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淡々史記  作者: ンバ
第八十六 刺客列伝
7/274

専諸 四、魚腹に潜む凶刃

6.

四月丙子,光伏甲士於窟室中,而具酒請王僚。王僚使兵陳自宮至光之家,門戶階陛左右,皆王僚之親戚也。夾立侍,皆持長鈹。酒既酣,公子光詳為足疾,入窟室中,使專諸置匕首魚炙之腹中而進之。既至王前,專諸擘魚,因以匕首刺王僚,王僚立死。左右亦殺專諸,王人擾亂。公子光出其伏甲以攻王僚之徒,盡滅之,遂自立為王,是為闔閭。闔閭乃封專諸之子以為上卿。


其後七十餘年而晉有豫讓之事。


(訳)

(紀元前五一五年、呉王僚の十年)

四月丙子、光は甲士を

窟室(地下室)の中に伏せておき、

酒をそなえて呉王僚を招き寄せた。


呉王僚は兵士を押し並べて

宮室より光の家宅へと至り、

門戸・階段の左右に並んだ者は

みな、その親戚であった。


彼らは呉王僚を挟んで侍立し、

皆が長鈹(長柄の槍矛、または剣)を

所持していた。


宴会がたけなわとなった頃、

公子光は足の病気をいつわって

(退室するフリをして)

窟室の中へと入り、専諸に

焼き魚の腹の中に潜ませた匕首を

呉王僚へと進上させた。


王の眼前へと至った専諸が、魚をつみさいて

(中から取り出した)匕首で呉王僚を刺すと

王は立ちどころに死んでしまった。


左右の者も(すぐさま)専諸を殺害したが、

呉王の近侍者、縁者らは擾乱じょうらんした。


公子光は

伏せておいた甲子をここで出撃させて

王に連なる者たちを攻撃し、

これらの盡くを掃滅した。


遂には自ら王として立ち、

こうして「闔閭こうりょ」と名乗るようになった。


闔閭は(専諸の功績に報い)

専諸の子を封じて上卿と為した。


その七十年余りののち、

晋で豫讓よじょうの事件が起こったのである。


(註釈)

焼き魚の中にヒカリモノを仕込むとは、

かなり大胆な作戦です。


専諸に刺された僚が即死してるあたり

急所を的確に狙っている事が窺えます。


呉王の親類縁者に囲まれてる中で、

やはり専諸も物凄い肝の据わりっぷり。


専諸は呉王の側近により

即座に手打ちにされてしまいましたが

闔閭は彼の子を上卿に封じて

その功績に報いました。


この場面は、晋書で

石勒せきろく王弥おうびを呼び出した際にも、

三国時代の諸葛恪しょかつかく孫峻そんしゅんの逸話とともに

引き合いに出されておりました。


政変が起きた事を知り

進退窮まった蓋余がいよ属庸ぞくようは楚に降伏。


かくて呉王に即いた闔閭こうりょ

隠遁していた伍子胥を招き、

孫子兵法で有名な孫武そんぶが推挙され、

呉国の全盛期を築きますが、

越王・勾践こうせんに敗れ

雪辱を子の夫差に託して逝きます。


呉越のお話もすごく面白いので

いずれご紹介いたします。


次回は晋の豫讓、

あの名台詞が飛び出します!


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