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99ーお疲れ

 ベースに戻ると、ミエークが待っていた。


「リヒト! 無事で良かった!」

「ああ、ミエーク。なんともないさ」

「ハルやルシカもな!」

「ん、ありがちょ」

「ありがとうございます」

「なんだ? もしかして聖獣か?」

「コハルなのれす!」

「おう、俺はミエークだ。なんだよ、超可愛いじゃねーか!」


 ミエークがコハルの首筋を指で撫でる。コハルも嫌ではなさそうだ。


「聖獣って飛べるんだな! スゲーな!」

「お……」

「おや……」

「そうだな……」

「え? 何だ? 俺、変な事言ったか?」

「いや、ミエーク。言ってない」


 コハルがハルの肩にとまった。


「こはりゅ、飛べんら?」

「聖獣なのれす! 当たり前なのれす!」


 知らなかったよね〜……て顔の、ハルとリヒトにルシカ。実は遺跡の地下へ下りる辺りからコハルは飛んでいたのだが、黒い靄と魔物に気を取られていた事と、コハルがあまりにも自然にフワフワと飛んでいたのでハル達は気付かなかったようだ。


「ミエーク、長老は?」

「医務室だ。ドワーフと会っている。リヒトも行ってくれ」

「分かった」

「りゅしか、りゅしか」

「どうしました?」

「おやちゅが食べたいじょ」

「あたちも食べたいなのれす!」

「アハハハ、分かりましたよ。では、リヒト様。私達は食堂におります」

「おう、分かった」


 リヒトとミエークはドワーフのいる医務室へ、ハルとコハルはルシカに連れられて食堂に戻ってきた。ミーレとカエデが心配そうな顔をして待っていた。


「ハルちゃん! 無事で良かった!」

「かえれ、大丈夫ら」

「ハル、また1人で突っ込んだりしなかったでしょうね」

「みーりぇ、しゅるわけねー」


 おや、どの口が言っている?


「アハハハ、今日はちゃんと大人しくしてましたよ」


 今日は……


「りゅしか、おりぇはいちゅれも大人しい」

「ハルちゃん、どのお口が言うてんや?」


 ほら、言われてしまった。


「え……おりぇ大人しいじょ? 目立ちたくねーもん」

「はいはい。ハルちゃんは時々イケイケになるからなぁ。心配したわ」

「ハル、杖を使ったの?」


 そうだ。まだハルは手に杖を持っている。ルシカが厨房へ入って行った。


「ん、じーちゃんが使えって言ったかりゃ」

「長老が来たの?」

「ん、転移してきた。今はりひとと医務室にいりゅ。ドワーフを見たいって」

「そう。杖や長老の力が必要な程だったのね。無事で良かったわ」

「真っ黒黒れ、魔物もいっぱいらった。れも、じーちゃんが浄化したりゃ消えたんら。じーちゃんはスゲー」

「だって長老ですもの。ハイエルフですもの」


 はい、また出た。ミーレの『ハイエルフだから』

 確かにハイエルフとエルフに能力の差はあるが、ミーレの訓練嫌いな事も影響しているんだぞ。


「ハルちゃんはそのスゲー長老の血を継いでるんやなぁ。ハルちゃんもスゲーもんなぁ」

「かえれ。じーちゃんはしゅげーけろ、おりぇは全然しゅごくないじょ。ふちゅうら」


 ハルは杖をシュルシュルと小さくして髪飾りに刺した。


「自分も訓練頑張るねん」

「ん、かえれ偉い」

「やだ、カエデまで」

「だってな、ミーレ姉さん。騒ぎの前にイオス兄さんから、ちょっと身体の使い方を教わっただけやけど全然違うんや。こんなん教わらんな損やわ」

「アハハハ、損ですか?」


 ルシカが両手にトレイを持っている。


「りゅしか、りひとが昼飯食ってねー」

「ハル、大丈夫よ。大人だから」

「みーりぇ、大人れも腹は減りゅ」

「落ち着いたら食堂に来るでしょう。ハルは気にしなくて大丈夫ですよ」

「りゅしか……しょう?」

「はい、そうです。さ、オヤツをどうぞ」

「ぅおッ! うましょー! こはりゅ、食べな」

「食べるなのれす!」

「ルシカ兄さん、めちゃ美味そうやん! これ、何て言うん?」

「これはワッフルですよ。生地を専用のワッフルメーカーに流して焼くだけです。ハルは果物が好きですからね。生クリームと一緒にのせました」

「めちゃうまッ!」

「美味しいなのれす!」

「アハハハ。ハル、コハルありがとう。カエデも食べなさい」

「うん、いただきます!」

「ルシカ、私も食べたいわ」

「直ぐに持ってきますよ」


 そこにイオスが戻ってきた。


「あー、甘い匂いがする!」

「いおしゅ! りゅしかのおやちゅら」

「お、ルシカ。俺も欲しい」

「はい、持ってきますね」


 ルシカがまた厨房へと入って行く。


「カエデ、食べたらまた少し練習しよう」

「はいな、イオス兄さん! 頼むわ!」

「いおしゅ、かえれろう?」

「猫獣人だからな。身体能力は素晴らしいよ。覚えも早いし。直ぐに上達すると思う」

「しょっか、かえれ頑張りぇ」

「もう、イオス兄さん。そんな褒めたら照れるにゃ〜ん! 恥ずかしいにゃ〜ん! 嬉しいにゃ〜ん!」

「アハハハ!」


 カエデが『にゃ〜ん』を3回言う時はかなり嬉しい時みたいだ。

 ルシカが両手にトレイを持って戻って来た。


「さ、どうぞ。イオス、リヒト様はまだかかりそうですか?」

「いや、もう来るだろう。ドワーフの2人がまだあんまり話出来ないみたいなんだ」

「話ができないとは?」

「浄化をしてヒールもしているんだが、長時間靄の中にいた様だからまだ憔悴しきっているらしいぞ。傷は癒えている筈なんだ」

「ありゃりゃ……」

「ハルちゃん、時々合いの手入れるな」

「かえれ、らってあの真っ黒黒を見てないらろ?」

「そんなにやったんか?」

「ん……らった」

「ハルちゃん、言葉を略しすぎやな」

「しょう?」

「まあ、食べ食べ。ルシカ兄さんのオヤツ美味しいからな。沢山食べや〜」

「ん……」


 ハルとカエデはまたオヤツを食べだした。


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