表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/38

8話―山葵―

部室でのんびりと退屈な時間を過ごしていた時。

部員の1人がいないことに気がつく。

「あれ………?竜児がいなくない?」

そう問いかけてみるが、誰も答えるものはいない。

部長はだらしなく窓のさんに腰をかけ、ボーっと外を眺めている。

それだけで見栄えのある絵のように見える。

っていうかそこ危ないんですけど……ここ3階なんですけど。

でも部長なら落ちても普通に生きてそうだ。骨も折らずに。

愁兎は机に突っ伏している。寝ているのだろうか、微動だにしない。

自慢の茶髪がボッサボサになっている。

たぶん、授業中も寝ていたのだろう。

水原は本を読んでいる。ブックカバーがついているから何を読んでいるのか分からないが、

間違いなく危険な香りがする。

ところどころ黒い笑みが見える。

っていうか全員がシカト。それほどどうでもいいのだろうか。

確かにあの放送室男大好き事件(誰かが命名)から扱いがさらにひどくなっている。

水原なんかBL扱いしているからな……

「空気が変わった。」

そう水原が小さくつぶやいた瞬間。勢いよく部室のドアが開かれる。

「みんな聞いてくれっ!」

入ってきたのは、竜児だった。

「どうしましたか?男について話し合うんですか?」

そう水原が返す。

「違うわっ!いいか、よーく聞け!俺が依頼を授かってきた!」

「本当か!」

部長が生き返る。目がキラッキラ光り始める。

ああ、もうこの人は……

「部長!可愛い!マジで俺萌え死ぬわぁーーー!」

「その目は潰した方がいいですね。」

緑色の液体aが竜児の目の中に吸い込まれていく。

ツン、と匂いがするこれは……

「わさビームです。どうですか?ネーミングセンスとあわせて。」

水原がこちらを見ている。

え?これは、俺に対して何を求めているんだ?

「う、うん……いいじゃないのか?」

「チッ!」

鋭い舌打ちをされた。超怖いんですけど……

そんな中、竜児は地面をのた打ち回っている。

「ワサビィーーー!今までに無い痛み方!」

「そんなこといいから早く依頼を教えろ!」

ゆっさゆっさ、と胸倉をつかまれ振られている。

「ああ、部長が俺に触れるときが……」

そんなことを虚ろな目をしながらつぶやいている。

「気色悪い!」

「気持ち悪いです。」

女子2人に毒づかれ、がくっ、と倒れた。


愁兎は、この喧騒の中まだ眠っていた。

「うぅん……依頼……」











「で?何の依頼なんだ?」

救部全員が席についている。会議スタイルだ。

「そ、そうだった………とりあえずこれ……」

制服のポケットから折りたたまれた紙を取り出す。

その中に書かれていたものは………

「………」

「………」

「………」

「ぐー……」

「どう?よくねぇこれ!?」


=================================

    メイDO部より


このたびは竜児様に依頼を承っていただきました。

内容は竜児様に伝えてありますのでよろしくお願いします。



=================================


「ふざけているな。とりあえずその部活を潰しに行こう。」

「了解です部長。私のわさビームガンをお一つ渡しましょう。」

そうやって武器の流出が始まる。

お、これもいいな。 いやいや、これは下手したら死にますよ。

などといった聞きたくない内容が聞こえる。

「ちょっと待てよみんな!困ってる部活を助けるのが救部の役目じゃないのか!」

いつにもまして真剣な竜児。これ関連だからか。

「確かに正しいことを言っているが………腹が立つ。」

「なにその理不尽な理由!?」

「竜児………」

愁兎が復活した。なにやら変なオーラが漂っている。

「どうした?愁兎?」

「め………ど」

小さくつぶやいている。

「メイド………!いいだろ!」

愁兎が壊れた。

「やっぱりそう思うだろ!流石は愁兎!」

2人が意気投合している。これは……

「マジか愁兎!我が弟ながら気色悪い!」

部長は本当にいやそうだった。

「ついに本性を現しましたか。クズが。」

物凄く容赦の無い一言だった。


「って言うかマジで愁兎どうしたんだよ……」

洗脳されたとしか思えない愁兎のテンションの上がりぶりに

正直引くしかなかった。

「これぞ男のロマンだぁ!」

竜児も覚醒。目が血走っている。

愁兎も同様、髪の毛が先ほどより逆立っている。

「ついにこの部活も終ったか……」

部長が机に額をぶつけて、嘆いている。





そしてメイDO部の部室へ向かう一行であった。














評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ