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22話―前者の話―

夏といえば海、と思う人もいるだろう。木陰の中、夏風に吹かれながら読書と思う人もいるかも

しれない。

間違いなく後者のほうは、清楚で可憐なお嬢様、読書家の眼鏡の子などの絵が思い浮かべられる。

何故、全員が全員女の子に固定されているかというとそれは竜児が乗り移ったからかもしれない。

そして、前者を選ぶのがこの俺たち救部のメンバーだった。






海についてから男女のグループに分かれ、海の家で着替えを始めた。

竜児と愁兎が暴走を起こそうとしていたが、水原がスタンガンを所持していることを告げると、

2人は回れ右をして、着替え始めた。

竜児なんかは、軽いトラウマになったみたいで、軽く青くなっていた。

そして男性陣は砂浜で女性陣を待っていた。


「さて、姉貴がどんな姿でくるのか………」

「愁兎は部長にしか興味ないのか」

「あったりまえだ! というのは嘘で、まぁ体がいい人なら誰でもな?」

「最低の発言をしているからな………」

竜児が珍しくこんな会話に割り込んでこないと思ったら、後ろのほうでカメラを構えていた。

「何してんだよ」

「い、いや、ハル君これは別に盗撮とかじゃあ………ないよ?」

「何で疑問系!?」

「ハル、分かってやれ。これは竜児の戦いだ」

「意味わかんないし!」



『さて、君。こっちに来てもらおうか』

「これは盗撮とかじゃなくてただ、友達を撮ろうとおもって……」

『あー、はいはい。後から話し聞くからねー』

「ちょ、ちがっ。待ってぇぇぇぇぇ!」



「あれ? 竜児が海の家の人に連れてかれてるんだけど………」

「まぁ、気にするな。それより姉貴たちが来たぞ」

そこには、灼熱の赤の色のビキニを着た部長と、スクール水着・・・・・・の水原がいた。

部長は少し照れながらも堂々と立っていた。その姿がまたある特定の人を喜ばせるようだった。

そして水原、こいつもまたある特定の人を喜ばせるような格好をしていた。

よりによってなんでそれをチョイスするのか?

ネタだよな、絶対ネタだよなこれ!?

「どうしました? 鳴川 春希。私何かおかしいですか?」

真顔で聞いてくる。そんなこと真顔で………。

「み、水原………お前は何でそんなものを着ているんだ」

「え? おかしいですか、そうですか………」

まて、そこで何故そんな顔をする。

「部長、どうなってるんですかこれ」

「私にもわからん。水原は別次元に旅立ったのかもしれない」

「あっ、姉貴ぃ! やばいよそれ! 俺の頭がおかしくなりそうだよ!」

「お前はいつもおかしいだろうが! 寄ってくるな!」

そんな混乱の中、竜児だけが欠けていた。







「はぁ、カメラ没収されちゃったよ」

ため息をつきながら竜児が海の家から戻ってきた。ちなみに水原は、スクール水着から普通の

水着に着替えていた。やはりアレはネタだったらしい。すごく助かった。

「あたり前だろ、お前が友達を撮る、なんて言っても信憑性の欠片もないからな」

的確に愁兎が突っ込みを入れる。

確かにそれにはここにいる全員満場一致だろうから。

「とりあえず昼まで遊ぼうか、午後からは大会があるからな」

「大会?」

部長と愁兎以外は分かっていないようだった。







それから俺はたちは午後になるまで、泳いだり、ビーチーボールを楽しんだり、竜児を沈めたり、

砂浜で走り回ったり、潜ったり、竜児が監視委員の人に連れて行かれたりしていた。


そして昼。俺たちは海の家の一室を借りていた。

「今日は私がお弁当を作ってきました」

水原はバスケットからいくつもの弁当箱を取り出して、机の上に並べた。

「おお、やるなぁ水原、救部に料理が出来る奴がいるのはうれしいぞ!」

部長はなんかよく分からないところで喜んでいた。

いろいろな弁当箱から、おにぎりやサンドイッチ、たこさんウィンナー、卵焼きetc.………。

とにかくすごかった。

「すごいな………」

「私だって、得意なことの一つや二つはあるのです」

「た、たこさんウィンナーだと………可愛すぎる……」

横では竜児またも悶えていた。

「しかもかなり美味い……水原、天才だな」

「姉貴の言うとおりだ! もう、明日から俺の朝飯を作ってくれ!」

「それは告白ですか?」

「なにぃ! 遠まわしに告白したはずなのに………」

最近愁兎も竜児色に染まってきたのかもれない。

初期の爽やか設定は何処へ消えたのだろうか………。

「そういえば、午後から大会があるとかいってたけど何の大会ですか?」

水原が卵焼きを口に運びながら部長に訊いていた。

「ん、ああ、それか。それはなー。一チーム2人構成でのビーチバレーボール大会だ!」

「俺と姉貴はさ、去年もここ来てたしな。毎年盛り上がるんだぜ」

霧谷姉弟は、得意げな顔をして語っていた。

「そうなのか。じゃあ今年も出場するのか?」

「そうだなー。出るかもな、もちろん俺は姉貴と組むんだけど……」

そうか、人数が合わないな。

「まぁ、まて。………この大会は、男女ぺアじゃないと出れないんだ」

「そうですか。ならば私は鳴川 春希と出場しましょう」

「えっ!? 僕は? 僕はどーしたらいいんですか!」

「その点はぬかりない。ちゃんと策を用意してある」




部長は得意げに笑った。それに対して竜児は安心できないようだった………。













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