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50ーサッサとお暇したい

「誠に失礼を……」

「あー……では私達はこれで……」

「そう仰らず、どうかお泊まり下さい! 第1皇子殿下の文を読ませて頂きました。我が娘ながらお恥ずかしい限りでございます。ご迷惑をお掛けし、失礼を働き誠に申し訳ございません!」

「で、我が国の第1皇子殿下は何と?」

「はい……その……二度と近寄らせるなと。もしまた何か言ってくるなら公に不敬罪を申し立てると……」


 うわぁ……よっぽどだ。伯爵令嬢よ、一体何をしたんだ?


「どうやら娘は皇族や皇帝陛下と言う意味を分かっていない様で。第1皇子殿下にも国に連れて帰る等と言ってつきまとっていた様で……」


 うわぁ……想像以上だった。


「確かにこの領地内では令嬢は位が高いのであろう。しかし、あれは駄目だ。何をするにも小1時間言い聞かせないと文句を言う。私達も大変だった。まあ、理解すれば素直に謝るところは良いのだが」

「誠に、誠に申し訳ありません!」


 伯爵が汗をダラダラと流しながら、どんどん小さくなっていく……まあ、仕方ない。そう育てた伯爵夫妻も悪い。


「此度はここにいる小さな私の弟にこの国を見学させる意味もある。なので、私達はこれで失礼する」

「そんな! 我が家にお泊まり頂けませんか!?」

「いや、別に宿を手配しておる筈なのだ」

「では、ではせめてその宿代だけでも私に支払わせてくださいませんか! 領内で何か購入される場合は領主にと言ってくださいますよう、どうかそれ位はさせてください!」

「あー……では、宿代を頼む。それでもう収めてくれ」

「リヒト様! その様な……」

「私達も正直なところもう関わりたくないのだ。申し訳ないが」

「誠に! 誠に申し訳ありません!」


 と、いう事でさっさとお暇してきたリヒト達一行。まだ父親が普通に話せる人物で良かった。


「りひと、ろこに行くんら?」

「ん? イオスが宿を取ってくれているからそっちに向かうんだ」

「しょっか。あの母親もきょーりぇちゅらったな」

「ああ、母親似だったんだな」

「アハハハ、リヒト様。母親似ですか?」

「だってルシカ、そうだろ?」

「確かに」

「私はまたぶん殴ってやろうかと思いましたよ!」


 おいおい、ミーレ。物騒だな。まあ、ハルが言う様に強烈だったが。

 邸を出て街に戻るとイオスがどこからかやってきた。


「リヒト様、宿取りましたよ」

「ああ、イオス。すまん」

「いえ、でも良いのですか? 街の宿屋で」

「ああ。もうあの令嬢とは関わりたくないからな。レオ殿下も二度と近寄らせるなと手紙に書かれたらしい」

「うわぁ……マジっスか!?」

「よっぽどだったのでしょうね」


 そう、よっぽどだったのだろう。一国の皇子殿下に向かって、一緒に国へ連れて帰る等と一介の伯爵令嬢がよく言えたものだ。


「りひと、腹減った」

「おう、そうだな。昼飯にするか」

「そうしましょう」

「ハル。何食べたい?」

「みーりぇ、おりぇはりゅしかの飯!」

「アハハハ。ハル、嬉しいですが今日は無理ですね」

「ん、しゃーねー」

「リヒト様、屋台を見てみませんか?」

「おう、いいぞ」

 

 ミーレ、君は自分達がどんな容姿をしているのか分かってないな。見目麗しいエルフが4人とちびっ子1人が街を歩いていると目立つ事この上ない。


「あ! みーりぇ! 肉! 本当に串に刺して焼いてりゅ!」

「あら、本当だわ。ハル食べる?」

「うん! 食べりゅ!」

「じゃあ俺が買ってきますよ。リヒト様もルシカも食べますよね?」


 イオスが屋台に走って行く。リヒトやハル達は噴水近くの木陰のベンチに陣取った。やはり木の近くがいいのか?


「これだけ街に木がないと何か不自然で落ち着かないですよね」

「ミーレ、エルフの国とは違いますからね」

「ルシカ、分かっているわ」


 やはり、木の近くが良いらしい。


「買ってきましたよ! さあ、どうぞ!」


 イオスから串に刺して焼いた肉をもらいハルは大きな口を開けて食べた。


「美味い……けろ、りゅしかの飯の方が美味い」

「おやおや。ありがとう、ハル」

「リヒト様、俺馬を止めてきますよ」

「イオス、すまん。お前もう食べたのか?」

「はい。食べましたよ」

「はえーな……」


 うん、早い。まだ皆食べている。ハルなんてまだやっと二切れ目だ。

 イオスが馬を引いて何処かに行った。


「りひと、なんれ? 馬はろこ?」

「宿屋の厩に繋げられるんだ。そこまで行ったんだろう。てか、宿屋どこだ?」

「リヒト様、街で1番の宿屋にしたそうですよ。運良く空いていたそうです」

「そうか。良かった」

「1番の宿屋なのか?」

「ああ、ハル。この国ではな、あまり安い宿屋だといきなり他人が入ってきたり金品を盗まれたりするんだ」


 なんと! そんなんで良いのか!? と、言うかハルは別として、リヒトやルシカ、ミーレやイオスもあまり荷物を持っていない。


「ハルの着替えとかは全部私がもってるからね」

「みーりぇ、ろこに?」

「ここに」


 そう言って腰に付けているウエストポーチの様なバッグを見せる。

 ああ、そうだ。皆、普通にマジックバッグを持っているのだった。

 エルフ族は魔力量も多く、魔力操作も秀でている。マジックバッグ等珍しくもないんだ。


読んで頂きありがとうございます。

まあ気持ち良い位に令嬢の評判が悪いです。まさかこれ程とは思いませんでした!(-。-;

それでも、宜しければ評価とブクマお願いします。

暑さに負けてしまいそうですが、励みに頑張ります!

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