表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/38

23話―ビーチでバレー―

≪さてさて、今年もやってまいりました。『男女!ビーチバレーボール大会!』。今年はどんな

 戦いになるのか楽しみです! それでは、解説者の方を紹介します≫


スピーカーからは大音量で司会者の声が聞こえる。なんとも大掛かりな大会だ。

しかも解説者までいるなんて………。

「どうだ? ハル、すごい盛り上がりだろう?」

会場の裏側にある選手控え室で、俺たちは出番を待っていた。

「そうですね部長。こんな大会に毎年出ているんですか?」

「そうだ。なんと言っても優勝商品が毎年豪華なもんでな。参加費が要らないってのにすごいものだ」

参加者は、ざっと10チームはあった。どれも遊び半分ではないようなチーム構成だった。

「あれなんか見てみろ、去年の準優勝チームだ」

部長の目線の先には体脂肪率0パーセントの筋肉だけで体が構成されています! といった感じの

男と、スレンダー美人とでも言うのだろうか、細身の女性がベンチに座っていた。

なかなか強そうだ。

「そ、そんなことより部長………僕の相手は?」

気づけば竜児が隣に立っていた。

「あー心配するな。もう来てる」

部長がそう言うと、透き通った声が聞こえてきた。

「小冬」

声のするほうへ顔を向けると、そこにはいかにもお嬢様、といった感じの女の子が立っていた。

女の子、と言っても同学年なんだろうけど、俺よりも背が高い。

「おー、よく来たな。逢香あいか、メールで伝えたとおりだ。がんばってくれ」

「それで………私のパートナーは……?」

逢香、と呼ばれた女の子はキョロキョロとあたりを見回す。その行為がとても可愛らしかった。

はっ、これじゃあ竜児が覚醒してしまう……!

「て、天使………」

竜児は跪いていた。確かに白い水着を着用しているけども。

「あら、こんなところに………どうも、よろしくね」

ふわり、と何もかもを包み込んでしまうような優しい笑顔に竜児は涙を流していた。

「おっ、おぅ………。俺は………」

どうやら懺悔が始まるらしい。このパターンはどう対処すればいい?

部長に目線を送るが、両手を上に挙げられて分からない、のポーズ。

「………そんなに頭を下げないでください………ほら、一緒にがんばりましょう?」

そういって竜児に手を差し伸べる逢香さん。本当に天使だ。

「お、俺ごときが………触れていいんですか……?」

完全に竜児が下手に出ている! 最強だ、逢香さん……。

「皆さん申し遅れました、私、東界とうかい 逢香あいかといいます。どうぞよろしく」

再び天使スマイル。完璧超人の部長の周りにはやはり完璧人が集うのか……。

「部長とはどんなご関係で?」

気づけばそう訊いている俺がいた。

「そうですね………ナンパされていた私を助けてくださったとか……同じクラスですとか………

 そんな感じでしょうか?」

やはり部長は人助けから始まるのか。

突如、背中に電撃が走った。

「うわばばば! み、水原、なんのつもりだ……」

「すいません、ちょっと手が滑りました」

そういう表情からは何も読み取れない。

「いや、手が滑った以前に何故それを今持っている……?」

「蟲を殺すためです」

≪それでは、選手の入場です!≫

そんな時、アナウンスの声が響いた。

「さて、お呼びだぞみんな、さっさと行くぞ!」



部長に促されるまま、会場へと出た。




────な、なんだと! 今年も霧谷姉弟が出てるぞぉぉぉぉ!、まじか! 今年も大荒れの予感がする

ぜ!、いやまて、今年は新人が多い、誰かが力を解放するかもしれん、新たな時代を築くのか!────


などといった勝手極まりない声援が送られる。というか部長と愁兎は大会荒しかなんかなのか?

「今年も観客のテンションが高いなぁ」

「毎年こうなのか………」

「そうさ、ハル! 俺と姉貴はさいきょーだ!」

「…………」

「去年は最終的に戦場に立っていた奴が優勝だったよ」

「ビーチバレーボール関係なし!?」









そして、一回戦。部長・愁兎チームは相手にサーブ権を一回も渡さずに勝利。しかし、強すぎるな。

去年の準優勝チームも勝っていたし、竜児のチームも逢香さんがなかなか強くて勝利。

そして俺たちの番。

「水原、用意はいいか」

「全然オッケーです。完膚なきまでに潰します」

眼光を鋭く光らせて水原はサーブ打った。

ぽすん、という音を立てて、相手のコート内に落ちた。

「部長達がサーブ権を一回も渡さずに勝利したのなら、私たちはボールに触らせないで勝利します」

「え、ちょ、水原?」

いつになく本気のオーラで満ち溢れている。


────で、出るぞ! あのお嬢ちゃんの能力だ!────


ギャラリーが意味不明なことを叫ぶ。

ぱすん、とコート内にボールが落ちる。俺は後ろを向いているから分からないが、水原は別に

強く打っているわけでもなく、ただ山形やまなりにボールが飛んでいくだけで、俺にでも出来

そうだった。しかし何故相手は動かないんだ?


────、ふふふ、分かってないなぁ、ボウズ、動かないんじゃなくて、動けないんだよ・・・・・・・

沈黙の追撃サイレント・ショットって所かな────


暑さで頭が逝っているのか、ギャラリーが言う。なんか調子こいてきてるな……。

「鳴川 春希。あなたは構える必要なんかありませんよ。こっちを見ていてください」

言われたままにみていると、気がついた・・・・・。いつの間にか水原の手にはボールがなく、

すでに相手コート内にボールは落ちている。


山形のボール、動かない相手、沈黙の追撃、そしていつの間にかなくなるボール。


そう、サーブのモーションが・・・・・・・・・・見えないんだ・・・・・・



────今年の大会は荒れそうだな────


またもギャラリーが騒ぐ、いいかげんうるさいな………。




そのまま一度もボールに触れることなく、一回戦は終了した。


「どうでしたか、私の華麗なるサーブは」

「いや、もうなんかチートの領域だった気がする」



次は2回戦───。












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ