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4話―恐怖心―

ただ、ただただ、彼は暗闇の中を走っていた。

「はっ、はっ、はあっ………」

どういうことだ。おかしい、絶対におかしい。

走っても走っても廊下はどこまででも続いている。

終わりが見えないのだ。

ループしている。そう知った時はもう遅かった。

追ってくるのだ・・・・・・・。奴が。

「俺がっ………はぁっ、はあっ!………っく、何したって言うんだよ!」

ササササササササ、と奇妙な音を立てて。走ってくる。

点々と血の後が続いている。さっきとは違う?

ループしていない?やっと抜け出せる。そう思った。

が、最悪なものが転がっていた。

血だらけの──────霧谷 愁兎が。

「なっ───。愁兎!おい!」

抱きかかえ、名を呼ぶ。

返事は無い。

「どうしたってんだよ!アイツか!今追ってきているアイツ・・・なのか!?」

「がふっ……は……ハル…」

血を吹き出しながらも自分の名を呼んでくる。

「しゃべったら駄目だ!」

「アイツは………人じゃぁ……ない。」

がくっ と腕の中でうなだれた。

「な……なんだよそれ……」


ガサッ……ザザザザザッ……


「ニ、ニゲラレ゛ナイ゛ヨォ゛……オオオオオオオ!」

「うわぁぁぁぁぁぁっ!」


ブシュッ………


断末魔と何かが吹き出る音のみが夜の学校にこだました……


















「はいカット────!」

威勢のいい小冬部長がカチンコを鳴らして叫んだ。

「ふぅ……」

「うわぁ……制服がケチャップまみれなんだけど……」

あたりにはケチャップが散乱している。

どうして 血=ケチャップ なのか……

もっとなんかあるだろ……一応食べ物だぞ……

「うし、お前ら結構よかったぞ。特にハルがな。迫真の演技だった」

「いや……なんか褒められても……」

「照れてますね。そのまま発火してしまえばキャンプファイヤーができますよ。」

いつもどうり水原がキツイ言葉で。

ちなみに台本を書いたのはこいつである。

「じゃあ次の場面。変態さんがガチで飛び降り自殺するところから。」

「まって!台本に僕のそんな場面ないから!」

本気で作りかねんと思った。あの日から水原は須川を前の10倍、いや100倍は

嫌いになったのではないだろうか。

「いえ。間違ってます。100000000000倍です。」

「いや。絶対てきとーに0つけただけだろ。というか人の心の中勝手に覗くな」

「おーい。お前ら、次の場面行くぞー」

部長が台本片手に次の場所に移動しようとしていた。

「やっとですか。変態さんが死ぬのは。」

「殺す気だった!?なんだよもーう、これだからツンデレは……」

「誰がツンデレですか」


ピシュン


「2回連続目がぁァァァ!同じネタは2度もうけんぞぉぉぉぉ!」

あの日から水原は水鉄砲を常備し、その中に海外から輸入したという(本人談)

タバスコを入れている。

「なにやってんだよ。さっさと行くぞー、死体の後始末が遅れるだろうが」

「部長まで僕を!?」

叫ぶ須川は置いといて、何故今、撮影をしているかというと、それは昨日の話。












「依頼箱についに依頼が来たぞ!」

部長が子供のようにはしゃぎ、目をきらめかせていた。

ちなみに依頼箱というのは、依頼を書いて入れると救部が遂行してくれるといった

そのまんまの箱、想像どうりだったであろうの箱。

生徒会で言えば意見箱みたいなものだ。

大体入っているのは冷やかしの手紙、またはゴミだった。

そんなものが入っているたびに部長は放送室を占領して校内放送でブチ切れる。

そんなことしようが犯人は、割り出せないのであって、いたずらは止まなかったが、

ついに来たのだという。依頼が。

「おお!ついに来たのか姉貴!何の依頼だ!?」

「まて、今読むから!」


『救部の皆さん、いきなりの手紙ですいません。お願いがあるのです。

 私たちは、映画部の者ですが、このたび映画コンクールに出場することに

 なりました。ですが………映画部全員が、インフルエンザに感染してしまったのです!

 演劇部とも一緒に活動していたのでそちらもダウン……

 そこでお願いです!私たちに代わって映画を撮ってくれないでしょうか!

 お手紙ですいませんが、よろしくお願いします!』



「というかいつのまにインフルエンザが回ってたんだ?知ってたか姉貴?」

「馬鹿は風邪を引かないといいますから。何で引かないか知ってますか?

 風邪菌さんがアホらしくてやってられないといって仕事放棄するからなんですよ。」

「水原、多分違うと思う。そんなことより部長、撮影道具とかあるんですか?

 後台本とか……」

「それらは心配ないそうだ。撮影道具は心配要らない。でも台本は……無理らしい。」

どーすんだよ。という空気が立ち込める。

誰も映画なんて撮ったことが無い。というか台本なんて書いたことも無い。

部長に任せれば多分……じゃなくて絶対完成させてくれると思うが……

「僕がやるよ!僕は毎年コミケで小説を出してるんだ!だから文章を

 書く能力はあると思うよ!」

「コミケという響きが気に入らない。お前は却下。」

冷たく突き放された須川。ドンマイすぎる。

「仕方ないですね。私がやります、余裕です。」

「水原……台本書けんの?」

驚きのあまりの質問。なんか似合わなかった。

「大丈夫です。これはコンクール最優秀賞絶対取れます。」










そういった水原の自信のもとに、依頼を引き受けたのであった。

そして台本の内容は『恐怖!学校の十戒』だった。

台本のネーミングセンスは置いといて、中身は結構、請ったものであった。

「さあ、次行くぞぉーーー!」

部長はノリノリだった。














今回は騙しっ!でしたが……そんな高等テクニックは

所持してなくて、まぁ楽しくできたと思います。


鳴月 常夜のその他の作品もよろしくお願いします!


Ж Ordinary daily life Ж

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