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2話―武士の力―

ガララララッ!


「たのもーー!」

剣道場の戸を勢いよく開ける小冬。

掃除をしていないのか、戸には埃が積もっている。

「ちょっと、部長。道場破りじゃないんですから。」

「ん?こうした方がなんかかっこよくないか?」

この人は何を基準に動いているのか分からない。

それにしても…………人いないんじゃあ……?

いた。目の前に剣道道具一式をつけ、立っているものが。

面の中の顔が分からない。

妙な雰囲気を纏っている。

「ふぅ!道場破りか!こいやーこいやー!」

一発で分かった。愁兎だ。

「なに遊んでんだよ、愁兎。」

愁兎と呼ばれた彼は、面を取り外した。

「おっ、姉貴と春。早かったな」

面の下から出てきたのはさわやかなイケメン。きり しゅう

微妙に茶髪のところがポイント!…らしい。

ちなみに霧谷 小冬部長とは、双子の姉弟だ。言うまでも無いが。

「愁兎、私の言った仕事は終えたのか?」

小冬が一歩詰め寄る。身長は愁兎のほうが大きいが、気圧されている。

「い、いや〜〜〜あのね?剣道道具一式がロッカーに入ってて………

 んで、かっこいいな〜とか思ってたらいつの間にか着けてて……」

なんですかそれ?呪われた道具なんですか?

姉と違って弟は仕事をしない。というか阿呆だ。

運動神経はいいんだけどね。姉弟ってバランス取れるようにできてんのかなぁ?

「そういうことを聞いているんじゃない。どうなっている!?」

確か愁兎の仕事は、この部活の部員を集めてくることだったが……

「………」

辺りを見回す。俺ら以外は誰もいないが……

「いや〜みんな集まってっかな〜とか思ったけど、この部活

 予想外にやる気無いみたいで……」

「だから私は集めろといったのだ!与えられた仕事をしっかりしろ!」

雷が落ちた。

「わーわー!避雷針〜〜〜〜」

落ちたんだが……愁兎はこんなことを言いつつ、竹刀を高々と上に上げる。

本当に阿呆だ。

「ちっ、仕方ない。春、剣道部員をここに集めろ、ほら、部員表だ。」

流石部長、表まで作ってるなんて。

「んー、やっぱり僕に回ってくるんじゃないですか。」

最初から僕に頼んでくれれば………二度手間だよね。

とか思いつつも靴を履く。

「行く必要は無いのです。」

スッ、と通る声が耳に入った。

振り向くと剣道場の入り口には1人の少女。

ちゃんと切りそろえられた髪型。その藍色の髪の毛には誰もが釘付けになるだろう。

外見はいい・・・・・。外見は。

「そこの微茶髪馬鹿が仕事をしないから、私が代わりにこの

 糞剣道部の馬鹿どもを連れてきてやったのです。」

皆さんお分かりだろうか?この子は口が悪い。

馬鹿2回に糞一回。この会話の中で。

「うむ。ご苦労、みなはら やみ。やはり愁兎には

 お前をつけておくべきだな。」

「部長のせいで私だけ働いてます。こんなゾウリムシ程度の男と組むくらいなら

 1人でやるほうが1億倍効率いいです。」

「ゾ、ゾウリムシ程度って………」

愁兎はうなだれる。それは剣道装備一式つけていることによりより不気味に。

「さ、とっとと入りなさい。剣道部のクズさん」

クズにさんをつけるのはおかしいと思うが………。

ゾロゾロと入ってくる剣道部員。中には金髪の輩もいた。

「ふん。ちゃらちゃらしよって………だから部活が腐るんだろうがぁ!」

部長の咆哮。一同がひるむ。

「ど、どうでもいいだろ!勝手にひとの部活に口出ししてんじゃねぇよ!」

金髪の部員が火口を切った。

「ふっ、馬鹿者が!依頼ならあったぞ!そこの………武士からな!」

部長の指差す先にはボウズの生徒。いつからそこにいたのか?

座禅を組んでいる。

「な、風景と同化してた!?」

スッ────と武士が目を開いた瞬間。

そこだけがタイムスリップしたかのような感覚になる。

「自分は、剣道部部長。長武ながぶ 士幸しゆき。」

あ、本当に武士なんですか……。















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