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 何をしよう。

 まずは、おうちの中を探検だ!

「ミチェ探検隊、ちゅっぱちゅでしゅ!」

 立ち上がってふんすと鼻息を出す。

 まずはこの、リビングらしき場所。大きな鍋がつり下がっている暖炉。今は火が入っていない。

 それから大きなテーブルに、椅子が4つ。壁際の棚。角ウサギと羽猫とサーベルフェンリル。以上。

 シンプルな部屋だ。

 20畳ほどの部屋。丸太小屋みたいな作りで、ドアが2つ。一つは私が寝ていた部屋。あとドアがない出入口が一つ。

 そっちに行くと、台所だった。土間。

 ってことは、残りはもう一つのドア。

 開ける。

 ベッド。以上。

「にゃんで、こんなに物がないにょ?」

 びっくりして床に両手をついた。

 ぶらりと揺れてポシェットが視界に入る。

「……しょっか」

 収納鞄なんて不思議なものがある世界だ。

 ロッドさんも収納鞄とかもしかしたら収納魔法とかなんかそういうのが使えるから、わざわざごちゃごちゃ部屋に置いておいたらりしないんだ……!

「魔法?」

 そうだ!

 まだ私、スキルチェックしてから「身体強化(受)」の頑丈しか使ってないよ!

 水魔法(生)と火魔法(生)と研磨……じゃない磨研スキル使ってない!

 使ってみなくちゃ!

 磨くと研ぐの字。研ぎたいけど、剣はないから、試してみるなら磨くほうだよね。

 磨くと言えば、歯。

 歯磨き……。

「歯ブラシ、にゃい……」

 がっかりと肩を落とす私を、慰めるようにサーベルフェンリルが顔を寄せてきた。

「あった!」

 ピカカーンとひらめいた。

「歯ブラシはにゃいけど、磨ける歯はありゅ!」

 テンテテーンと、あれっぽい音を脳内で再生させながら、ポケットからハンカチを取り出す。

 しかも、磨きがいのありそうな立派な歯!

 がしっと小さな幼女のおててでサーベルフェンリルの歯をひっつかんで、シルクのハンカチできゅっきゅと磨き始める。

 うん、磨くにはシルクのハンカチは優秀だよね、でも手をふくときとかは綿がいいな。

 あ、まって、サーベルフェンリルの長い牙、これがサーベルよね?

 サーベルって、つまりはヨーロッパの湾刀のこと。それに似た形の長い牙を持つからサーベルフェンリルと名付けられた……。

 つまり、歯だけど刀剣。

 サーベルフェンリルの歯は、刀剣。

「ミチェ、研ぎ師ににゃのだ!」

 いつのまにか、サーベルフェンリルは床にぺたりと伏せて、私が歯磨き……サーベルを磨きやすいように顔を傾けてくれている。

「ごしごしごーし」

 スキルは意識しないと働かないのか意識しなくても自動で働くのか分からないので、スキル磨研発動と、心の中で唱えてみたりしながらごしごごし……。

 しばらく磨くと、何ということでしょう!

「ぴかぴかー!つるつるー!」

 磨く前は、少々ざらざらしていた表面がつるつるのぴかぴかになった。

 やり切った満足げな顔をしてふんぞり返ると、ペタンと後ろにしりもちをつく。

 と同時にパフッと小さな音が頭に響いた。

≪経験値4取得≫

「へ?」

 きょろきょろと周りを見回す。

 今の声、言葉、音……頭の中に響いただけ?

 経験値?

 それって、ゲームとかで魔物を倒すと得られるあれ?あと漫画とかで訓練とかでも得られたりするあれ?

 それでもって、ためるとレベルがアップする……。

「あ!ちょうだ!ミチェ、身体強化レベル8だっていわれちゃ」

 転びまくって経験値貯めてスキルレベルが上がったのか、それとも初期レベルが高かったのかは謎だけど……。どちらにしても、上がるっぽい言い方だったよね?

「こりぇは……」

 レベルを上げられるとなれば、上げるしかないでしょう!

 現状研ぎ師になると言っても、鍛冶屋へ弟子入りできるわけでもない。だからといって、何もせずにボーっと生きてたら、すぐにお年寄りだよ!下手したら、

 とりあえず、磨けばレベルが上がるの?なら……。

 磨くべし!

 ギラギラした目で周りを見回す。

 ターゲットロックオン!

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