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40ー曽祖父と曽孫は嬉しい

 それからハルは長老にステータスの秘匿方法を教えてもらった。


「それとハル、お前が魔法を使う時は要注意だ」

「じーちゃん、なんれ?」


 おや、もう長老の事をじーちゃんと呼んでいる。


「あー、ハル。目をつむらないで魔力を身体の中で動かしてみ?」

「りひと、魔力を?」

「ああ。目をつむらないでな」


 コクンと頷きハルは魔力を動かし始める……と、やはりハルの身体がふんわりと光り出した。


「えッ……!? りひと、おりぇ光ってね?」

「そうなんだよ、光っちゃってるんだよ」

「えぇー!! なんれ!?」

「アハハハ!! 光っちゃってる!」

「じーちゃん! わりゃってないりぇ何りぇか教えて!」

「すまんすまん。アハハハハ!!」


 長老は笑い上戸なのか? 腹を抱えて笑っているぞ。嬉しいのだろう、ハルの何もかもが。


「ハルは歳の割に魔力量が多いんだ。なのに、魔力操作が出来ておらん。昨日教えてもらったばかりなのだろう?」


 そうだ、昨日リヒトの母に初めて魔力操作を教えてもらったばかりだ。


「魔力操作が上手くなれば光らんようになるさ。あと、ハルが大っきくなると共に多い魔力も馴染むだろう」

「じゃあそりぇまれ、おりぇは魔法がちゅかえねーのか?」

「いや、簡単な魔法から試していくといい。どこから光りだすか確認しておくといいさ。アハハハハ!」

「じーちゃん! なんれわりゃうんら!!」

「いや、嬉しいんだよ」

 

 えぇ~~!? と、疑いの眼差しで見ているハル。


「本当さ。嬉しくて嬉しくて! こんな日が来るとはな!! 長生きしてみるもんだ! アハハハハ!」

「じーちゃん、うりぇしいのか?」

「ああ、当たり前だろうが。ワシの娘の孫だ。ワシの曽孫だ。まさか、曽孫に会えるとは夢にも思わなんだよ」

「おりぇもら。じーちゃんに会えりゅと思わなかった。こんな自由な日がくりゅとは思わなかった」

「そうか……そうか! そうか!!」


 そう言いながら長老はハルの頭をガシガシと撫でる。


 ――コンコン


「失礼致します。リヒト様」


 従者のテージュだ。


「どうした?」

「はい、今調査隊から連絡がありました」

「集落のか? 何かあったのか?」

「はい、集落の地下からヒューマンの女性が発見されました」

「ヒューマンの女性だと!? じゃあ……」

「それを確認したいのです。ですので、リヒト様か長老のどちらかにご足労頂けないかと」

「わかった。俺が行こう。ハル、ここで待っていてくれるか?」

「ん、りひと」

「ルシカ、行くぞ」

「はい、リヒト様」


 テージュと一緒にリヒトとルシカは部屋を出て行った。訳が分かっていないハル。なんだ? と長老を見る。


「ハルはオークがどんな魔物か知っておるか?」

「みーりぇがたくしゃん食べてくしゃいって言ってた」

「アハハハハ、確かにそうだ。それとな、オークは性欲が旺盛なんだ。特にヒューマン族の女性を見つけると攫ってやりまくってやり過ぎて殺しちまう」


 げげッ!! て顔のハル。

 2歳児に何を言っているんだ!? と、思ってはいけない。ハルはこれでも中身は20歳だ。長老はそれを神眼で見ていた。


「ハル、良いか。ワシはハルの魂が2歳児ではないことを見て知っておる。だがな、ステータスには表示されておらんかっただろ?」


 コクンと頷くハル。


「エルフ族は何千年と生きる。ワシも2780歳だ」

「に、にせん……」

「ああ。そのエルフにとっては2年も20年もたいした代わりはない」

「あー……みーりぇに赤ちゃんと一緒らって言わりぇた」

「赤ん坊か!? アハハハ、ミーレらしいじゃねーか。まああれだ、ハル。このままちょっとしっかりした幼児でおれ、て事だ」

「じーちゃん、その方がいいのか?」

「わざわざ言うほどの事でもないと言うことだ。ハルも気にするほどのことではないが、話す方がスッキリするなら話せばいい。そんな事なんて関係なくハルは可愛いからな!」


 いやいや、ちょっと違うだろ?


「それだけ、皆ハルを可愛く思っとるということだ。ハルは気にするか?」

「ん~、どっちれもいい。らってじーちゃんは2000歳超えてりゅ。りひとらって200歳超えてりゅ。そりぇにくりゃべたら20年なんてこだわりゅ気もなくなりゅ」

「アハハハハ! そうか!」

「じーちゃん、そりぇよりおりぇはどりぇくりゃい生きりゅんら?」

「ハルはハイヒューマンとハイリョースエルフの血を濃く継いでいるからな。こっちの世界に来た時点でワシと同じ位は生きるように変わっておるだろうよ。しかし、本当に見事に2人の能力を継いでおる。見た目もだ」

「おりぇ、いりょはこんなんじゃなかったけりょ、見た目あんま変わってねーよ。まんまちっさくなった感じら」

「そうか。元々じーさんとばーさんの血を濃く継いでおったのだろうな。だから向こうの世界では苦しかったのだろう」

「うん、おりぇはじーちゃんとばーちゃん似らってよく言わりぇた」


 と、ハルは暗い顔をする。


「なんだ? 似ているのが嫌なのか?」

「しょうじゃない。じーちゃんとばーちゃんに似てりゅのは嬉しい。その事で両親かりゃいりょいりょ言わりぇた事を思いらしたんら」

「そうか。だがハル、もうその両親のいる世界じゃないんだぞ」

「うん」

「両親に会えなくて寂しいか?」

「おりぇを縛って苦しめてたのが両親ら。おりぇの眼が気持ちわりゅいと言ってたのも両親ら」

「なんだと……!? まったく! ヒューマンはどこの世界でもろくな事をせんな! 実の我が子に何してやがんだ!!」

「じーちゃん、らから寂しくないんら。身体も元気れ、自由れ嬉しいんら。しょりぇに、りひと達やじーちゃんに会えた」

「そうかそうか!」


 ハルを抱き締める長老。見た目はハイヒューマンだった祖父似だと言われたがそれでもこうしているとどこか似ているような気がする。ちょっぴり垂れ気味の目元などそっくりだ。

 曽孫も曽祖父も、嬉しくて嬉しくて笑みが浮かぶ……こんな、幸せな時間が訪れるなんて2人共想像もできなかった。



読んで頂きありがとうございます!

少しずつですがPV数が増えて嬉しい反面、評価が下がっていくのが微妙にショック(-。-;

宜しければ、ブクマと評価をお願いします!

週末です!頑張って書き溜めるぞー!

暑い日が続きます。コロナも増えてます。

皆様、体調には呉々もお気をつけ下さい。

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