島のお祭り
その後会議のことを来儀さんに伝えに行った。
「会議の件は大丈夫だよ。日程変えとくね。」
あの栄仁が熱か〜なんて言って笑ってた。
「実はさ、9月に卒業祭っていうのが毎年雪島と合同であるんだけど、今年はうちの担当で。出し物を急遽考え直さなきゃいけなくなっちゃって。それで栄仁、寝不足だったんだろうな」
「卒業祭?出し物?」
どうやら年に1回、隣の島の雪の島(船で1時間半くらいかかるらしい)と合同で、その年の高校卒業生の門出を見送る会をしているらしい。毎年交代で企画しているのだが、今年は桜島の番らしいのだ。
桜島の人皆で、出し物をするものらしい。
「へ〜!そんな大きなお祭りがあるんだ!
すごいですね!」
「お祭りの日は、外部の人も沢山やってくるんだよ。桜島の出し物は、劇をやる予定だったんだけども.........取り仕切ってた博物館のおっちゃんが体調崩しちゃって、話が進んでないんだよ。栄仁は劇とか取り仕切るの絶対無理だしね」
は〜困ったな……と来儀さんは言っていた。
博物館ってことは、イーリンのお父さんのことかな。
うーん、私に出来ることないのかな。
皆で出し物.........そうだ!
「ね!来儀さん!この企画、私に任せてくれない?」
「え?朱里ちゃんが?」
「任せて!計画がまとまったらまた伝えるね!じゃあそろそろ栄仁の様子見に帰らなきゃ!」
栄仁、喜んでくれるかなとつい呟く。
「朱里ちゃんって、ほんと栄仁のこと好きだよね」
「え?」
「え?」
「やだそんな好きだなんて.........」
いや、好きかもしれない。
確かに最近、栄仁が喜んでくれると嬉しいし、喜ばせたいし、一緒にいると嬉しいけど恥ずかしいし......
来儀さんは、そんな百面相してる私をケラケラ笑って見ていた。
「ぷっ!自分で気づいてなかったんだ。ほんと朱里ちゃん面白いわあ。まあ栄仁の方も満更でもなさそうだけど」
私は初めての好きという感情に気づき、あたふたしていて、来儀さんの言葉を最後まで聞き取れてなかった。




