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作者: 川辺凪


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 第三十二期女流名人戦第五局は、私の先手ではじまった。戦型は中飛車。最も得意とする戦法である。勝とうが負けようが、私は自分から動いていく展開が好きだ。受けが必要なときもあるけれど、なるべくなら自分から攻め込んで、優勢を呼び込みたい。中飛車はそれが可能な形である。

「お願いします」

 対戦相手となる女性が、そっと頭を下げる。二見頼子女流名人。当時最年少記録であった十七歳での女流王位奪取を皮切りに、二十代から女流棋界で次々とタイトルを獲得し、長くトップを走ってきた棋士だ。私も女流棋士を志した小学生の頃から棋譜を並べて勉強してきた目標の一人だ。

 だけど、ここ一年ほどは不調で、この一つまえのタイトル戦では白令を一勝もできず失っている。

 そんなことを口に出して言えるはずもないが、タイトル戦の開幕前は、分があるのは私の方だろうと思っている部分が、心のどこかにあった。三ヶ月ほど前まで、公式戦で十三連勝を達成した。もちろんこれまでで最高連勝。勝ったことがモチベーションになり、勉強に熱が入る。勉強に熱が入ったことでより勝てる。この良いリズムのまま、女流名人への挑戦権を得ることができた。将棋が楽しくてたまらない。盤の前に座るたびに、そんな昂揚感を感じて心地良かったものだ。

第三局を指す前までは。

女流名人戦は全五局。先に三勝した方が次の女流名人となる。

言ってしまえば、第一局、二局と連勝することができた。どちらも難局とはいえ、勝負所で自らの読みを信じて思い切った判断をして、その結果得た優位を生かして押し切る、という私の勝ちパターンに持ち込むことができたことが、心理面で大きかった。

 しかし、第三局だ。

 私は何もさせてもらえず、完全に叩きのめされた。

 これを勝てば初タイトル。その事実は、自分の中で邪な慢心を生んでしまっていたようだった。中盤で不用意な手を指し、つけ込まれての敗北。その一手を観戦していた長谷倉棋王は、「心の隙が生んだ凡手」と評したことで、インターネット上で炎上した。

 言われなくても、そんなことは解っている。

 それでも、流れを変えてしまうには十分な過ちだった。第四局も勝てば女流名人獲得となるのは同じだったが、力のこもった応酬の末、力尽きるように頓死して敗北した。

 3六歩。中飛車の定石でよく見る一手をそっと指したのと同時に、胃の奥がぴりりと痛んだ。腹痛を恐れて朝食を抜いたのに、対局開始から十五分で胃痛がぶり返してくる。

 奥歯を噛みながら、二見女流名人の次の手を見守った。

 3三銀。急戦志向の手で、数手先にはいきなり激しい戦いになる変化もある。6四にいる相手の銀が、いつでも自陣にいる角を狙っていた。先手中飛車には超速4六銀という有力作戦で対抗するのがここ数年の流行で、私もかなりの経験がある。

 一つの錯覚であっという間に大劣勢になる。それは相手も同じで、お互いにハイリスクハイリターンな駆け引きがあるのが特徴だ。しかし、そんなぎりぎりの展開が好きでもあった。攻めをすれすれでかわし、反撃に転じることに得意意識があるのだ。気持ちいい。そんな展開を愛してると言ってもいいほどだ。6六歩と敵銀の進出を見越した手を指す。牽制のような手だが、いきなり六筋に飛車をずらす手もあり、含みも多い。

 これもまた、定石のようなものだ。

 昼食休憩に入る頃には、局面は攻め合いの様相だった。駒得をしているのは先手である私。だけど、その代償に二見女流名人は急所に銀を打ち込み、さばいて活用を図る。先攻を許しつつも、カウンターとなる5四歩を指したところで十二時となった。

 プロ棋界でも女流棋界でも長らく流行の形。全てを精査しきるのが不可能とはいえ、私も事前研究と経験は豊富だ。

 局面は互角。しかし、昼休憩の直前の一手に、手応えのようなものがあった。根拠はない。けれど、ぱっと見た感じ、自分がより良い形勢にできそうだという直観のようなものが閃いている。

 午後一時半、六十一手目。二十五分の長考で、3三歩と指した。指した瞬間、指先にぴりりと電撃のような感覚が走る。

 これはいい手なんじゃないか。

 胸のうちの自分が呟いた。

 いわゆる「焦点の歩」というやつで、玉で取るのは戦場に近づくので論外として、同馬では効かされになり、同桂では桂頭を狙って3五歩と突くのが見た目以上に厳しい。二見女流名人は眉を厳しく寄せながら同馬と指した。6六の馬は好位置だが、それ以外で取ると悪くなりそうなのでやむを得ない。

 そこで6四桂。数手前から読んでいた筋の攻めだ。タダ捨てだが、取ると5二馬で、敵玉のすぐ近くに馬ができて、おまけに金も取れるのでこれははっきり優勢。よって4二金と寄るしかないが、そこに6二金と寄っていくのが流れで、先手の攻めを受けきるのは容易ではない。

 二見女流名人が慌て気味に1五歩と突く。勝負手だと、すぐにわかった。先手玉は飛車を4八に寄っている分、このままでは右辺の逃げ道がない。

 唾を飲み、和服から出た手を胸にそっとあてる。

 いつの間にか、呼吸が荒くなっていた。こういうときは落ち着けないとミスを犯しやすい。

「瀬戸内女流二段、残り一時間です」

 記録係が静かに告げる。耳に届いてはいるけど、その声ははるか遠くで鳴っているかのように聞えて、意識していないと頭に入らない。

 まだだ。頭の中で呟く。荒い呼吸は、少し静まってきたようであった。

 指をしならせ、決断の一手を指した。5二桂成。攻め合いに強引に持ち込む一手だ。すかさず1六歩と取り込まれる。部分的には、先手玉は非常に危ない。受けなければ詰む、いわゆる詰めろの形になってしまっている。

 けれど、4二成桂で金を取る。これがまず王手なので、同馬と取るよりない。だがそこで良い手がある。

4三飛車成! 飛車と歩の交換だが、同馬、同角成、同玉となると後手玉には守りの駒がまったくないまま危険地帯の中心まで誘い出されてしまう。これははっきり先手が勝ちやすい形だ。

 それに、4八の飛車がいなくなったことで、先手玉は受けの手を指さなくても詰まなくなっている。これが、十手程前から考えていた攻めの形だった。

 実戦もそのように進んで、最後に5五桂。これが勝負の決め手級の一手だ。

 優勢。私は奥歯をぎゅっと噛みしめる。後手玉は持ち駒こそたくさんあるものの、3一の飛車がお荷物で、粘る手段が難しい。一方の先手玉はまだ詰みに持ち込むには一手足りない。

 お互い持ち時間を使い切って、一分将棋の状態に入った。三時間の持ち時間をすべて使い切り、あとは一分以内に指さなければ負けとなる。

 焦りの気持ちが湧きあがるのを抑えながら、盤に食らいつく。激しい駒の取り合いが行われ、最後に後手が1六歩と桂頭に打ってきた。次に1七歩成から先手玉も危ないが、持ち駒が豊富なので耐えきれる。対して後手玉は4三桂成と指すと、受けがないように見える。

 数分前から幾重にも読んできたお互いの詰み筋。どんなに先手玉に王手をしても、持ち堪えられるはず……

 燃えさかる脳内を少しでも冷まそうと、湯飲みに残っていた、冷めたお茶をぐいと飲み干す。その瞬間に二見女流名人が指したようだった。

 湯飲みを脇に置きながら、目の前の盤に向きなおる。

 二見女流名人が指した手は、2一玉。後手玉にはもはや受けがないと見切っていた後手が、受けの手を指した。解りやすい一手詰めを回避しただけの、受けになっていないような手だが。

 どういうことだ。

 「それ」に気づいた瞬間、私の右手の指先は小刻みに震え始めた。

 詰まない。誰がどう見ても直観的に詰みそうな先手玉は、どんな王手で迫ってもぎりぎりで逃れていた。

 2一玉を読んでいなかったわけじゃない。まず4一飛車と打つ。合い駒は無駄なので逃げるしかないが、1二玉は1三歩が好手で、ぴったり詰んでいる。問題はいったん2二玉と寄る変化だ。持ち駒が豊富なぶん、変化が多い。すぐに一四桂と桂馬で王手するとその桂馬が邪魔で詰まなくなるが、いったん4二飛車成と飛車の位置をずらしてから上に追っていけば詰むと考えていた。

 けれど、そうじゃなかった。最後に先手玉の頭上に追っていくと、1五に打つ駒がないのだ。前に効く駒があと一枚でもあれば後手玉は詰むのに、先手にはその一枚がない。歩を打てば詰みだが、これは打ち歩詰めと言って反則。よって王手せず、1四桂と指せば必至で、後手玉は部分的には一切受けがないが、これは1七歩成からこの1四の桂馬を抜く手順があり、明らかに先手は勝てない。つまり。

 不思議だった。一手前、つまり一分くらい前までは、どう考えても私の勝ちだと思いこんでいた。それなのに、この、ただ玉を横にずらしただけの一手を指されてから見ると、どう考えても勝つ方法がない。私に駒がもう一枚あれば、あるいは駒が一枚でも横にずれていれば先手が勝っている。それなのに、今の盤上の駒の配置は、美しさを感じるほどに先手の勝ちを拒んでいた。何をしても、本当にすれすれのところで後手玉は助かっている。

 なんだかマジックでも見せられたような気分だった。悔しさはなく、ただ狐につままれたような妙な気持ちだった。一瞬だけ、ちらりと二見女流名人の方を見る。

 神経質そうな美人は、眉をぎりぎりまで寄せた物凄い形相で盤上に集中していた。

 秒を読まれ、ため息とともに次の手を指す。

 十分ほどあと、4五の地点まで引き摺り出された先手玉は、盤の中空で詰んでいた。

 終局時刻は十八時五十分。第三十二期女流名人戦第五局は、一四〇手で二見女流名人が制し、防衛を果たしたことで幕を閉じた。

 投了した後のことは、ほとんど覚えていない。うわごとのような言葉を記者の質問に答えて、明るく振る舞いながら一時間半ほど感想戦をして、階段を上がり、自分の部屋に戻った。

 ただ一つ、眠れなかったことだけは覚えている。朝日が昇るまで、私はふかふかのシーツにくるまり、身体を丸めて、下着姿のまま膝を見つめていた。時間の流れは緩やかで、まるで反省を促すかのように進んでいく。


 これが、一年前のことだ。


 

 

 


 

 

 1



「では、浅倉つかさ女流初段に、イベントの最後の締めの言葉をいただきたいと思います。浅倉さん、お願いします」

「えっ、私ですか? なんで?」

 百人ほどの将棋ファンたちが見守る先で、彼女は目を丸くして身体を固くした。聴衆から笑いが起きる。恐らく事前に何も聞いてなかったのだろう。そういった無茶を振るには最適の人間だ。つかさは昔からこうだった。思ったことはすぐに発言してしまうし、感情を隠すのが苦手だから、反応が面白い。渋々といった表情でマイクのスイッチを入れると、一歩前に進み出た。

「えー、皆さん。今日はお越しいただきありがとうございました。この西武将棋まつりは今年で七回目の開催で……」

 会場の一番後ろの壁にもたれかかりながら、私は将棋まつりの最後の言葉をニヤニヤしながら聞いていた。


「お疲れ」

 つかさは答える代わりに腕組みをしながら、しょっぱい面持ちで大きなため息をついた。会場近くの個室居酒屋の一室は出入り口が障子戸で、畳敷きに掘り炬燵。行燈風の照明が上で光っている。

「いやね、面白がってるのはわかる。でもさ、私にだってプライドはあるの。どうして準備を与えてくれないわけ? これで私がとんでもない発言でもしたらどうするつもりだったのってスタッフに訊きたくなるんですけど」

 頬を膨らませながら、お通しの枝豆をぱくついた。私もつられて食べる。塩が少し多くてしょっぱい。

 つかさと初めて会ったのは中学生の時。長い付き合いだけど、誤解されがちなつかさをなだめるのはいつも私だった。でも、その役割を私は愛していた。ちょっと不器用だけど人一倍真面目なところが、会うたびに刺激になる。

「そういうキャラとして定着したんだから、もうしょうがいないよ」

「それは分かってるんだけど……でも納得いかないの! あぁ、もう今日は飲むしかないわ」

 そう言って生ビールに口をつける。一気に半分くらい飲んだ。

 通常、こういったイベント事のあとは関係者一同での打ち上げがある。しかし、今回は登壇した他の棋士のスケジュールの都合上、打ち上げが中止されたので、そこに私がスケジュールを入れたわけだ。将棋の棋士というのは、勝てば勝つほど対局が増える。単純にトーナメントである上に、上まで進むと急にリーグ戦方式になることもあって、休みがなくなっていく。

 もちろん、仕事というのは対局だけに留まらない。指導対局に原稿の執筆、イベントや解説の進行役などの仕事も少なくない。仕事が多いとストレスが溜まる。それなのに、友人とスケジュールを合わせるのが難しくなって会えなくなり、ますますストレスが溜まる。

 女流棋士を続けていく上で、息抜きをうまく入れることも仕事の一貫と言える。でないと、厳しい対局の連続で、メンタルを保つのが難しくなっていく。それで体調を崩した先輩棋士の話も多く伝わってくるものだ。

 しばらく経って、お互いに腹も心も満ちてきた頃に、ふっとつかさが切り出した。

「でも、もしかしたらまたしばらく飲みに行けないかもね」

 すっかり真っ赤な顔だったが、丸眼鏡の下の目は真剣だった。

「女流名人戦、だね」

 私が返すと、こくりと頷く。すでに四杯目のビールを手に、すっと目を細めた。

「椿が拘ってるの、棋譜から伝わってくるよ。一昨日の原先生との将棋、序盤で失敗してすごく苦しかったのに、よく土壇場で逆転したなって思った。今の私なら、あれをひっくり返すのは無理かもしれない」

「あれは、運もあったと思う」

「いや、違う」

 圧力のこもった声で、つかさが断言する。グラスをどんと置き、両手で頭を抱え、俯いた。なんて言えばいいのかわからず、口をつぐむ。

「師匠に散々言われたわ。将棋には運なんてひとかけらもない。たとえ運よく勝ったように見える将棋があったとしても、それを含めて実力なの。事実、原先生は優位を意識してから、ちょっと怖いくらい守備的に指してたわ。絶対に覆されたくないって、完封したいって、そんな強烈な意識が伝わってきた。そこを、一瞬の隙をついて会心の一撃を決めたその椿の忍耐を、私は認める」

 物凄い早口でまくしたて、なおも続けた。

「師匠が亡くなって、私がひどい不調に陥ったのは覚えているでしょう? 自分の思考を、自分の意志を、私は信じられなくなった。今も、その気持ちはどこかにある。そんな中で、椿が、いえ、瀬戸内女流二段が大活躍して女流名人戦の挑戦者になった。ああ先を越されちゃったって、そんな脳天気に眺められたと思う? 内臓をひねり潰されるくらい苦しかったわ」

 思い出す。女流棋士の資格を取得した頃から、私達はよく言い合った。タイトルを先に取るのはどっちだと。つかさは、喧嘩も辞さないほどに、私が先だと言い張ってはばからなかった。同じくらい私だって思っていた。けれど、意志を強く表に出すのが苦手な私は、そうかもしれない、と言ってお茶を濁すこともあった。

「椿はまだリーグ戦で無敗。私はもう一敗してる。二見さんを倒したがって渇ききった獣共を相手に、全勝か、よくて許されるのは一敗まで。そんな狂った場所に、私達はいるの」

 なだめるような言葉が、酔った頭の中にいくつか浮んだ。けれど、それを発することは冒瀆のようなものだと、自分を律する。挑戦権は、私だってほしい。昨年、あと一歩、いや半歩のところまで届きかけた栄誉を、今度こそ手にしたい。強烈な欲望は、私にだって同じくらいある。

「私だって、負けたくない。つかさだけじゃない。他の誰にだって。出だしから四連勝できたのは、正直出来過ぎだと思ってる。でも、この勢いを逃したくない。あと三局、全て勝つ」

 ゆらりと、つかさが顔をあげる。その目つきを見て、ちょっとたじろいだ。

 そこにいるのは、単なる好敵手じゃない。幽鬼のような、異様にぎらついた感情がそこにあった。

「よく言うよね、来年だってチャンスがあるって。でも、そんな言葉はまやかしでしかない。女流名人戦リーグの最終局があんたとの将棋だってのは、なかなか悪くない趣向だと思うわ」

 割り箸でステーキ風の肉をがしりと掴んで、つかさが齧りつく。派手に歯を見せながら、行儀悪くむしゃぶりついて、頬ばっていった。ビールでそれを流し込み、すっと人差し指で私の顔を指した。

「今日から一ヶ月、椿とはプライベートで会わない。その代わり、リーグ戦は全て勝つ。それでどう?」

「そう来なくっちゃ」

 予想通りの言葉に、満足しながら私は微笑んだ。ぞっとするような快感が、背筋を伝う。

 二見女流名人にあって、私になかった決定的なもの。将棋の実力だけで言えば、我ながら大きく遅れをとっているつもりはない。けれど、あの第五局の土壇場で、私になくて、二見頼子にあったもの。それは……




 2



 有言実行ができなくては、勝負の世界をドリブンしていくことは難しい。日常的に連絡し合う間柄だった私達は、LINEでのテキストメッセージですら送らなくなった。どうしても必要な事務連絡に最低限使う程度で、一切の無駄口はなかった。最初の一週間ほどは、つかさが私のことをブロックしてしまったのではと、急に不安になることもあった。だから、仕事上の事務連絡がつかさから送られてきたとき、ほっとする自分がどこかにいた。

 でも、それを伝えることはしなかった。

 それは、私の、私達の美学に反することだと解っていたから。

 仮に、浅倉つかさとの直接対決までの二局でお互いが無敗だったなら、最終局の結果が、そのまま挑戦権をめぐる直接対決になる。そうなる可能性はとても低い。なにせ、女流棋士の一番上層、他のすべてを蹴散らしてあがってきた、最上位七人の総当たりリーグである。楽に勝てる相手などいるはずがない。昨年度に私と挑戦権を争っていた立川女流王将は、調子を取り戻すことができず、うってかわって出だしから四連敗と沈み、実質的には上位リーグから落ちることがほぼ確定している。

 負けが続くと、必ず精神的に影響する。それがもとで自信を失い、もっと負ける。そんなサイクルにハマってしまうと、トッププレイヤーでも簡単に魔に魅入られてしまう。男性でも女性でも、そんな光景はよく見るものだ。ここはそういう世界だった。

 棋士の対局は概ね将棋会館で行われる。だから、お互い顔を合せてしまうことはよくあった。それでも、簡単な挨拶はおろか、目も合わせはしなかった。

 情を絶つ。それが今の自分に最も必要だった。それはつかさもそうだったに違いない。

 あるインタビューで、私はつかさの対局について訊かれて、最近は昔からの強気が薄れて守りに入っていると発言して、どうやらインターネットでは否定的な意見が多かったようだけど、そんなものは遮断しているので知りようもない。あと、発言を撤回する気もさらさらなかった。陰口のようでもあるけど、本人に面とむかっても同じことを言うつもりだ。

 浅倉女流初段のリーグ戦五局目は、さすがに完璧に近い内容だった。研究していた展開に持ち込むと、すらすらと優勢を築きあげ、無理な攻めを誘って封じこめての完勝。続く六局目も、長いにらみ合いから妙手を発見し、そこからあっという間に敵玉を詰ましきっての快勝。リーグ戦以外の対局も一戦も落とすことなく、好調にますます磨きがかかっているように見えた。

 一方の私も、五局目、六局目と連勝することができた。どちらも劣勢を意識した局面はあったが、最後は自分なりに勝ちやすい状況に持って行くことができた。

 他に一敗の棋士はおらず、もはや止められるのはただ一人だけ。

 第三十三期女流名人戦の挑戦権をめぐる戦いは、十二月一日。東京将棋会館で行われるリーグ戦最終局が残るのみとなった。

 瀬戸内椿女流二段は勝てば挑戦権獲得、一方の浅倉つかさ女流初段は、これに勝ち、さらにプレーオフでもう一度勝つと挑戦権獲得となる。

 仕事・対局・研究と、大量のスケジュールを順番にこなしていけば、一ヶ月はあっという間だ。しだいに季節は歩を進め、少しずつ気温も下がっていく。

 寒風が吹き荒れる中、私達は、勝負の日の朝を迎えていた。 


 その日の東京都は冷え込みが厳しく、発達した低気圧のせいで風が強く、荒廃した空模様だった。熱いシャワーを浴びて、八時頃には家を出る。対局当日の朝は将棋の勉強をしない。私は自分にそう課している。直前にあがいたところで自分の精神を乱す結果にしかならないから。それは大一番の前でも同じだった。作戦も方針も既に一週間以上前には決めていて、当日の朝に考えることはなにもない。

 そういう状況を作ることがベストだ。

 対局開始の三十分前。私は東京将棋会館に到着した。開始時刻の直前に来る棋士が大半である中で、私は一番乗りを狙うくらい早く来る。そして、盤の前にいちはやく座り、瞑想するまでがいつもの決まり事だった。

 けれど、それは裏切られた。

 記録係も到着していない四階の特別対局室、その襖を開けた瞬間、私は動揺した。

 浅倉つかさ女流初段が、綺麗な正座をしたまま、丹念に盤を布で拭いていたからだ。どんなに微細な塵すらも存在を許さないと、所作が物語っている。肩でボブにしていた髪はショートに切り揃えられていて、美しいうなじが背後から見える。

 黙したまま、私はその前に座った。初段と二段の対局であるので、二段が上座だ。特別対局室の床の間には白磁の壺と、その後ろには山水画の掛け軸が鎮座している。ちらりと一瞥して、つかさの正面に座る。

 荷物を横に置き、ペットボトルの水を一口含む。

 お互い、対局開始まで何も語らない。記録の奨励会員が駒を拭いていても、私達はひらすら瞑想を続けた。意識から余計な物事を極限まで排除していく。

 何十時間にも思える時間のあと、振り駒が行われ、私、瀬戸内女流二段の先手番となった。


「お願いします」


 この日はじめて言葉を交わし、決戦は始まった。

 初手は5六歩。中飛車以外の戦法はしない、という宣言でもある。後手は落ちついた手つきで8四歩。中学生の将棋大会の全国大会で初めて盤を挟んだあの日と同じ。数百回は指したいつもの戦型に盤上は進んでいった。

 すなわち、中飛車対居飛車の対抗形。それは一年ほど前の二見女流名人との一戦と同じでもある。一目散に美濃囲いに入れるべく右辺に移動玉を移動させていくのに対し、後手の望月女流初段は一分だけ小考して穴熊を志向した。

 珍しいなと、瞬間的に思う。お互い自分から仕掛けていく展開が好きなのは知っている。しかし、穴熊はどちらかというと受け身な展開を目指すものだ。形勢を損なってもすぐに負けにはなりにくい。簡単に土俵を割るつもりはないという意思表示もである。

 銀冠に組んだところで、4五歩と先手から仕掛けた。純粋な形だけで見れば、先手が損をしている格好である。玉の堅さは後手の方が明らかに上で、しかも自玉から近い場所からの仕掛け。いっぺんに劣勢に陥ってもおかしくない戦い方だ。

 しかし。これは私なりの信条だった。要するに、先攻することの精神的優位を、それらの欠点より評価したわけだ。先攻した方が勝っていることが多い。これはお互いに数百回と戦ってきたからこその共通認識だった。

 後手を引いたときに穴熊を選ぶというのも、おそらくは先攻される展開を見越しての選択だったとすると納得がいくというものだ。

 私は自玉の玉頭の歩をついていき、2四の角をひとつ下がらせた。元々薄い自玉の守りをさらに弱体化させるような指し方だが、それでもこの角がキーポイントになりやすい。この戦型において2四の角は非常な好位置で、攻めこんだときに致命的なカウンターを食らうトリガーになりやすい。

 十分だけ考え、6八角と引く。この手で、攻めの準備は完全に整った。

 次の手で、望月女流初段は長考した。そして気づいたのだろう。すでに形勢は先手の方に傾きつつあることを。

 気づけば、盤上は先手の駒が抑え込んでいた。もちろん、そこに穴があれば逆に後手にチャンスがきているが、見た目に反して、後手がその押さえ込みを回避する策が難しいのだ。そして――。

 長考の末、後手が選んだのは8六歩。きっと予定の手ではない、攻め合いである。

それはほとんど、自らの不利を自ら認めるようなものだった。

 昼食休憩に入る頃には、局面は総力戦となっていた。形勢は先手に傾きつつあるものの、後手も手を尽くして左辺から飛車先を突破し、先手が手をこまねいていればあっという間に攻め潰されてしまう。

 先手の優位は、何かが少しずれていれば簡単に崩壊するほどの薄氷の優位だった。

 午後十三時に対局は再開。私はすぐに、2四銀と指した。後手の穴熊の玉頭に銀を進出する。望月女流初段の顔を覗き見と、既に物凄い表情をしていた。凶相。そんな言葉が浮ぶほど険しい顔で、ぎりぎりまで踏み込まれた自らの穴熊を見ている。

 しかしながら、次の2五香を見て、私はすぐに指そうとして、指そうとした右腕を左手で思わず掴んだ。

 9九の香を犠牲にしているので、それは必然的に生じた一手だった。歩の裏に香を打て、という格言があるように、歩で王手を防ぐことができないと対処に困ることも多い。今回は歩で簡単に受けられるから、それほど深くまで読んでいなかった。

 指された瞬間、後手の構想に気がつく。そして、内心頭を抱えた。

 2六歩といったん中合いをして、2七歩。そこで3六桂から玉頭を直撃されると、もともと囲いの薄い先手は思っていたよりも受けの手が難しい。

 そして後手玉は、2三にと金、2四に銀がいて、通常ならばすでに詰めろがかかっていてもおかしくないのに、いざ深読みすると意外と次の手が難しい。

 あえて相手の剣を喉元近くまで許す代わりに、攻撃後の隙を突いて確実に仕留める。

 それが数時間前からの後手の遠大な構想だった。

 読めば読むほど、怖くなっていく。

 局面はすでに、先手が苦しくなっていた。

 悩み抜いた末に、7七銀と自陣に打ちつけた。攻撃に使いたかった持ち駒の銀。しかし、ここで成られた飛車を封じなければ、簡単に先手陣は潰されてしまう。それが結論だった。

 後手はすらりと指を伸ばし、9八竜。すぐに6八の角と交換して決めに行くことはできないが、後々状況が変化すれば決め手にされる恐れがある。

 ここで先手が目指すのは、なるべく駒を後手に渡さず攻めることだ。具体的には――。

 3二歩と、穴熊の横に滑らせて打つ。歩と金の交換になるが、ここは同金と取るほかない。むしろ、先手のと金を無条件に排除できれば、駒損していても後手が勝てる流れになる。よってここは取る一手。もちろんここですぐにと金を差しだせば先手の攻めは切れて負けになる。

 そこで、すかさず3三歩と叩くのが筋だ。これも後手は桂で取る必要がある。それ以外の手、例えば同金や2三のと金を急いで排除しにいく手は、すかさず先手に解りやすい決め手があって逆転だ。

 3三の歩を払った桂馬の頭に、すかさず3四歩と叩きの歩を入れる。

 厳密に考えれば、おそらく先手の攻めは受けきれるだろうと思う。先手の持ち駒には歩しか残っておらず、後手は穴熊で逃げ場所が少ないとはいえ、通るかどうかはぎりぎりの攻めだ。

 お互いほんの少しの錯覚で、瞬間的に負けになる局面が続く。双方三時間の持ち時間はあっという間に十分を切っていた。

 九十手目。後手の指は駒台に向かい、そっと置くような動作で、その手は指された。

 2六桂。3八の飛車、3九の玉に直接狙いをつける一手で、むろん詰めろだ。受けの手を指さないと負けになる。この瞬間に後手玉が詰めば話は簡単だが、まだぎりぎり足りない。

 胸の奥底から、強烈な焦りが増してくるのを感じる。最悪でもあと十分以内に、ここからしのぐ道を見つけなければならない。

 でも、どうやって?

 そんな状況ではないはずなのに、ふいに私は、目の前の望月女流初段をちょっとだけ見た。昼食休憩の直後から変わらず凶相で盤に没頭している。

 その姿が、フラッシュバックを生んだ。そっくりじゃない。そんなことを思う。あのときの二見女流名人なら、ここで何を指すだろう。あのとき、あの人には何が見えていたの――。

 そこまで考えたとき、急に時が、止まった。

 秒読みの声が消え、ヒーターの駆動音も消え、将棋盤の上以外が、真っ白く塗りつぶされる。

 残り三分まで考え、私は3四桂と指す。

 あとで聞いた話だと、その瞬間、控え室で見ていた観戦記者、大盤解説会場では驚愕の声があがったという。ちょうど検討室にいた二見女流名人は、その手を見て、穏やかな微笑みを浮かべた。

 それには二つの理由がある。

 それはどう見ても詰みそうな自玉の受けにはとうていなっていないような手だったこと。

 

そして、先手が負けを脱することのできる唯一の一手だったことだ。

 

 飛車を取ったあと、後手には二通りの道がある。その飛車を2八に打つ手と、5八に打つ手だ。2八に打ち、先手玉を左辺に追い詰めていくと、ちょうど中盤で打った7七の銀が効いていて、かろうじて詰まない。

 よって、問題となるのは5八に飛車を打つ変化だ。恐らく後手も、先手玉を飛車をつかって上部に追い込めれば詰ませると、そう読んでいた。しかし、後手も戦力ではきわどく、安易な手順を踏めば詰ませずすぐに負けとなる。実は、そのためには後手の5二にある角がかなめの駒であった。角の利きが通っていれば、先手玉に王手を続けていったとき、最後に2五に金を打って詰ますことができる。これは後手の勝ちだ。だが、その角の利きを封じれば、後手は2五に金を打つことができない。金をその場所に打たせなければ、本当に紙一重だが、先手はすれすれのところで詰みを逃れられる。

 3四桂は、その角の効きを封じた一手であった。

 それに、この手自体が難解ながら2二とからの後手に対する詰めろになっている。

 後手は困ったのではないか。それが私の直観だった。そして、その直観を裏づけるかのように後手は次の手を指せず、ついには持ち時間を使い切り、一分将棋となった。

 一分将棋は、一分以内に次の手を指さねば負けとなる状況である。追いこまれているにも関わらず一分で指さねばならないというのは単純に二十苦で、粘ることも容易ではない。

 実際、この瞬間に後手が何を指してくるのか、私にはわからなかった。

 一分をぎりぎりまで使い切り、望月女流初段は慌て気味に、3四同角ととった。確かにこれで後手玉の詰めろはほどける。しかし……?

 全身から、汗が噴きだした。次の手がわからないのだ。どうしたことだ! 頭の中の私が叫ぶ。桂馬が入ったことで、先手玉はもしかすると詰むかもしれない。詰まないかもしれない。それを読み切るだけの時間はもはやなかった。後手玉が詰めろでないのは確か。けれど生半可な受けの手では意味をなさない可能性が高い。すなわち、負けだ。

 有効手が浮ばないまま、私も一分将棋に入った。局面はまだ読み切れていない。双方の攻め駒が複雑に絡んでくるうえ、持ち駒が豊富なために打ち場所の選択肢が多すぎる。一手動いただけで、局面は想定以上に複雑化していて、急激に難解になっていた。しかも、お互い一手のミスで即座に負けとなる。

 混乱を解消できないまま、私は残り一秒まで考えて2九に香車を叩きつけた。受けになっていないかもしれない。自玉が詰めば終わり。それでも指さなければならない。

 この将棋の行く末は、荒々しく打ちつけられた香車に託された。

 後手に、次の一分がまわってくる。髪を掻きむしりながら、望月女流初段が読みふける。読み切れるわけもないのは同じだ。そうして、後手も次の一手に全てを託した。

 4六桂。先手玉は一手詰めの詰めろ。受けも相当難しいように見える。だが。

 私は次の一分を使って、逃れるすべを考えていた。すなわち、2六香車。後手は自玉を守るような手を指せば、局面は長引く。しかし、それでは先手が確実にそこを攻めていけばいいだけなので、長引いても勝つことはできない。

 この状況で、後手にできるのは唯一、先手玉を詰ますことだけだった。

 後手が3八桂成と飛車をとるまでの一分間で、ようやくこの将棋の行く末を読み切った。

 4八飛車、2七玉、2八飛車成、3七玉、2七角、4六玉。

 ここで、3三金とと金を一枚払った。しかし、同銀成で後手玉は受けがなくなる。

 歩が一枚持ち駒に増えても、状況は変わらない。

 4八竜、4七銀と指したところで、望月女流初段が投了した。

 大駒三枚の包囲を受けた先手玉は、しかし金一枚ではすれすれで詰まない。あと一枚、後手が有効な駒を持っていれば詰みという、本当にわずかな差であった。

 終局時刻は一七時ちょうど。百三手で先手の勝ちとなり、第三十三期女流名人戦の挑戦権を獲得したのは去年と同じ、瀬戸内椿女流二段となった。

 

 3



 記者によるインタビューのあと、感想戦は終始なごやかな雰囲気で行われた。序盤の押さえ込みには後手も攻め込む手を用意していたけれど、誤算があることに気づいて指せなかったために不利を招いたことを、つかさは最初に話した。それはそれで先手の対応も難しく、実は実戦よりもそちらを選ぶべきだったかも、という結論に落ちつき、つかさは投げやりな口調で「弱いなぁ」と呟いた。それが本心なのか、ジョークのような発言なのかは判断がつかなかった。

 一ヶ月ぶりだというのが嘘のように、私達はいつも通り会話をし、冗談を言ったり愚痴を言ったりして、感想戦の時を過ごした。欠けてしまった時間を取り戻そうとするでもなく、ただいつも通り喋って、いつも通り真剣に検討した。

 秒読みで指した2九香車を、つかさはついうっかりしていたようだった。

「先手玉にも効いてくる香だし、言われてみれば当たり前の手なのにどうして気づかないんだろ? 私ってばどうして気がつかなかったの」

 そう言われて、私には返す言葉がなかった。

 ただ、きっとこんな大きな勝負でなければ当たり前に考えていたことだろう。

 言わなかったけれど、それにはきっと「魔に魅入られた」という言葉が適切だったかもしれない。

 感想戦を終えて、すぐに将棋会館で記者会見が行われた。

 それらが終わり、将棋会館を出る頃には八時近かった。 

 マフラーに顔を埋め、真っ暗になった千駄ヶ谷の町を駅まで行こうと曲がったとき。

「お疲れ、椿」

 電柱にもたれた格好で、つかさがリラックスした状態で立っていた。

「どうして……?」

 反射的に出たのは、疑問の声だった。大一番を戦った直後の両者が、帰り道を共にするなんて前代未聞だ。お互い、とりわけ負けた側は、心情的には勝った側に会いたくないのが当然だ。

 日中とはうってかわり、コンタクトを外したのだろう。いつもの丸眼鏡に戻っていた。

「話しておきたいことがあったの。だから、待ってた」

 数時間前までの滾るような圧倒的殺気はどこへやら、そこにいたのは穏やかなただの女性だった。

 あっと思った。丸眼鏡の下の目が赤く腫れていることに気づく。

言葉を探してぽかんとする私に、つかさはすっと歩み寄ると、私の身体にそっと腕を這わせ、ぎゅっと抱きしめた。

「おめでとう」

 何と言えばいいのか解らなかった。頭にはまだ今日の将棋が残っていて、それ以外のことは何も考えられない。言葉を発しようにも、その言葉が何も見つからない。

 無言のまま、私はぼろぼろと涙を零した。本能に身を委ねて、ひたすらに感情が爆発していった。

「ごめんね、つかさ」

「いいのに」

「私、この一ヶ月間、本当につらかった。全然眠れなかった。将棋のことだけに集中してないと、本当に気が狂いそうだたった。こんな約束をしたら、本当にもう、つかさと喋れないんじゃないかって、ずっと不安だった。今日だって、戦いたくなんてなかった」  

誰も歩いていない真っ暗な裏路地で、つかさの身体の暖かさを借りながら、わんわん泣いた。

まるで小学生のようにわんわん声をあげて泣いた。

 つかさはそこに何か言うわけでもなく、ただひたすら私を優しく抱きしめていた。

 その日の夜は、東京の夜に初雪が舞った。

 季節としてはずいぶん早いその雪は、積もることなく、儚く路上に消えていった。




 *

 

二月五日、千葉県野田市にある関根名人記念館で行われた女流名人戦第三局は、九七手で瀬戸内椿女流二段が勝ち、開幕からの三連勝で女流名人位を奪取した。

失冠となった二見頼子女流王位は記者からの質問に対し、「去年とはまるで別人。素晴らしい内容だった。私も力をつけ、来年は奪取できるよう心を尽くしたい」と答え、初のタイトル獲得となった新人を讃えた。


 *




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