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43ールシカ、ご苦労様

 令嬢の話をまとめると……

 彼女は、ヒューマン族と獣人族の国『アンスティノス大公国』の1番大森林に近い領地を治める伯爵のご令嬢だそうだ。

 侍女に誑かされ親には内緒で街に出た。ほんの出来心だった。街にはよく出掛けるから大丈夫だと。そこで、侍女が手引きをした人攫いに攫われて無理矢理馬車に乗せられ連れ去られた。馬車が急に止まったと思ったら、オークに襲われていた。

 それ以降の彼女の記憶は曖昧で、あまり覚えていないそうだ。気がついたら、ベッドの上だったと言う事だ。


「まあ、無事で良かった」

「あの……それで私はオークに……?」


 オークにやられちまっているかどうかだな。そりゃ、不安だろう。なんせ、記憶が曖昧なんだ。やられちまったショックで記憶がないとも考えられる。だが、そこはリヒトが確認している。


「ああ、大丈夫だ。何もされてない。俺がちゃんと確認したからな」

「か、確認……!? 私の裸を見たのね!」


 伯爵令嬢、何故か両手で胸を隠している。裸じゃないのに。


「そうではなく。リヒト様の鑑定と言うスキルで見たのですよ」

「鑑定? 何よそれ。聞いた事ないわ。やはり私を裸にして見たのね!?」

「いえ、ですから……」


 そして、またまたまたまたルシカが小1時間説明をし……ついさっきも見たベッドの上で土下座をする令嬢。


「重ね重ね申し訳ありません……」

「君さぁ、人の話を聞こうな」

「本当に、その通りですね」

「大変申し訳ありません!」


 ――コンコン


「どうした? えらく時間が掛かっているが?」


 長老がハルを抱っこして部屋に入ってきた。そうか。もう、ハルはお昼寝から起きたか。そりゃ時間が掛かっている筈だ。


「りひと、りゅしか?」

「やだッ!! なんて可愛い!!」


 令嬢がハルにロックオンだ。


「かわいそうに! あなたもオークに囚われていたのね! 大丈夫よ! お姉さんと一緒に帰りましょう!」

「いえ、ハルはそうではなく……」

「ハルって言うの? 何歳かしら? 本当に可愛いわね! 無事で良かったわ! さあ、お姉さんのところにいらっしゃい!」


 そう言って令嬢はベッドの上で両手を広げている。

 こいつ何言ってんだ? て、顔のハル。そこからまたまたまたまたまたルシカの説明が続き……またまたまたベッドの上で土下座の令嬢。


「こりゃ時間が掛かる訳だ……」

「長老、もう俺疲れた」


 いやいや、疲れたのはルシカだろう。ゲッソリしているぞ。


「とにかく、君1人でこの大森林を出る事は無理だ。だから、俺達がアンスティノス大公国まで送り届ける事になると思う」

「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」

「まあ、まだ体力が回復していないだろう。2〜3日ゆっくり休むといい。アリストク伯爵だったか。先に無事を知らせておこう」

「ありがとうございます」


 すっかり小さくなった令嬢。


「それで、あの……」

「なんだ?」

「本当にここはエルヒューレ皇国なのですか? ならあなた方はエルフ族……?」

「そうですよ。先にも説明した様にリヒト様と長老はこの国の皇族でハイリョースエルフです。ハルも似たようなものです。私はハイダークエルフです」


「ハイ……ハイリョ……?」

「ああ、理解できなくても構いません。とにかくエルフ族です」


 おっと、さすがのルシカも面倒になったか? 投げやりだ。


「食事はできそうですか? 先に風呂に入りますか? 侍女をつけますので」


 ルシカがそう言うと、メイド服を着たエルフが1人部屋の隅で頭を下げた。


「なんでも彼女に言って下さい。着替えも用意してありますから」

「ありがとうございます!」


 意外と元気な様だ。そして、ルシカはサッサと話を切り上げて部屋を出た。


「いやぁ……マジ、参った」

「ヒューマンてあんなでしたか?」

「いや、あの令嬢は特別だろう?」

「きょーりぇちゅらったな」

「マジな」


 何故か途中から入ったハルと長老まで疲れている。


「リヒト、ルシカ。お前達が送ってやれば?」

「え……長老、嫌ですよ」


 ルシカも大きく頷いている。


「めちゃくちゃ面倒じゃないですか」

「他の者に送らせるのもまた面倒だぞ?」

「長老、俺マジでヒューマンに関わるの嫌になった」

「アハハハ、あれはスゲーな! ワシもビックリしたわ」


 ルシカとハルまで頷いている。


「まあ、行けと言われたら仕方ないけど」

「りひととりゅしかが行くのか?」

「多分、そうなるだろうなぁ……ハァ〜」


 リヒトが大きなため息をついている。


「りひととりゅしかが行くなりゃおりぇも行くじょ」

「ハルは留守番してろ。ヒューマンの街なんかに行かなくていいさ」

「えー、りひと」

「いいんじゃないか?」

「長老! ハルをヒューマンの国なんかに連れて行ったら何されるか分かんねーよ」

「お前がいるだろうが。エルフ族最強の5戦士の1人であるお前がさ」


 えッ!? 今何て言った!? リヒトってエルフ族最強なのか!? そうなのか!? と、ハルが驚いている。ここにきて驚きの事実が発覚だ。


「ハル、ガーディアンの中でもベースの管理者はエルフ族で最強の者が選ばれるんだ。ベースは5箇所あるから最強の5戦士だ。ああ、言い忘れていたが、リヒトの父親はそれをまとめている総司令官だ。ガーディアンのトップだ」


 ガビーン!! て、表情のハル。リヒトだけでなくあの父が!?


「じゃあ、にーしゃまも強いのか?」

「兄上は次期司令官だからな。父上の後継だ。あれでも強いぞ」

「しゅげー!! りひとのとーしゃまとにーしゃまはしゅげーんらな!」

「ハル、奥様もお強いですよ。ミーレに弓と鞭を教えたのは奥様ですから」

「りゅしか、かーしゃまもか!? む、むち!?」

「ええ。ミーレは弓と鞭を使いますよ」


 何だ何だ!? エルフって皆強いのか!?


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