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オトナになった花子さん  作者: じょーくら
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第1話 (トイレの花子さん)-4

「ケンジ先輩ッ!!急にどうしたんですか!?」

りょうが運転席の先輩に声をかける。

「冗談やめてよケンジッ!!車を止めて!」

ナツミがほぼ叫び声をあげた。

ー遡ること5分前

廃校に入った太郎を校舎の外で待っていた一向だったが,

ケンジが頭が痛いと言い出したので, 軽ワゴン車の中で待機することにした。

すると, 急にケンジが車のエンジンを始動,

太郎を廃校に残したまま車を発進させたのだ。

「太郎くんに電話してみる!」

りょうが慌ててポケットからスマホを取り出す。

(太郎くんなら, スマホで動画を撮りながら歩いているからすぐに気がつくはず…!)

何度か呼び出し音がなった後, 電話が繋がった。

「…もしもし太郎くん?ケンジ先輩が急にー」

「…ビ…シィ…」

「え? よく聞こえないんだけど」

「サ…ビ…シィ, 寂しぃォオオオォッ!!」

突如太郎のものではない, 女の叫び声がスマホの受話口から響く。

「キャッ…」

とっさにりょうは手にしていたスマホを投げ出す。

「りょうちゃんどうしたの!?」

助手席のナツミが, 後部座席のただならぬ様子に声をかけた。

『寂しい…, 寂しい…』

投げ出したスマホの通話がスピーカーに切り替わったのか,

不気味な女の声が車内に響く。

ーと同時に, 女の声と連動するように,

ケンジも同じことをつぶやき始めた。

「いい加減にして! すぐに車を止めて!!」

半泣きのナツミがケンジの身体を助手席側から揺らすが,

ケンジの目はうつろで, 独り言のように”寂しい”と

つぶやくばかりだ。

車は蛇行しながらもスピードを上げており,

深夜でなければ対向車と接触してもおかしくはない状況であった。

「ちょっと…, この道って…」

ナツミは, 軽ワゴン車がもと来た道を戻っていることに気がついた。

(あの"橋"に戻ってる…!?)

廃校に行く前に立ち寄った真っ赤な, 大きな橋。

噂通り, 橋の真ん中でクラクションを鳴らしても何も起きなかった。

いや…, 噂だとクラクションを鳴らした車はその後ー

「事故を起こす…。」

ナツミは事の顛末を悟って絶望した。

軽ワゴン車は, 橋のある山道にさしかかっていた。

長く, 曲がりくねった上り坂の先に橋がかかっている。

「い…,嫌よ!嫌ァッ!!」

ナツミは走行中の車から脱出するべくドアを開けようとするが

当然ながらドアは開かない。ロックされている訳でもないのに…。

『あと少し…で, 一緒になれるね』

ケンジとスマホの女の声が同時につぶやく。

ケンジがナツミの方に振り向き, ニタァっと微笑む。

「嫌ァッ!!出してッ!ここから出してよォッ!!」

アケミは半乱狂になりながら, 何度もドアをこじ開けようとする。

「ナツミ先輩, 落ち着いてッ…!」

後部座席のりょうがナツミに声をかける。

(何とかして車をとめないと…)

人間, 自分よりもテンパっている人を見るとかえって冷静になるものである。

りょうが車内を見回す。

すると, りょうは車の背後から近づく"何か"を視界にとらえた。

「何…あれ, ひと?」

近づくにつれてそれが人影だとわかったが,

猛スピードの車に追いつけるものがまともな人間であるはずがない。

「…!? 太郎くんッ!!」

りょうは, その人影が太郎であるとわかると絶叫した。

「た…太郎がどうしたって?」

泣きながらナツミがりょうに声をかける。

「太郎くん…, 太郎くんが後ろから追いかけてきます…!」


(続く)














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