放とかありえないからっ!虐待反対!子供を追放した親を罰するべきだよっ!ぷんすこっ!

 と、ほっぺたぱんぱんにしてむくれている私を家族はこれっぽっちも見てなかった。

 スキルの紙を凝視してる。私は文字が読めないからねー。何か文字が浮かび上がってきたなーと思うだだもの。

「えーっと、磨研スキル……あまり有名ではないスキルみたいね。本には書いてなかったわ」

 お母様の「まけん」という言葉に、ちぃにいが驚きの声をあげる。

「え?魔剣スキルですか?それって、スキルがなければ扱えないダンジョンからのドロップ品である魔剣を使えるようになるのでは?」

 ダ、ダンジョンがあるの?魔剣なんてものがあるの?まって、情報多すぎ、多すぎっ!

「いえ、違うわ。磨くの磨の字に、研ぐの研で磨研よ」

 お母様の言葉に心臓がビクンと跳ね上がった。

 それ、研磨ってこと?なんか並びが逆になってるのは気になるけど……。

「床を磨いたりするスキルってこと?」

 お兄様がかわいそうな子を見るような目で私を見た。

「爪を磨くためのスキルじゃないか?ならば王級勤めで王妃様や王女様の爪を磨く仕事もできるかもしれないな」

 お父様がにこりと笑った。

「うふふ、詳細鑑定ができる人に確認してもらわないと磨研スキルがどのような内容か分からないけわね。でも身体強化(受)があるだけで充分よ!おめでとうミチェっ!」

 お母様が私をぎゅっと抱きしめてくれた。

「ありがとうございましゅっ!」

 なんだか分からないけど、よかったようだ。

「じゃあ、皆もスキルレベルが上がったか確認するとしようか」

 そして、私が手を離すとスキルを確認する紙は文字が消えた。

 お兄様が手を置くと再び何やら文字が浮かんでくるけれど、私には文字は読めない。

 ……それよりも、とっても気になるのは……。

「研磨しゅることに特化したスキルが磨研スキルにゃのだとちたら……」

 ぴょんっと、椅子から飛び降りて転ぶ。

 痛くない。すくっと立ち上がって部屋を出ていく。痛くない!ありがとう身体強化(受)!

 すたたたたー!

「お嬢様っ、お待ちください!」

 部屋の外に待機していた侍女さんが後ろをついてきた。

 うん、幼女の足だから走ってるつもりでも大人の早歩きだよっ。侍女は私のすぐ後ろにぴたりとくっついている。

「どちらへ?」

 私は、まっすぐ指を前に突き出した。

「裏山ですか?何しに?」

 立ち止まり、振り返ってふんぞり返る。

 ぽてん。

 上体をそらしすぎて後ろに転んだ。

 痛くない。ありがとう、身体強化(受)……!いや、まてよ?

 痛くないから懲りずに転んだりしてる可能性?……ま、気にしない、気にしない!

 侍女さんが慣れた手つきで立ち上がらせてくれた。

「石を探しにいきましゅ!」

「石?……えーっと、石、ですか?」

 うんと頷く。

 決めた。私は……鍛冶師はあきらめた。

 だから……。

「ミチェは研ぎ師になるっ!」

 腰に手を当ててふんぞり返った。

 ぽてん。

 砥石を探しに険しい山を分け入って……というのはさすがに4歳(昨日までは3歳)には無理なので、おとなしく屋敷の裏の山のふもとをちょろちょろとしていた時だった。

 大空から、ものすごいスピードででかい鷲が滑空してきて、私を鷲掴みにして飛び上がったのは!

「お嬢様ーっ!」

 

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