元の世界に帰る方法
次の日
栄仁は見回りついでに来儀の洋服屋に来ていた。
「異世界からきた!? そんな話ほんとにあるわけ!?」
栄仁は来儀に朱里が来た話をしていた。
「どうりで見たことない顔だと思ったけれど」
「最初はありえないと思ったが、あいつは不思議な歌を歌っていたんだ。」
この世界の歌と言えば、詩を読むのことであり栄仁にとっては衝撃的なことだった。
「へえ。それは聞いてみたいな。なんだか魔法みたいだね」
異世界から来たというのに不思議と納得してしまったのも、歌を聞いてからだった。
「そういえばーーー、北の山の上に住んでたあの爺さん、子供の頃に同じような話をしてたぞ」
「どういうことだ?」
来儀はお爺さんから子供の頃に聞いた話を聞かせた。
「ある日他の世界から男の子がきて、不思議な魔法を使っていたって。その子はもう元の世界に戻っていったけれど、爺さんにとって特別な思い出だって。」
当時は夢物語を言ってたと思ってたが、もしかしたら本当だったのかもしれないと来儀は思った。
「あそこの爺さんは一昨年亡くなってしまったが.........まだ婆さんがいるはずだ。調べてみる価値はあるな」
朱里が元の世界に戻る方法が分かるかも知れないと栄仁は思った。
嬉しいことのはずなのに、何故か胸が苦しかった。