警察官との出会い
橋に近づくとまるで時代劇のセットのような建物が並んでおり、道行く人がまるでチャイナドレスのような服や、中国の古代衣装のようなものを着ていた。
お店の看板には象形文字のようなものが並んでおり、不思議と読むことができた。
映画のセットにしては、妙にリアルだし、何だかジロジロ見られ、何あれ、変な服、などと呟いている声が聞こえる。
落ち着いた私は状況を整理して、おそらく異世界トリップしてしまったというこという結論に至った。
信じりられない話だけれども、それが一番腑に落ちた。
とりあえず私はリリーちゃんの言葉を頼りに、警察官を探すことにした。
警察官なら助けてくれると思ったのだ。
橋を渡ってキョロキョロしていると、
「お巡りさんー!こっちよー!」という声が聞こえてきた。
誰かが探してきてくれたんだわ!助かったーなんて思って振り向いた途端、誰かに腕を捕まれ床に叩きつけられた。
「貴様、何者だ」
そして今にいたる。
感情の見えない冷たい声。
押さえつけられてる私を囲んでる人だまりができていた。
「変な着物に黒い瞳、何者なんだ。」
ダラダラと汗が流れてくる。
私は唇を噛み締め何とか声を出した。
「ーーっ...待って下さい。私、高津朱里といいます。異世界から来たんです。私は変な人じゃ決してなくて、あの、悪い人じゃないんですっ!!」
自分でも何を言ってるか混乱していて分からないけど、必死に言葉を紡ぐ。
「異国の物にしても見たことないな。とりあえず牢に入れるか。」
やだやだやだ、怖い!怖すぎ!
打ち付けられた膝も痛いし、腕もいたい、お巡りさんはまだなの!?
首を何とか動かし周りを見渡すと遠くから誰かが走ってくるのが見えた。
「おまわりさーん!待ってえー!そのおねえちゃん悪いひとじゃないのー!!」
声の主は、朝河原で会ったリリーちゃんだった。
はあはあいいながら、溺れてたところを助けて貰ったことを説明しているのが聞こえる。
でも今お巡りさんって言った?
「リリーの話は分かったが、まだ油断はできないな。」
私を掴んでいた手が急に離され、私は地面に倒れこんだ。
「いったぁ...。」
なんとか膝を擦りながら立ち上がった。
ふと目線を上げると見覚えのある帽子と制服。
そう、まるで時代劇に出てくる警察官みたい。
それに、ブルーの瞳に透き通るような白い肌、柔らかそうな黒髪、180センチ以上ありそうな長身は145センチしかない私は、目を合わせるだけで一苦労だったが、悔しいことにとてつもなくかっこいい人だった。
「小さいな」
見ず知らずの人に小さいって言われた!?
「う、うるさいわねっ!あなたがデカすぎるんじゃないの?」
私はキッと睨みつける。
「とりあえず、署まで来てもらうぞ」
「え?」
私を束縛していたのは、唯一の希望だった
警察官だった。