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3巻発売記念SSーなんれもねー

 各国の遺跡調査から戻ってきた一行。ヘーネの大森林をシュシュに乗ったハルが行く。


「ねえ、ハルちゃん。今日は何をするのかしらぁ?」

「なんもしねー」

「ええー!?」


 なにもしないと言いながら、どんどん大森林の奥へと入って行く。ハルの肩にはコハルが乗っている。このメンバーだけで行動するのはかなり不安だ。何をしでかすのか分からない。止める者がいないのだから。


「ハルちゃん、大森林の奥に行ってどうするの?」

「なんもしねーじょ」

「ええー?」


 また何もしないと言う。だが、大森林の中は魔物が出てくるぞ。


「ハル、前からくるのれす」

「おー」

「え? え? どうするの? 魔物なんでしょう?」


 あたふたしているのはシュシュだけだ。ハルとコハルはじっと前方を見ている。その視線の先から、大きなイノシシのような魔物が突進してきた。ハルたちにロックオンしている。目が吊り上がり鼻息も荒く、まっすぐこちらに向かってくる。


「やだッ! なんなのよーぅ!」

「とおッ!」


 シュシュの背中からジャンプしたハル。コハルと一緒に、そのままの勢いで魔物目掛けて突撃だ。


「コハル! いっくじょー!」

「はいなのれす!」


 二人が高くジャンプする。そして繰り出すハルちゃんの必殺技。


「ちゅどーん!」

「どーん! なのれす!」


 ハルのドロップキックが炸裂し、コハルの回し蹴りで魔物がドーンと音を立てて倒れた。


「ふゅ~、まらまららな」

「まだまだなのれす」


 魔物の上に乗って、腕を組んでいるハル。一体何をしたいのだろう?


「ハルちゃん、ベースに戻りましょう」

「しゅしゅ、まららじょ」

「まだなのれす」

「もう、何がしたいのかあたしには分かんないわよぅ」


 またシュシュに乗ってハルは行く。大森林の中を無表情でどんどん奥へと進んで行く。


「ちゅまんねーな」

「つまんないのれす」

「ええー?」


 ハルとコハルの考えが全然分からない。そこにまた魔物が出てきた。今度は大きな熊さんだ。


「お」

「出てきたのれす」

「そりゃ魔物は出るわよ! 奥に行けばどんどん強くなるわよ!」

「とおッ!」


 またシュシュの背中から飛び降り、魔物に向かって走って行く。そしてハルはまたまた高くジャンプした。


「コハルー!」

「はいなのれす!」

「ちゅどーん!」

「どーん! 2回目なのれす!」


 またあっという間に大きな熊さんの魔物を倒した。


「ふゅ~、まららな」

「もっと多くならないとなのれす」

「らな」

「ええ? なんなの? ハルちゃん、教えてちょうだいよーぅ」

「なんれもねー」


 そっけないハル。そしてまたシュシュに乗って奥へと進む。

 今度は大きな大きな熊さんの魔物の群れに遭遇した。するとハルとコハルの目が輝きだした。待ってましたと言わんばかりだ。


「やっちゃ! コハル!」

「はいなのれす!」


 二人は張り切ってまたジャンプした。そして群れに向かってダッシュだ。


「ちょ、ちょっとハルちゃん! 群れなのよ! いくらハルちゃんが強いからって危険だわ!」

「らいじょぶら!」

「だいじょぶなのれす!」


 そう答えながら、どんどん二人で倒していく。コハルの回し蹴りが決まり、ハルのドロップキックが炸裂する。大きな大きな熊さんは、この大森林では超大型と言われる最大級の魔物だ。それをいとも簡単に倒していく。


「もう信じられないわ。どれだけ強いのよ」


 シュシュが呆気に取られて見ている。シュシュだって強いのだ。なにしろ白虎の聖獣だから。それでもハルとコハルの強さには敵わないらしい。

 手を出せないでただ見ているだけだ。どう参戦すれば良いのか、タイミングがつかめないでいる。その内、一番後ろにいた一際大きな熊さん目掛けてハルとコハルは走っていく。


「ああもう、きっと瞬殺なんでしょう?」


 シュシュが呟いたとおり、ハルとコハルのドロップキックが炸裂した。


「ちゅどーん!」

「どーん! いっぱいなのれす!」


 呆気なく熊さんの魔物は地響きをあげながら倒れた。


「よしッ!」

「よしなのれす!」


 両手を腰にやって満足気なハルとコハル。一体何がしたかったのか?


「コハル、この近くらじょ」

「近くなのれす。探すのれす」


 どうやら何かを探しているようだ。熊の魔物が出てきた辺りの倒木の中を一つ一つ確認している。太い幹が真っ二つに折れているその中を覗き込んで見ている。


「ねーな」

「まら探すのれす」

「しょうらな」

「ねえねえ、ハルちゃん。何を探してるの?」

「なんれもねー」

「あたしには秘密なの!? 言ってくれないのぉ!?」

「おたのしみら」

「ええー!?」


 そんなことをしていると、魔物が倒れた時の地響きでリヒトとルシカがユニコーンに乗ってやってきた。


「ハル! 何してんだ!?」

「どうしてこんなところにいるのですか!? 危険でしょう!」

「あ、みちゅかったじょ」

「みつかったのれす」


 それでもハルは倒木を確認する。余程気になるらしい。


「あ! あっちゃ! コハル! あったじょ!」

「あったのれす!」


 一つの倒木の幹を覗き込んで嬉しそうにしている。手を中に入れてゴソゴソしているが。


「とどかねー」

「しかたないれす」


 おかん化したルシカが走ってきた。しかもちょっぴりお怒りモードだ。


「ハル! コハル! 黙ってこんな奥まで来たら駄目でしょう!」

「なんだよ、これ全部ハルとコハルが倒したのか!?」


 リヒトは辺りに倒れている大きな大きな熊さんの魔物の数に驚いていた。


「るしか、とどかねーじょ」

「とどかないのれす」

「一体何を言っているのですか?」

「らから、あれら」


 ほら、とハルは幹の中を指す。それをリヒトとルシカが覗き込んだ。ハルとコハルが探していたもの、それは黄金色に輝く魅惑の甘さのレッドベアビーの蜂蜜だ。


「アハハハ! ハル、なんだよそれ!」

「らって、りひと。らいしゅきなんら」

「大好きなのかよ! アハハハ! よく覚えていたな!」

「らって前に、りりぇいしゃんと、とったらろ?」

「おう、確かにな!」


 ハルが言っているのは、以前北西のベースの管理者であるリレイ・グリーエンと一緒にベア種を討伐して、蜂蜜をゲットしたことだ。

 ハルは覚えてないらしいが、あの時はベア種だけでなくレッドベアビーも倒していた。

 ベア種が狙っていた巣があって、そこに蜂蜜があったのだ。今回はたまたま運が良かったと言える。

 ルシカが呆れているぞ。もう怒る気にもならないらしい。


「仕方ありませんね、持って帰りましょうね」

「おー!」

「はいなのれす!」

「ハル、そんなに好きなのかよ」

「らって、りひと。はちみちゅはうめーじょ」

「おいしいのれす」


 わざわざ蜂蜜を探しにきていたらしい。


「なに!? なんなの!? それがどうして秘密なの!?」


 腑に落ちないシュシュ。秘密にするほどのことでもないだろうという話だ。


「しゅしゅもしゅきらろ? らから、驚かせようとおもって」

「やだ! ハルちゃんったら! 可愛いぃ!」


 シュシュはハルが何をしても可愛いらしい。

 その日のオヤツは、ルシカ特製のフルーツが沢山のったパンケーキだった。もちろん蜂蜜がたっぷりかけてある。


「やっちゃ! いたらき!」

「いたらきなのれす」

「きゃー! 美味しそうだわぁ!」


 三人とも、蜂蜜でお口の周りをテカテカにしながら食べた。いつものように、ハルのお口の周りを拭きながらルシカが言った。

 

「ハル、言ってくれれば蜂蜜ならありましたよ」

「え……」


 元も子もないルシカの一言だった。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


遅くなりました!ハルちゃん3巻発売記念SS、2本目の投稿です。これでおしまいです。

一つ目はちょっと真面目な感じだったので、二つ目はちょっぴりふざけてみました。

こっちの方がハルちゃんぽいと思うのは私だけでしょうか?(^◇^;)

3巻をお買い上げいただいた皆様、ありがとうございます!

突然ですが、ここでクイズです!

Q:3巻の中でハルちゃんが言う合言葉を加筆してます。さて、それは何でしょう?

正解された方には賞品を……残念ながらありません!(´>∀<`)ゝ


そろそろラウの続きを投稿しなければ!頑張ろう!୧(⑉•̀ᴗ•́⑉)୨

ハルちゃん3巻発売中です!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
久々のハルちゃん! 『ちゅどーん』www 楽しかったです。 相変わらずカッコかわいい〜(⌒▽⌒)
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