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11話―オチ?―

結局のところ、電気工学部に行くことになった。

まず行ってみないと話にならないのでは? という水原の発言にみんな同意したのだった。

復活した竜児もついてきている。

「廊下も暑い………それでもってだるい……」

文句ばかりぷーたれている部長は干からびそうな勢いだった。

水原はやっぱり無表情で、汗を流している。

「本当に暑いな……」

本当に暑かった。今日は何度まで上昇するのか、地球温暖化は予想外に進行中だ。

「あ、姉貴………俺はもう駄目かもしれん……」

干物のようになっている愁兎が、廊下の柱に捕まっている。

それは、ヤモリのようにも見えたが……

「がんばれ愁兎! 電気工学部は……すぐそこだ」

ふと、外に目がいった。

野球部がこの暑い中練習に励んでいる。

これこそが青春だ! と言わんばかりの光る汗を流している。

が、それはそんなに目立つほどではない。

何が言いたいのか、それは、校内にいる救部のメンバーが異常に汗をかいていること。

明らかに外の方が暑いはずなのに。なぜか校内にいる人間の方が汗をかいている。

おかしくないか………?

「部長………なんで外にいる人はそんなに汗かいてないんですか? 」

「あ?」

部長が窓にもたれかかるようにして外を見る。

「ホントだな……普通だったら外にいたら死ぬぞ」

やっぱりおかしい。

「確かに私も、校内に入ってから汗をかき始めた気がします」

「ぼ、僕もだよ、………」

「そんなことよりさぁ、姉貴。みんな死にそうなんだから、早く電気工学部に……」

愁兎が、出来る限りの力で訴える。

目が虚ろだ。というかもう汗をかいていない。

「愁兎。大丈夫か?」

声をかけてみるが、返事が返ってこない。

「とりあえず! みんな……電気工学部に……」

肉体疲労と精神疲労の中、歩みを進めた。









電気工学部の扉の前、中から変な音が聞こえる。


ヴィーンヴィーン……


明らかに普通ではない。いや、普通じゃない部活なのだからそうなのだが、

聞こえてくる音がおかしい……。

「部長。ここ大丈夫なんですか……」

「そんなこと知らん」

部長は片手に持ったペットボトルの中の水を飲み干すと、一気にドアを開け放った。



「電気工学部の者達よ! 我らは救部の者だが……って! もっと暑い!」

中からは、ムワッ とした空気が流れ込んでくる。

「気色悪いです……」

水原は、口元を押さえながら言った。

「おいおい、どーなってんだこりゃあ……」

中に侵入していく部長。

機械が大量に稼動していて、そのため熱が出ているらしい。

中は薄暗く、機械音とその光だけが点滅していた。

まるで何処かの無人機械工場だった。

「おい! 誰かいないのか?」

救部全員が、部室の中を詮索する。

「こっちの部屋は……何も無いですね」

「こっちは……駄目だ。機械が多すぎて奥までは……」

機械が多すぎて足の踏み場も無いところだ。

「こ、こんなものがあったんだけど……」

竜児が死に死にの状態で、小さなメモを握っている。



 校内サウナ化計画。

 屋上階段の上から、熱風を送ってサウナ化!

 後は、各部屋に暖房器具を設置するだけっ!



「マジで意味分からんわぁぁぁぁぁっ!」

部長が切れた。

「ウチの学校は馬鹿ばっかりか! つうかこんなオチでいいわけないだろうがぁ!」

「ああ、だから外はそんなに暑くないわけなんだな。」

「そういえば先ほどから、私たち以外の人とすれ違っていません」

水原が、決定打を打った。

確かに誰も見てねぇし。

「部長、まさか部活掲示板見てなかったりしません?」

部活掲示板とは、どの部活動が今日は何をしますよー、といった項目が書かれている

掲示板なのだ。それは、部長が確認して部活同士のイザコザが起きないようにする

ためにも作られた者なのだ。

「………み…た?」

「いや、疑問系じゃなくて、見ましたか?って聞いてるんです」

「…………ぅはー」

見てないわこの人。

「こんなオチって! とか言ってる割には姉貴が確認してなかったんじゃねぇかよ!」

「んだって!こんな大掛かりなことする部活じゃなかっただろうがここは!」

姉弟喧嘩が勃発。

逆切れの部長の方が、超不利。

「部長。私は別に、霧谷 愁兎の味方をするわけではありませんが、部長が

 悪いとか言うレベルではないくらいに悪いです。というか悪です

 というか作者もカスですね。こんな腐ったオチ誰が見るんでしょうか」

いつも通りの無表情になっている。

「ええ……ええーーーーー!私が悪いのかぁ……」

部長がうなだれた。いえ、作者も悪いです。

何でも出来る人なのに………どっか抜けてるのかもしれない。

「姉貴。……そんなドジなところも……好きだぜ」

今や、愁兎のボケにもかまっていられないらしく、遠くを見ている。

「うぉっ!弟の痛烈な愛も無視か!」

「痛烈って……そうなってんだよ」

「シスコン野朗は砕けてください」

「…………」

「って!竜児が死にかけてるって! 早く何とかしろよ!」



バタバタしながらも、竜児を外に連れだそうとする一行であった。









次の日。

「なんか寒くないか?」

「またか!?」













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