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「そうだ。解体するために外に出したんだが、どうせ解体作業するならまとめてやった方がいいから、少し追加で狩りに行ってもらってるんだよ」
まぁ、まとめてやる方がいいのは分からなくもない。料理だって、1食分作るより、まとめて何食か分作ったほうが圧倒的に楽だ。包丁出すのも野菜切るのも包丁あらって片づけるのも、小分けにすればめんどくさい。
でも作り置きは、冷蔵庫に入れられるとか電子レンジで温められるからできるけど、そうじゃなきゃ限界があるよね?
「そんなにたべられにゃい……」
自分のお腹をさする。
幼児体型なのでぷっくりしてるけど、大食いというわけではない。
「あははは、そうか、ミチェは知らないか!」
ロッドさんが大笑いしている。
「食べるためじゃないんだ。解体して、素材に分けてギルドに買い取ってもらうためだ。まぁ、少しは食べるがな」
「にゃるほど」
腕を組んで頷く。
ギルドに捜索依頼がどうのとか言っていたし、ギルドがある世界。
前世でもギルドといえば、魔物の討伐依頼に素材採取って定番だったよね。ま、物語の中だけど。
そして、冒険者ギルドといえば……。
剣を持った人がいっぱいいるところ!もしかしたら併設で初心者用の武器を売ってる売店とかあるかもっ。
剣が呼ぶ、私を呼ぶ!ギルドに来いと私を呼ぶ!
「ミチェもギルド、行く、持ってくのてちゅだう」
家を出ようとドアへ向かうと、抱っこされた。
むぅ。
「ありがとうな、ミチェ。大丈夫だ、鞄に入れちまえば大した荷物じゃないからな!」
ぽんっとロッドさんがウエストポーチを叩いた。
くっ。失敗。
「手伝いならこっちお願いしてもいいか?」
すとんと部屋の真ん中に降ろされる。
そうだ、恩返し。
手伝いが必要というなら目いっぱい働いて恩を返そう。働かざる者食うべからずって言うし。
まだ踊りは練習不足なので。別のことで恩を返す!
「あいつらが家の中に持ってきたからな、ちょっと汚れちまった。
あ……。
確かに床に魔物から垂れた血が広がっている。
しかも、私が寝転んでいたところは血がついてなくて、人型がくっきり浮かんでいて、殺人現場みたいになっている……。
板張りの床だ。血がしみこんでしまって、これはとれないかも。
殺人現場の模様の床だと思えば……って、思えるか!
私のせいでこんなことになって申し訳なくて夜も寝れん!昼寝はする!幼女だから!
ロッドさんが運んできた水の入ったバケツに雑巾を突っ込んで、ぎゅーっと絞る。
床掃除、それは床磨き。
つまり、私の出番!
雑巾を広げ、ぼたぼたぼた。
雑巾から水滴が落ちる。
殺人現場に雨が……。
「あはは、ありがとうな、ミチェ。ほら雑巾絞ってやる」
幼女の握力じゃ、雑巾がしっかり絞れなかった。手伝いさえろくにできず、仕事を増やしているような気がする。
「ミチェ……磨くの得意……」
「あははは、じゃあ、頼んだ」
むふぅーん。刮目せよっ!
我が、磨研の力を!
スキル研磨発動!ごしごし。
これで、しみこんだ魔物の血液や体液も綺麗さっぱり……。
ん?