表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆3巻発売中☆ちびっ子転生者は手に負えないッ!〜転生したらちびっ子だったけど、聖獣と一緒にちゅどーん!する〜  作者: 撫羽
2.おりぇ、エルフの国に行っちゃったよ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/296

21ーリヒトの家族 1

「母上、ハルが驚いてますから」

「あなたがハルね。私はリヒトの母よ。よろしくね」


 ハルはリヒトが言ったように驚いて固まっている。ハルは前世の事もあり女性が少し苦手だ。特に母親という立場の女性が苦手だ。

 ミーレは最初から淡々と普通に接してくれたので平気だったのだが。テンション高めでグイグイ来られると、つい引いてしまう。


「り、りひと……」


 ハルがリヒトの服の裾を掴み縋るように見つめる。


「母上、落ち着きましょう。ハル、大丈夫だ。母上は誰にでもこうなんだ」


 リヒトがハルの頭をポンとした。


「お、おりぇ……はりゅれしゅ。世話んなりましゅ」


 ハルがペコリと頭を下げた。


「まあまあまあ! やだー! ちゃんとご挨拶できるのね! なんて可愛いんでしょう!」


 ハルは驚いてリヒトの足にしがみついた。男だったら、リヒトの家族じゃなかったらきっととっくにパンチしているだろう。


「これ、リュミ。ハルが驚いているだろう」

「あなた、だってこんなに可愛い子……」

「落ち着きなさい。ハル、驚かせてすまないな。私はリヒトの父だ。よろしくな」


 リヒトと同じ髪色と瞳の色の男性が、しゃがんでハルと目線をあわせてハルの頭を優しく撫でた。


「よりょしく。世話んなりましゅ」


 またハルがペコリとお辞儀をした。


「お利口だ。本当に小さいんだな。私は父様だ。呼んでみてくれ」


 ハルの頭を撫でながらそんな事を平然と言う。いや、父様なんて他人なのにしかも初対面なのに呼べないだろう? と、戸惑うハル。


「父上、いきなりですか?」

「リヒト、構わないだろう? 私はリヒトの父だ。間違ってはいない」


 いやいや、違うだろう。


「ハル、呼んでくれないか? 父様だ」


 ハルがリヒトを見る。おかしいだろう? いいのか? どうすんだ? と……

 リヒトが仕方なく頷いた。ため息をついている。


「と、とーしゃま……」

「ああ、そうだ。父様だ! えらいぞ!」


 感無量といった表情のリヒトの父。


「まあ! あなただけズルイわ! ハル、私は母様よ。母様」


 もう、ハルは仕方ないといった表情だ。


「かーしゃま……」

「そうよそうよ! 母様よ! よく来たわね! おやつを用意してあるのよ。さあさあ、入って。ルシカ、ミーレあなた達もよ」


 ハルはリヒトの父に抱き上げられた。そのまま邸の中に入っていく。

 既にハルは軽くパニックだ。何だこれ? 歓迎してくれているんだよな? しかし、父様に母様なんて……理解が追いつかないハル。


「ハル、だから言ったろ? エルフは皆で可愛がるって」


 それにしてもリヒト……度が過ぎないか?


「まあ、うちの両親は特にだ」


 特にな……なるほど……

 邸の応接室だろう部屋に連れて行かれたハルは、リヒトの父親の膝の上に座らされた。


 また……なんでこうなる?


「父上、いい加減になさってください」


 そう言いながらハルを助け出してくれた男性。


「ハル、驚かせてすまない。私はリヒトの兄だ。兄様だよ。」


 そう言いながらまた膝の上に座らせられる。同類じゃねーか! と、ツッコミたくなる。


「何をなさっているのですか、落ち着いて下さい」


 あ、やっとマトモそうな(?)人物が出てきた。


「私はこの家の執事でロムスと言います。疲れていませんか?」


 ルシカと同じダークエルフらしい男性がやっとソファーに座らせてくれた。


「りょむしゅしゃん。ありがちょ」

「おやおや、ロムスで構いませんよ。おやつのクッキーを食べますか?」

「うん、こはりゅも出していいか?」

「コハルとは、聖獣の子リスでしたか? 構いませんよ」

「ありがちょ。こはりゅ、おやちゅらって」

「ピルルル」


 と、コハルがハルの服の中から出てきた。


「ほう……亜空間ですか?」

「うん、やっぱ分かりゅ?」

「いえ、そうしていれば普通は分からないでしょう。よく考えましたね」

「エヘヘへ」

「コハルもどうぞ。クッキーですよ。飲み物は何がいいでしょう? フルーツジュースか果実水どっちにしますか?」

「じゅーしゅがいい!」

「はい、畏まりました。お待ち下さい」


 おおー、マトモじゃん! と、ハルは思っている。多分。ハルが執事とやり取りをしている間、リヒトの両親と兄はデレッとした顔でハルを見ていた。


「リヒト、無理だな。可愛い過ぎるだろ」

「兄上、こう見えてハルは超大型も倒すのですよ」

「ああ、リヒト。報告書は読んだが、本当なのか?」

「はい、父上」


 ハルは興味がないらしく……コハルと一緒におやつのクッキーに夢中だ。コハルのほっぺがぷっくりと膨れている。大分溜め込んでいるぞ。


「超大型ではないですが、実際に大型を倒すところを見ました」

「大型、そうか……で、リヒト。長老に会いに行くのだろう?」

「はい、父上。長老のご都合はどうでしょう?」

「今は城に詰めておられる」

「城に? 父上、何かあったのですか?」

「リヒト、近辺でオークキングが立て続けに目撃されたんだ。どうやら近くに村を作っているらしい。その調査で長老が城に詰めておられる」

「オークキングですか。だからですか? 来る途中、オークが多く出ました」

「ああ。影響はあるだろうな。オークキングが率いているのかも知れん。落ち着いてからの方が良いだろう」

「父上も城に行かれるのでしょう?」

「明日からな。今日はハルを連れて来るのが分かっていたから休みをとった。いや、暫く休みにしようか? 一層の事辞職しようか?」


 この親父、何を考えているのか。


「父上、ハルは直ぐには帰りませんから」

「リヒト、そういう問題ではない」


 いや、どんな問題なんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] なかなか愉快なファミリーですね笑笑
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ