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217ー3人の服+

 本当に急がないらしい。何故なら長老はそれから2日間来なかった。


「じーちゃん、来ねーな」

「そうね、ハルちゃん」

「翌日には来るかと思ってたんやけどな」

「しょうらよな。あ、かえれの頼んれた服はろーなったんら?」

「さあ? 長老がなんにも言えへんからまだなんと違うかな?」

「しょっか……おしぇーな」

「そうかな?」

「ん、おしぇー」


 ハルちゃん達は今、おやつタイムです。

 今日もルシカ作のおやつを美味しくいただいているところだ。


「やっぱ、りゅしかのおやちゅはうめー」

「美味しいなのれす」

「本当、美味しいわ」

「うん、マジな」

「あなた達、太るわよ」

「みーりぇ、太りゃねーし」

「あら、ハル。どうして?」

「らって、おりぇの胃は小っしぇーんら」

「だから?」

「らから、しゅぐに腹がへりゅ」

「で?」

「消化してんら。らから太りゃねー」

「それは関係ないわよ?」

「え……しょう?」

「そうよ。ハル、最近ほっぺがプクプクよ?」

「確かにプクプクなのれす」

「あら、それは前からよ」

「そうやな」

「え、まじ?」

「マジよ」

「プクプクがいいんじゃない」

「せやな。可愛いもんな」

「え……」


 確かに、ハルちゃんはよく食べる。ルシカの飯は大事、おやつは大事と言って、外さない。しかもおやつは高カロリーの生クリームたっぷりが好き。

 で、太らないか? いや、太るだろう。いくら胃が小さいと言っても、身体自体が小さいのだから。


「……ら、らいじょぶら」


 あら、現実から目を背けちゃったね。


「大丈夫よ。ハルちゃんはよく動くから」

「そうやんな」

「そうかしら? 最近よくシュシュに乗ってない?」

「乗ってるなのれす」

「え……」

「まあ、そうかしら」

「うん、よく乗ってるよな」

「……ら、らいじょぶら……」

「ハル、お腹出てない?」

「こりぇは幼児体型なんら」

「そうかしら?」

「しょうら」

「プクプクなのれす」

「そうよね。ハルちゃんは全部プクプクだもの」

「うん、プクプクやな」

「え……」

「太って動けなくなっても知らないわよ」

「……」

「ハルちゃん、大丈夫よ」

「多分、大丈夫や」

「…………」

 

 とうとう無言になってしまったハルちゃん。おやつを食べる手が止まっている。


「けろ、みーりぇも一緒に食べてりゅじょ」

「私はいいのよ」

「なんれらよ!」

「太らないから」

「えー……」

「胃が小さいし消化してるのよ。大丈夫よ」

「え……」

「ミーレ、あなたハルちゃんと同じ事を言ってるわ」

「え? そう?」

「そうよ」

「しょうらな」

「一緒なのれす」

「そうやんな」


 この子達は……まあ、平和と言う事で。


「ハル、カエデ、ミーレいるか?」


 長老が手に大きな箱を幾つも抱えてやってきた。


「じーちゃん」

「あ、長老」

「何かしら?」

「あれじゃない? ほら服よ」

「その服だ。届いたぞ」


 ツヴェルカーン王国の『シュシュ』という工房で頼んでいた3人の服が届いたらしい。


「おしょいな、て言ってたとこら」

「すまんな。昨日届いていたんだが、ワシが持ってこれんかったんだ」


 早速、見てみるハルちゃん達。


「おおー」

「いいんじゃないかしら?」

「可愛いにゃあ」

「いいなのれす!」

「やだ、あたしも着たいわ!」


 どうやって着るんだ! 虎だろう!


「ハルちゃんの、シンプルやけど可愛いな」

「そうね、細いタックがとても丁寧ね」

「うんうん、あたしも着たいわ」

「膝丈パンツにブーツなんやな。このボタンみたいな飾りかっこいいやん」

「飾りボタンね、エタンルフレ家の紋章が入っているわ。なんて細いのかしら」

「カッコいいわ! あたしも着たいの!」

「みーりぇの、なんか生地がしゃりゃしゃりゃらな」

「な、凄いな」

「防御服に見えないわね」

「ね、シックで素敵! 着てみたいわ!」

「ミーレ姉さん、エプロンもあるで!」

「カエデもあるじゃない」

「かえれのメイド服、カッケーな」

「こういうの何て言ったかしら? ロスゴリ? ゴリロス?」

「ミーレ姉さん、なんでやねん! ゴスロリやん!」

「可愛い! あたしも着たい!」

「アハハハ! 気に入ったか?」

「じーちゃん、もちりょんら」

「長老、ありがとうございます」

「めちゃ、気に入ったわ! 長老、ありがとう!」

「ねえ、ねえ。あたしも着たいの!」

「そりゃ、良かった。セイレメールに着て行けるな。間に合って良かった」

「聞いてる? ねえ、スルーなの?」

「しゅしゅ、虎らから」

「そうやんな、虎やもん」

「うるさいなのれす」

「そうよ、どうやって着るのよ。無茶言ったら駄目よ」

「やだ、ミーレ。冷たいわ!」

「まあまあ、シュシュにはこれだ」


 長老がシュシュの首輪に重ねて着ける。


「なぁに? 見えないのよ」

「おお! シュシュ、カッケーじょ」

「うん、いい感じやな」

「似合っているわ」

「まあまあなのれす」


 シュシュには、アンティーク風のレースを基調に、中央に黒い魔石が付いているチョーカーだ。

 シュシュの白い体毛によく映える。


「やだ! ステキ!」


 ミーレに鏡を見せて貰ったシュシュ。気に入ったらしい。


 カエデは黒いレースとリボンで出来たベッドドレスに胸元のふんわりしたリボンがポイントの、黒いゴスロリ調のメイド服。エプロンは白だが、黒のレースのリボンとパイピングで可愛い感じに仕上がっている。1回転したりして中が見えても大丈夫な様にとのカエデのリクエストで、裾にレースがついた膝上丈で黒いスパッツの様なものも付いている。

 ミーレはシックな侍女服だ。だが、生地が凝っている。よく見ると同色のレースで縁取ってあったり、白いエプロンには淡いブルーとブロンド色の糸で刺繍が入っている。ミーレの髪色と瞳の色だ。

 ハルも、シンプルな白いシャツに濃いグレーの膝丈パンツとブーツだ。

 シャツは前面に細かくタックをとってあり、首元は細いリボンを結ぶ様になっている。パンツと同色のサスペンダーが付いていて、飾りボタンの1つ1つにエタンルフレ家の紋章入りだ。また、パンツと同色のケープマントもある。


「しゅげー」

「どうだ、良いだろう?」

「じーちゃんしゅげーや!」

「さすが、ドワーフよね。仕事が丁寧だわ」


 シュシュ、虎に分かるのか?


先日、ファンタジー部門日間ランキングで114位でした!皆様のお陰です。ありがとうございます!

これからも、評価とブクマを宜しくお願いします!

目指せ100位内!


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