いけない炎は消えず!!
エリシア令嬢が主役の物語も書いています。是非見てください。
さようなら婚約者! 実家からも追い出された私は洞窟で暮らします! → https://ncode.syosetu.com/n1762ix/
「イザベラさん、私はどのようにすればよいでしょうか?」
質問をしてきたのは、ヨーゼフ家の令嬢のエリシア令嬢であった。
エリシア令嬢には、幼き頃に婚約をしたラートス伯爵という婚約者がいた。やがて時がたち、エリシア令嬢はラートス伯爵の屋敷に入り、共に生活することになった。
しかし、エリシアはラートス伯爵の屋敷に入ってから、厳しいしつけを教わってばかりで、ラートス伯爵や伯爵の母君と関係がうまくいってないらしい‥‥‥
そこで、エリシア令嬢はラートス伯爵と伯爵の母君とどのように接すればよいか、ラートス伯爵とも親しくしていて屋敷にたびたび訪れていた私ことイザベラに相談しに来たのである。
「そうね、ラートス伯爵と伯爵の母君はそろってお花の話をするのが好きなの。だから、時間の合間にラートス伯爵や伯爵の母君とお花の話なんてしてみるのはどうかしら?」
「そうしたいところだけど‥‥‥厳しいしつけを屋敷の者から受けていて‥‥‥ラートス伯爵や伯爵の母君と話す時間が少ないわ‥‥‥それに、お花の話をするのには花の勉強も必要でしょう‥‥‥そのような時間は少なくて‥‥‥できないわ。」
「そうなの‥‥‥それじゃあどうすればよいかしらね‥‥‥‥‥‥ラートス伯爵と伯爵の母君があなたの得意とする知識の話にも興味があればよろしいのだけどね‥‥‥」
「それは私も思っていたことですわ。私の得意の知識である薬草や毒、トラップなどの知識でお話ができればどれほどうれしいか‥‥‥‥‥‥」
エリシア令嬢は幼き頃より不可思議な行動をなさることがあった。屋敷内におらず、外によく出てはトラップなどをしかけて、従者たちや両親をはめたりなどされていた。
その他にも、薬草や毒に関する資料をよく見られていて、勉強して得た知識を従者に試すときもあった。従者はよく実験台にされて、眠らされたり、しびれたり、嘔吐するときもあったという。
これらの行動は屋敷内だけでなく、貴族内でも知れ渡ることになり、従者おもにメイドとしてもエリシア令嬢には来てもらいたくないという貴族の者達は多かった。
エリシア令嬢の両親もできれば、奇妙な行動をとるエリシア令嬢を家から追い出したいと思っていたらしい。しかし、ラートス伯爵との婚約もあって追い出すことができなかったらしい。
逆に言えば、ラートス伯爵との婚約が破棄されるようなことがあれば、家から追い出される可能性があるということである。
私はエリシア令嬢と薬草の知識で意気投合した。よき相談を受ける間柄になったため、エリシア令嬢とラートス伯爵との婚約をうまく手引きして、婚約破棄という最悪の事態を回避しようと思っていた。
しかし、このことに関しては、どう助言すればいいのかわからず、私は黙っていたままであった。
そして、時間だけが経った。しばらくして、私とエリシア令嬢の元に、ラートス伯爵が訪れた。
「やあエリシア、それにイザベラ令嬢長い事二人でお話をされていたようだが、楽しまれましたかな」
「え‥‥‥ええ、エリシア令嬢と楽しいお話をすることができましたわ。ねえ、エリシア」
「はい‥‥‥イザベラ令嬢のいう通り、楽しく有意義な時間を過ごしました。」
「そうか、それはよかった。エリシアは最近元気がなくなっていたようだったから、楽しい時間をすごせて私は嬉しいぞ。それではもう遅いし、イザベラ令嬢との話合いはここまででよいか?」
「はい、イザベラ令嬢との話し合いの時間を作っていただき感謝します。」
「うむ、では、エリシアよ、屋敷のことについて教えておきたいことがあるらしいので、教育係のもとにいってもらってもよいか」
「はい、わかりましたわ。すぐ教育係のもとに向かいます。」
そういって、エリシア令嬢は教育係の元へと向かっていった。部屋には私とラートス伯爵が二人きりとなっていた。
「イザベラ令嬢、私の婚約者であるエリシアの話を聞いてくださり感謝する」
「いえ、よき話を聞けましたので、私こそ感謝でいっぱいです。」
「そうか。そう言ってくれるとありがたい。ところで、前から聞きたかったことだが、イザベラ令嬢はお花に関する知識が豊富だ。もしよろしければ花に関して私はもっとお話をしたいと思っているのです。話にのってくれますかな?」
「え‥‥‥ええ、帰る時間まででしたら大丈夫ですわ。」
こうして、私はラートス伯爵とお花に関して長い事話をしていた。ラートス伯爵の花に関する知識の豊富さにはさらに感嘆としながらも楽しく有意義な時間を過ごした。
「おや、楽しく話していたらもうこのような時間ですな。」
「そういえば、そうですわね。楽しいお話で時間が過ぎていくのを忘れていましたわ。では、私はもう帰らなくてはいけませんので、失礼しますわね。」
「分かりました。では、玄関までお見送りをします。」
こうして、ラートス伯爵に付き添われ、お花の話をしながら玄関までお見送りをしてもらった。
その間には、教育係の部屋で厳しく教わられていたエリシア令嬢の姿も確認できた。エリシア令嬢の方は忙しくて、私には気づいていなかったようである。
かくして、私とラートス伯爵は、玄関についた。玄関の前にはすでに私の家の者が馬車で迎えに来ていた。
「すごく楽しい時間を過ごせました。では、これにて失礼します。」
私は本当に楽しい時間を過ごせたと思い馬車に乗ろうとした。その時であった、ラートス伯爵が近くまで来て、馬車の階段をうまく上がれるように、手を持ってくださったのである。
私は手を持ってくださり、馬車に簡単に乗ることができた。
「ラートス伯爵‥‥‥そのありがとうございます。」
私は照れながら感謝の言葉を口にした。
「いーえ、これほど楽しい時間を過ごさせていただいたのでこれくらいするのは当たり前です。」
そういうとラートス伯爵は馬車から離れた。
「いろいろとありがとうございます」
私は礼をした。そして、馬車はそのまま出立した。ラートス伯爵は私の馬車が見えなくなるまで玄関先にいた。
私はラートス伯爵の姿と楽しい時間を過ごすことができて、何やら熱いものがこみ上げてきたのであった。
その日以降も、ラートス伯爵の家に訪れるたびに、エリシア令嬢の相談に乗ったり、ラートス伯爵と花の話をよくしていた。
ラートス伯爵とは花の話し合いだけでなく、庭の庭園を一緒に見たり、軽いお食事を共にしたりしていた。それをするたびに私はラートス伯爵に対する熱がさらにこみ上げるようになっていったのである。
エリシア令嬢とは、よく相談に乗り話を聞いた。話によるとどうやら、厳しいしつけをまだ受けているようで、話を聞いていて大変さを感じた。
それどころか、私がラートス伯爵と楽しく話していることを知らないエリシア令嬢に対して、不憫さを感じていた。でも、エリシア令嬢が知った所で、ラートス伯爵との話し合いをやめるきにはならなかった。
あれ‥‥‥なんでか‥‥‥エリシア令嬢に対して‥‥‥対抗意識が出ている‥‥‥私はもしかして‥‥‥ラートス伯爵のことが‥‥‥
そのような感情を抱きながら、またラートス伯爵の家に訪れた。エリシア令嬢の方は、厳しいしつけを受けているようで相談には乗れなかった。
そこで、ラートス伯爵の部屋で花の話し合いをしていた。とても楽しかった‥‥‥そして、ラートス伯爵がとても凛々しく見えていた。
いくらか話していると、ラートス伯爵がある話をしてきた。
「イザベラ令嬢。今日も私と話をしてくれて感謝する。」
「いきなりどうしたんですか。いつもと同じく話をしているだけではありませんか。」
「ああそうだ。だが、私は今日折り入ってイザベラ令嬢に話さなくてはいけないことがあり、このようなことを言ったのだ。」
「私に話さなくてはいけないこととは?」
「うむ。あなたとはこれまで花に関して楽しく有意義な話をしてきた。あなたといる時間はとても愉快な時間であった。エリシアではここまで有意義な時間は過ごせぬ。私としてはこの有意義な時間をもっと増やしていきたいと思うようになってしまったのだ。」
「それは‥‥‥つまり‥‥‥‥‥‥」
「うむ。私はあなたが好きになってしまった。よければずっと一緒に近くに居てはくれまいか」
それは唐突な告白であった。私は突然の告白に驚いていた。それと同時に嬉しさと胸から熱がこみ上げていた。
「いけませんわ、ラートス伯爵。あなたはエリシア令嬢と婚約をしております。わたしと一緒になりたいなどと‥‥‥」
「しかし、私はあなたと一緒にいて、とても楽しく胸から熱がこみ上げてきた。一緒にいたくて仕方ない。それに、エリシアとは婚約はしているが、関係性は最悪だ。何より、奇妙な行動をよくとって不気味だ‥‥‥」
「奇妙な行動とは?」
私は気になり質問してみた。
「うむ。エリシアは厳しいしつけを受ける時間が多いのだが、合間をぬって、なにやらこそこそとうごいているのだ。」
初耳だ。エリシアからはそのような話は聞いていなかった。
さらに、ラートス伯爵は話を続けてきた。
「しかも、それだけではない。エリシアが来てから、私の家の従者がいつの間にか気絶していたりすることがあるのだ。さらに母上に至っては、昼間に突然眠りにつき、しばらくの間寝ている時があった。母上はあまり昼間に眠ることなどなかった。エリシアが来てから、奇妙なことばかり怒っているのだ。」
「正直言って、私はあのような奇妙なことばかり起こすエリシアを好きにはなれない。それどころか、エリシアにはその奇妙な行動から悪い噂があるため、今すぐにでも婚約を破棄したいと思っている。」
ラートス伯爵からエリシアとの婚約を破棄したいという話を聞いて私は驚かされた。
「そこまで言われるとは‥‥‥ただ私はあなたと付き合うことができませんわ。理由は、エリシア令嬢とは良き相談相手であるためです。」
「それでも、私と一緒になってはくれまいか。あなたは私と話していて、楽しいと思ったり胸から熱がこみ上げては来なかったか。私はその思いに忠実でいたい。あなたは、どうなのだ‥‥‥」
「わたしは‥‥‥‥‥‥」
少し考えたあとで答えを出した。
「私もあなたと一緒に話をしていて、もっと一緒に居たいと胸から熱がこみ上げていました。でも、それでも‥‥‥私はエリシアを裏切れない‥‥‥」
その時だった。なんと、ラートス伯爵が私を抱きしめてきたのだ。
「いけませんわ。ラートス伯爵‥‥‥このようなこと‥‥‥」
「分かっている。分かっている。ただこの気持ちを抑えることなどできぬのだ。私と一緒にいてくれ‥‥‥」
ラートス伯爵がさらに強く抱きしめてきた。私は抱きしめられて、胸の鼓動がひっきりなしに鳴り響いていた。熱もこみ上げていた。
「で‥‥‥でも‥‥‥このようないけないことをしては‥‥‥」
私はいけない感情を抱いてはいけないと思ったが、それに反して、さらに胸から熱がこみ上げてきた。もう鳴りやむことがなかった。
「イザベラ、あなたの胸からも鼓動を感じるぞ。あなたも私を愛してくれているのだろ。だったらこのまま添い遂げよう。」
部屋の奥にはベットがあった。ラートス伯爵はベットに私を連れて行こうとしている。いえ、一緒に向かっていた。
そして、ベッドにつき、一緒に横になった。
(ああ‥‥‥私はなんていけない女なの‥‥‥でも、この気持ちは抑えられない、抑えたくないの。エリシア‥‥‥‥‥‥ごめんなさい‥‥‥)
いけないとは思っていても、この胸から高まる熱き炎は収まらず、そのまま私はラートス伯爵と一緒になった。
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