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282/296

282ー番外編 その後 1

「こりゃあひでーな」

「親方、なんとかならんか?」

「ん? 任せとけ! 元より良いもん作ってやるぜ! ガハハハ!」


 ここは、アンスティノス大公国。魔物が暴れた3層と2層、そして城壁を確認して回っている長老とドワーフのヴェルガー親方。


「おやかちゃは剣らけじゃないんらな」


 この舌ったらずな喋り方は、ハルだ。長老に抱っこされている。もちろん、リヒト達いつものメンバーもいる。


「おう! 俺はなんでもするぞ! 物を作るのが好きなんだ! なんでも作るぞ! ワハハハハ!」


 ハルとカエデの剣を作ったエルダードワーフの親方だ。

 あれから、ドワーフの国ツヴェルカーン王国でアンスティノス大公国の再建について話し合いが開催された。

 顔ぶれは、ドラゴシオン王国から竜王である白龍王バイロンとおばば様ホアン。

 ツヴェルカーン王国からは、ドワーフ王であるドヴェルク・ツヴェルカーンと国1番の学者ゲレール。

 エルヒューレ皇国からは皇帝レークス・エルヒューレと長老ラスター・エタンルフレ、そして長老の妻であり研究者のアヴィー・エタンルフレ。アヴィー先生は実際に何十年とアンスティノス大公国に住んでいた事もあり特別に出席だ。

 アンスティノス大公国からは、大公であり獅子の獣人アサド・ロワレーヴェと、熊獣人で大臣のウルクダ・ドップベール。

 錚々たる顔ぶれだ。被害が出たアンスティノス大公国から1番行きやすいツヴェルカーン王国での開催となった。開催地については、エルヒューレ皇国にたどり着くにはヘーネの大森林を抜けないといけない。また、ドラゴシオン王国は竜族の国だ。本能的な意味で獣人には厳しいと判断し、ツヴェルカーン王国での開催となった。それに、警備面や各国の要人を迎える準備等も被害に遭ったアンスティノスでは心許無いとの判断だ。

 竜王とおばば様、そして竜王の側近や護衛達だけだと言うのに大公に追随してきた獣人達は怯えている。やはりドラゴンは頂点だ。とは言っても、獅子獣人だって獣人の中では頂点だ。他種の獣人と比べると身体能力や何もかもが秀でている。それでも、ドラゴンは別格らしい。


「そう怯えるでない。話ができないであろう」

「は、申し訳ありません。本能的なもので……」


 竜王である白龍王バイロンが、大公に声を掛ける。


「長老、実際にその場にいたのであろう? どの様な感じだ?」

「はい、バイロン様。城はその場にいたエルフが総力でシールドを展開しましたので城壁が崩れた程度です。しかし、魔物が暴れた街は壊滅的ですな」

「なんと! その様な場にハルがいたのか?」

「はぁ、まあ。おりましたな」


 公の場だと言うのに、竜王はハルの心配か? 確かにハルはあの場にいた。しかも、張り切って走り回っていた。


「ハルは爆心近くにいたと聞いたよ」


 おいおい、一体誰が喋ったんだ? おばば様が何故知っているんだ?


「ハルは一時意識がなかったそうじゃないか」

「なんだと!?」


 全部おばば様に筒抜けじゃないか。


「おばば様、大丈夫ですわ。元気にしておりますよ」

「そうかい、アヴィー。大事にしなきゃだよ」

「はい、おばば様」


 おやおや、会議はどうした?


「ハルはまだ幼いのに無茶をする」

「本当に、誰に似たのやらだよ」

「ワハハハ! 長老にそっくりで可愛らしい子でしたな!」

「ドワーフ王、長老よりあの性格はアヴィーだろう」

「おや、皇帝。そうですか! 長老も大変ですな! ワハハハ!」

「いやはや、これは参りましたな」

「やだわ、私そんなに無茶しませんよ」

「アヴィー、自分の事は分からないもんだね」

「まあ、おばば様ったら」


 何故にハルの話になる? しかも、各国のトップが集まっている場でだ。


「ハルは可愛い。皇子達もハルを可愛がっておる。あれは宝だ」

「ああ、我が国でもだ。またリヒト達と共に国へ来ると良い。皆、ハルに会いたがっておる」

「その時はまたうちに泊まるがいいよ」

「おばば様、ありがとうございます」


 なかなか本題に入らない。


「皆様、アンスティノスの再建ですが」


 長老が話を無理矢理戻した。


「ドワーフ王、どうだ?」

「竜王、街の再建は良いのだ。その為の人材を派遣しよう。だが、資材の運搬を頼みたい」

「ああ、かまわん」

「前の状態に戻すだけでは駄目です。あの街では精霊が寄り付きませんわ。瘴気も出したまんまです」

「アヴィー、そんなにかい?」

「はい、おばば様。ハルが見たのですが、アンスティノスに精霊はいないと言っておりましたわ。そして、アンスティノスが出した瘴気はヘーネの大森林にある魔石が浄化しているのではないかと思われます」

「なるほど……」

「あ、あの……瘴気やら精霊やら私共には意味が分かりません」


 アンスティノスの大公がおずおずと手を上げて尋ねた。


「なんと! 知らんと言うか!?」


 ドワーフ王、声が大きい。大公が萎縮してしまう。


「説明致しますわ……」


 と、アヴィー先生が大公に精霊から瘴気を浄化する魔石の事まで説明をした。


「それらをエルフの方々が浄化して回られたのですか!?」

「そうだ。先に話しておったハルにベースの管理者であるリヒト、長老が中心となってな」

「我々は何も知りませんでした」

「まあ、仕方のない事だ」

「竜王、そう言って下さいますか?」

「アンスティノスは今迄知ろうとはしなかった。我々も瘴気に関しては長老に知らされて初めて知ったのだ。これから考えていけば良い事だ」

「ありがとうございます。今回、ヒューマン至上主義の者達を更迭しました。何より魔物が暴れた影響が大きくもう力もないでしょう。これから我々も変わって行かなければと思っております。どうか、皆様。お力を貸して頂きたく!」


 大公アサド・ロワレーヴェが頭を下げた。これで正式に、各国がアンスティノス大公国の復興に乗り出す事が決まった。

 資材の運搬をドラゴシオン王国が。実際に街の復元にはツヴェルカーン王国が携わる事になった。

 その際、街を一から設計し直す事が決まった。浄化する為の魔石の設置を含めてだ。それには、フィーリス第2皇子が協力する事となった。

 そして、アンスティノス大公国の3層目にある小高い広場には、ハイヒューマンの慰霊碑を建設する事が決まった。二度と同じような事を起こさないよう、2000年前に起こったハイヒューマンの殲滅も慰霊碑に刻まれる。その真下に、瘴気を浄化する為の魔石が設置される。

 下見に長老達とエルダードワーフの親方がアンスティノス大公国を訪れていた。今回はもう1人……フィーリス第2皇子も一緒だ。


ハルちゃんの投稿はお久しぶりになります。

見切り発車です。結末はまだできていません。

ですので、不定期投稿になってしまいますが、宜しくお願い致します!

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