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2人でディナーを食べにきました


次の日の祭りの準備の後、私はイーリンとレストランへ来ていた。

リンユウちゃんのお母さんがやっているお店らしく、落ち着いた雰囲気の可愛らしいレストランだった。


「わ〜!かわいいお店!」

「アカリが好きそうだなと思ったんだ。気に入ってくれてよかった!」

私たちはお祭りのことを話しながら、食事を楽しんだ。


「実は、博物館を継ぐの前まで嫌だったんだ。

高校卒業したら、他の島の大学に行くかどうか考えてたところだったし、博物館なんてジジくさいなんて思ってて」

「でも、アカリにあって、アカリの前向きさを見てたらここで頑張るのも悪くないって思えるようになったんだ。自分が本当にやりたい仕事かどうか分からないけれど...」

イーリンの手は少し震えていた。


「自分の本当にやりたい仕事が何かを知るのはすごく難しいことだと思う。でもイーリンはいつも博物館を盛り上げようと沢山企画したり、展示物も丁寧に扱ってるし...私はそんなところを尊敬してる。それに今頑張れてるってだけで充分なんじゃないかな。やりたい仕事は見つけられてなくても、やりたいことができてれば、私はそれで満点だと思う」

偉そうなこといっちゃったかなと笑った。

「アカリはやっぱり魔法使いだ」

イーリンは微笑んでいた。


店を出た途端、イーリンは私の手を掴んだ。

「あのさ、アカリは......栄仁さんとはどんな関係なの?」

「へ?どんなって何も無いよ!」

まさか栄仁のことを聞かれるとは思っていなかったため、ドキリとした。

「同じ家で過ごしてて、本当に何も無いの?」

イーリンの顔が私に近づいた。いや、近すぎじゃない?思わず後ずさる。

「ないない! 私の事子供扱いしてるし。私が一方的にいいなって思ってるだけ......。でも、それでもいいって思ったんだ」

「そんな報われない思いなんて辞めたら?」

イーリンにさらに強く掴まれる。

「あの、イーリン、痛いよ...?」

私の声が聞こえていないのか、さらに私を壁際に追いやった。イーリンはいつも温和なため、急に変わって怖かった。

背中に冷たい壁を感じる。

「あんな奴なんてやめなよ。俺がっ...」

その時突然腕が離れて、引っ張られた私は誰かの腕の中に包まれた。

「栄仁!?」

そこにはいかにも不機嫌そうな栄仁がいて、私は背中から手を回されており、身長差のあるため私は栄仁の腕の中にすっぽり抱きしめられているような体制だった。

「な、なんでここに......?」

「迎えに来たんだよ、ほら帰るぞ」

栄仁はギロリとイーリンを睨みつけていた。イーリンはなにか言いたそうな顔をしながらも何も言ってこなかった。


お店から離れてからも栄仁は繋いだ手を離さなかった。

「あの、栄仁迎えに来てくれてありがとう。あの、怒ってる?」

「いや、怒っていない。だけど......」

ブルーの瞳が私を移す。

「心配した。頼むから俺の目の届くところにいてくれ。アイツに何かされなかったか?」

握られた手が熱い。

「な、何にも......。何かってなに?」

「抱きしめられたり、キスされたりした?」

「そ、そんなこと!されてないよ!第1こっちの世界に来てから恋愛なんて」

栄仁さんはピタリと足を止めた。

「こっちの世界に来てから......? ......来る前は何かあったってことかよ」

ぐいっと腕を引っ張られて距離が詰まる。

見上げると熱っぽい視線が見えて、顔に熱が集まる。

「その顔、俺以外にするな、あと他の奴と出かけるな、話しかけるな、無邪気に笑うな」

「そ、そんな無茶な.........!」

ブルーの瞳が近づいてきたと思ったら、唇に柔らかい感覚がした。

「お前は......俺が好きなんだろ!」


いつも冷たいブルーの瞳が熱っぽく見えた。

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