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「危ないからそこにいろ」

 ロッドさんは柵に突き刺した木の枝を剣を出してジャンプしながら切り落としていた。

 ……いろいろ言いたいことがある。

「なじぇ、風刃ちゅかわない……」

 高いところの枝を落とすなら、飛び上がって剣で落とすより便利だよね。

「ん?ああ、下から魔法で枝を落とすと、落ちてきた枝をよけないといけないだろ?」

 なるほど。

「葉っぱも落ちて視界をふさぐし、落ちた枝で足場が悪くなり、時々痛い目を見る」

 なるほど。落ちてきた枝が頭に当たるとか、かな。それは常人ならば痛そうだ。いや、打ち所が悪かったら死ぬのでは?

 そこそこの大木で、枝も結構太くて、高い位置から落ちてくるんだし。

 ……。

「なじぇ、立てる前に、横になっているときに枝をおとしゃない……」

 ふつうは、倒れている状態で枝を落とすよね?

 テレビで見たことある。

 倒した木をそのまま立てるのなんて、クリスマスツリーにするもみの木くらいじゃないの?

 ロッドさんが目をかっぴらいて、私を見た。

 え?何その顔……。

「ミチェは賢いな……」

 つぶやきが聞こえた。……聞かなかったことにする。できた幼女である。

 というか、ずいぶん距離が離れているのに、普通に会話できちゃうのはなんでだ?つぶやきまで聞こえるとか。もしかしたら、声を風に乗せるみたいな風魔法の何か?

「どうちて、こっちとそっちかえたにょ?」

 枝打ちを終えると、ロッドさんは引き抜いた丸太のところへと歩いてきた。

「ああ、切ったばかりの木は生木といって、水分が多くてすぐには使えないんだ。柵につかってあった木は、乾燥していて、すぐに使える」

 知ってる。薪にするときとか、生木を燃やすと煙がすごぉく出て大変だって。

 もしかして、柵であり、木を乾燥させるためでもある一石二鳥方式なの?

「ロッドおにーたん、かちこい」

 あ、どや顔した。

「【風刃】」

 ……そして、ロッドさんは、ワイバーンハムを薄切りにした時のように、丸太をスライスして、あっという間に木の板を作りだした。

 わー、便利。

 それを小屋の中に運び込むと、血の跡がついていた床板を引っぺがし、今作ったばかりの板を張り替えた。

 わー、すごい……。

「よし、これでいいだろう」

 引っぺがした板をロッドさんが眺めた。

「これ、どうするかな、薪にしてもいいが、ミチェが磨いてくれたおかげでこんなにつやつやしてて綺麗だもんな、燃やすのはもったいないか……」

 ロッドさんが、私を見た。

「ミチェ、この木の板、裏側も磨いてくれるか?」

「あい!」

 恩返しになるなら何だってします!嘘です、何だっては無理。

 でも、磨くのは任せて!どんっと胸をこぶしで叩いて請け負う。

 恩返しになる上に、経験値が入ってレベルアップできるなんて一石二鳥すぎる。

 床に並べられた板は4枚。私の身長の2倍くらいだから、たぶん2メートルくらいで幅が30センチといったところか。

 ごしごし。おっと、スキル磨研発動!

 板を1枚磨いたらパフン≪経験値4取得≫と音が流れた。

 床板だったときは、板の継ぎ目をまたいで2枚の板を磨いても1回だけだったのに。

 ばらばらになると、板1枚ごとに経験値が入るんだ。

 なるほど。そういえば、爪を磨いたときも爪1つではなく、すべての足の爪をすべて磨いたときに経験値が入った。何らかのまとまり単位ってことなんだね。ふむふむ。

 と、スキルの検証をしながらあっという間に板4枚磨き終わりました。

 4枚の板を磨いたことで合計で16の経験値が入った。……まだレベル3には上がらないけど、1から2に上がるよりもたくさん経験値が必要という定番のあれなのかな?

 4枚の板、裏側はぴかぴかのつやつや。魔物の汚れもないので、それこそ真新しい木の板の色。とはいえ、汚れている方も床からばらしてしまうと模様も味があって見える。人型にするにはパズルのように板を組み合わせなければならないし。

 ロッドさんは部屋には姿が見えない。

 どこだろう?


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