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82ーカエデのステータス

「ありぇ……ちょっと違う」


 ハルがモゾモゾと自分の首元からタグを引っ張り出す。


「エルフ族のタグってなんか豪華じゃないですか?」

「な、ニークさん。自分もそう思うわ」

「エルフ族の国で作っているからだ。ギルドタグは其々のギルドが仕様を決めているだろ?」

「イオス兄さん、そうなん? みんな一緒やと思ってたわ」

「カエデ、作った時に自分のステータスを確認したか?」

「いいや、見てへん。はい握って〜、はい出来ました〜て、感じやったで」

「俺もそうでした。作った時は確認したりなんかしてないですね」


 おや、そんなものなのか?


「エルフは長老に作ってもらって、その時に確認するんだ。で、秘匿の仕方も教わる」


 ハルがうんうんと頷いている。


「おりぇもじーちゃんに教わった」

「秘匿ですか? 何を?」

「ニークしゃん、しゅきりゅとか色々らよ」

「そんなん全然知らんで」

「ありゃりゃ……」

「カエデ、ちょっと見てみてもいいか?」

「かめへんで。自分そんな特別な事なんもないからな」

「じゃあ、タグに魔力を流して……」

「いや、イオス兄さん待って。魔力を流すってどーすんの?」

「あー、ルシカ……」

「イオス、そうですね。この違いは酷いですね」

「だよな……」

「ん……」

「いや、ハルちゃんまで!」

「かえれ、りゅしかに教わって」

「カエデ、手を出して下さい」

「はいにゃ」


 ルシカの手にカエデが自分の手を乗せる。2限目はルシカの即席魔法講座だ。


「いいですか? 手に集中するんですよ」

「お、おう」


 ルシカがジワジワとカエデに魔力を流す。


「にゃ〜! ルシカ兄さん、何なんこれ!?」

「私が魔力を流しているんです。辿れますか?」

「うん、分かるで」

「じゃあ、この辺ですか……」

「ん? なんかポヤンとするわ」

「それを今度は自分で動かせますか?」

「動かすって言うてもなぁ……お、動いた」

「カエデ、上手ですよ。それをタグに流すんです」


 ルシカが手を離して代わりにカエデのタグを握らせる。


「あー! イオス兄さん! 手を離したらあかんてー!」


 おやおや、カエデ。まだまだだな。


「カエデ、集中しなさい。出来ますよ」

「えぇー、手に持ってるタグにやろ……」


 何もない空間にブウォンと半透明の画面が現れた。ハルの時よりかなり小さい。


「りゅしか……小しゃい」

「ハルはスキルや使える魔法が沢山あったからですよ」


 そうなのか……?


「うわ……全然知らんかった! ギルドの受付のおねーちゃん、何にも教えてくれへんかったで」

「作る人の数が多いのでしょうね」

「そんな問題なん!?」

「ヒューマン族や獣人は秘匿する事もない様ですし」

「え? ほな、兄さんやハルちゃんは秘匿してんの?」

「してますよ」

「してるな」

「してりゅ」

「私でもしてるわ」

「うわ、なんかカッコいいやん!」


 脱線しまくりなんだが。


「カエデ、自分のステータスですよ。よく見ておきなさい」

「うん、ルシカ兄さん」


 さて、カエデのステータスだ。


 名前:カエデ

 性別:女

 年齢:10歳3か月

 種族:三毛猫獣人(純血種)

 体力:2503

 魔力:870

 保護者:リヒト・シュテラリール 

 生活系スキル:家事 / 四則計算 / 解語

 戦闘系スキル:体術 / 短剣術 / 投擲 / 身体強化 / 身体操作

 魔法系スキル:強化魔法 / 索敵魔法

 耐性系スキル:肉体苦痛耐性 / 精神苦痛耐性 / 物理攻撃耐性 

 特殊系スキル:耐久力強化 / 瞬発力強化 / 俊敏力強化 / 気配察知 / 隠密



「マジ……全然知らんかった」

「かえれ、れもじーちゃんはもっと詳しく分かりゅ」

「え!? タグ以上なん!?」

「ん、神眼らかりゃ」

「猫獣人らしいステータスですね。カエデも苦労してきたのが分かりますよ」

「そうなん? どこらへんが?」

「耐性ですよ。普通に生活していたらこんな耐性はつきません。カエデ、よく我慢しましたね」

「ん、かえれ。ヨシヨシ」


 ハルが小さな手でカエデの頭を撫でる。


「マジ!? いや、もう泣けへんで!」

「アハハハ! カエデ、馬鹿だなー!」

「なんやねん、イオス兄さん!」

「馬鹿、甘えていいんだよ! 泣いていいんだ。嫌な事は嫌だと言っていいんだ。見てみ? カエデの保護者がリヒト様になってるぞ」

「ホンマや……イオス兄さん、あかんわ。うにゃ〜ん! こんなん泣けるにゃ〜ん!」

「アハハハ! 偉かったな、カエデ」

「ん……ヨシヨシかえれ」


 ニークが温かい目で見ている。


「ルシカさんも凄いですね」

「ニークはアヴィー先生から手解きを受けましたか?」

「はい、俺はタグを作ったその日に同じ事をしてもらいました。この国のヒューマンも獣人も自分でステータスを見れると知っている者は少ないと思いますよ。タグは唯の身分証扱いです」


 そうなのか!? エルフ族では当たり前の事みたいだぞ?


「アヴィー先生が教えて回っていますけど、この一帯や冒険者等に限られてしまいますから」

「なるほど、冒険者なら知っておく方が良いですからね」

「え? ルシカ兄さん、何でなん?」

「そりゃあ、自分の能力ですから。能力に合わないクエストを受けたら命に関わります。それに、能力が目で見て確認できればスキルアップも楽しいでしょう?」

「なるほど〜! いやぁ、勉強になるわぁ!」

「カエデ、ステータスに魔力があったでしょう? ですからカエデも訓練次第では少しは使えますよ」

「ルシカ兄さん、因みにな、この魔力ってハルちゃんと比べたらどんな感じなん?」

「はっきり覚えてませんが……ハル、言っても構いませんか?」

「ん……」

「ハルは10万オーバーでしたね」

「え……マジ!? 桁が全然違うやん! 違い過ぎるやん!」

「カエデ、それは種族の違いもあります」

「あー、そっか。ハルちゃんはエルフさんの血が入ってるもんな」

「10万ですか……凄い」


 そうですよ。長老とアヴィー先生の曽孫は凄いステータスの持ち主なのです。


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