表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
226/296

226ー海中でおやつ

「ハル、起きたか」

「ん、りゅしかのおやちゅら」

「ハル、そうなのですが……」

「りゅしか?」

「ルシカ、どうした?」

「私達は息が出来るので、普通に動いていますが海中ですよね」

「おう、海中だな」

「リヒト様、海中に食べ物を出したらどうなるのでしょう?」

「あ……」

「ありゃ……」

「アハハハ! ルシカ、大丈夫だぞ」

「長老、本当ですか?」

「ああ、地上と同じ様にしても大丈夫だとシェンラ殿が言っていたぞ」

「らいじょぶらって! りゅしか、おやちゅ食べりゅじょ」

「はいはい。長老、信じますよ。カエデ、お茶を入れて下さい」

「はいにゃ」


 既に皆、歩かなくなっている。慣れるのが早い。ルシカもカエデもトンと床を軽く蹴ってそのまま進んでいる。


「しまっちゃ。おりぇがお昼寝してりゅうちにみんな慣りぇてりゅじゃん」

「アハハハ、ハル。どうした」

「らって、じーちゃん。かえれまれ普通に泳いれりゅ」

「ああ、あれは泳ぐと言うかなぁ。まぁ、少し違う気もするがな」

「しょうか?」

「ああ」

「あれは泳ぐと言うより、浮いているか?」

「リヒト、確かにな」

「けど、ハル。移動手段だがな、超面白いぞ」

「え、ろんなんら?」

「お待たせしましたね、ハル」

「おぉー! りゅしか、パイか?」

「はい。マロンパイです。中にマロンと一緒にカスタードとハルの好きな生クリームが入ってますよ」

「やっちゃ! いたらき」


 ハルは早速、パイにナイフを入れる。


「ハル、だからな」


 パクッと大きなお口を開けて食べる。


「んまい!」

「良かったです」

「いや、だからな」

「りひと、めちゃうまいじょ。ふちゅーに食べりぇんらな! 不思議ら」


 海中でもほっぺに生クリームがつくんだな。最初の1口目で、もう生クリームがついている。


「アハハハ! リヒト、まあ少し待て」

「ルシカのおやつには敵わないか」

「リヒト様もどうぞ食べて下さい」

「リヒト様、お茶入れたで」

「カエデ、お茶本当に美味しいわ。上手になったわね」

「アヴィー先生、ありがとう!」

「うふふ。カエデ、良かったわね」

「はいにゃ、ミーレ姉さん! 継続は力なりや!」


 カエデが皆にお茶を出している。毎日毎日、シュテラリール家の執事であるロムスにチェックしてもらって練習していた成果だ。


「れ、りひと。移動がなんらって?」

「いいさ、先に食べな」

「え、聞きたいじょ」

「なんだよ、食べるんじゃねーのか?」

「ん、食べりゅけろ、聞くじょ」

「そうかよ。移動手段なんだが船じゃねーんだ」

「リヒト様とイオスと私だったからでしょう?」

「けど、ルシカ。普段は態々船を出すよりこっちの方が主流だと言っていただろう?」

「まあ、そうですが。あれはハルには無理でしょう?」

「あー、そうだな」

「え? なんら?」

「あのな、船で移動したんじゃなくてな」


 リヒトが言うには、また別の移動手段があるのだそうだ。その方が小回りがきいて都合が良い。停めておくのも場所を取らない。街中を行くにはそっちの方が便利なんだそうだ。


「え、ろんなんら?」

「モラモラって言うんだ」

「もりゃもりゃ?」

「船を引いていただろう」

「おぉ! ありぇに乗りぇんのか!?」

「そうなんだよ。馬で言うと鞍みたいなのを付けていてな、そこに乗るんだ。そんなに速さは出ないんだけど、力強く泳ぐんだよ」

「しゅげーな!」

「スゲーだろ? でもハルはまだちびっ子だからな」

「え、無理か? りひと、ひでーな」

「いや、何でだよ!」

「ワシが一緒に乗せてやるさ」

「いやいや、長老。何言ってんだよ。それなら俺が乗せてやるさ。馬にだって俺が乗せてんだから」

「そうか?」

「ろっちれもいいけろ、乗りたいじょ」

「どっちでもいいのかよ!」


 そこはリヒトにと言って欲しかったか?


「ちゃんと思う通りに泳いでくれるしな、便利だぞ」

「また、リヒト様。ハルに危ない事を教えないで下さいよ」

「ルシカ、何だよ。教えねーよ」

「なんら?」


 ルシカがハルのほっぺを拭いている。


「リヒト様は調子に乗って宙返りとかしていたんですよ」

「おぉー! りひと、しゅげーな!」

「ルシカ、それは言ったら駄目だろ」

「おや、そうですか?」

「カエデもあれだと乗れるな」

「イオス兄さん、ほんま?」

「ああ。ゆっくり泳いでくれるから大丈夫だ。街中でそうスピードは出せないしな」

「そうなんや。泳ぐよりはマシやな」

「なんだ、カエデ。もう泳げるだろ?」

「イオス兄さん、ちょっと移動するのと泳ぐのとは違うし」

「大丈夫だよ」

「いや、油断したらあかんねん。猿も木から落ちるて言うやろ」

「え!? かえれは猿らったのか!?」

「なんでやねん! ハルちゃん、まだ寝ぼけてんのんか?」

「起きてりゅじょ。りゅしかのパイはウマウマら」

「なぁに、カエデ。本当怖がりね」

「シュシュ、マジでそばにいてや」

「はいはい、分かってるわよ」


 ネコ科同士、虎と猫だが。シュシュは虎だが、カエデももう平気らしいな。


「で、どうだったんだ?」

「それが長老、マジでびっくりするぞ」

「そんなにか?」

「ああ。こう……なんて言うか……ズゴーン! と、ブッ刺した感じだ」

「巨岩がか?」

「そうだ、巨岩がだ」

「りひと、じぇんじぇん分かりゃんじょ。語彙力ねーな」

「ヒデーな! え? 雰囲気分かるだろ?」

「リヒト様、それでは言葉が足りませんよ」

「そうか?」

「はい。長老、巨岩と言うよりはですね」

「巨岩と言うより?」

「巨岩と言うより……岩盤ですかね」

「岩じゃん! 一緒じゃん!」

「アハハハ! ハル、いいツッコミだ!」


 まあ、とにかく。リヒトとルシカの説明では、山の様なゴツイ岩ではなく厚みはそうある訳ではないらしい。ある程度平らな岩が突き刺さっているらしい。しかも、大きい。巨大だ。それが墓地に通じる道を分断している。


「何メートルあるでしょうか?」

「そうだな、10〜15メートル位じゃないか?」

「そうですね。それが流れてきたマグマで海底に固定されているんです」

「まじ?」

「ああ、ハル。マジだ。でも、マグマがあそこで止まって良かったんだよ。巨岩がなかったら街までマグマが流れて来ていただろうからな。そうしたら、被害が出ていただろう」

「なるほど。じゃあ、あれか。ハルが言っていた様にバインドの応用でその巨岩を支えている間にマグマを破壊してどこかに持って行くか?」

「長老、バインドでどうこうできる大きさじゃねーぞ」

「なら、やはり無限収納か。無限収納に収納してどこかに出すか?」

「だとしても根元をどうするかだ」

「そりゃ、破壊するしかないだろうよ」

「その間に巨岩が倒れたらおしまいだ」

「タイミングだな」


 どれだけ大きな岩なのだろう。厚さはそう無くて、高さが10〜15メートルと言われてもあまり想像がつかない。


誤字報告ありがとうございます!

読んで下さる皆様、評価もよろしくお願いします!

目指せ、ランキング入り!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ