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淡々史記  作者: ンバ
第七、項羽本紀
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二十九、命懸けの囮作戦

29.

漢將紀信說漢王曰:「事已急矣,請為王誑楚為王,王可以閒出。」於是漢王夜出女子滎陽東門被甲二千人,楚兵四面擊之。紀信乘黃屋車,傅左纛,曰:「城中食盡,漢王降。」楚軍皆呼萬歲。漢王亦與數十騎從城西門出,走成皋。項王見紀信,問:「漢王安在?」曰:「漢王已出矣。」項王燒殺紀信。


(訳)

漢将の紀信《きしん》は漢王に説いて言った。


「事態は已に危急と申せましょう。


どうか、漢王の為に

(私を)王(の身代わり)として

楚を誑《あざむ》かせてください。


漢王は、その間に

脱出なさいますよう」


ここにおいて、漢王は

夜に女子を滎陽《けいよう》の東門から出して、

二千人に鎧を着せ(て、従わせ)た。


楚兵は四面からこれを攻撃した。


紀信は黄屋車(天子の車)に乗り

左側に※纛《とう》を設えて、言った。

(※旄牛の尾で飾った旗。はたぼこ)


「城中の食糧は尽きた!

漢王が降伏するぞ!!」


(本物の劉邦と信じ込んだ)

楚軍は皆、万歳を叫んだ。


漢王は、一方で

数十騎を従えて西門から脱出し

成皋《せいこう》へと逃げた。


項王は紀信を見て、問うた。


「漢王はどこにいるのだ?」


紀信は言った。


「漢王なら已に脱出されたわ」


項王は紀信を焼き殺してしまった。


(註釈)

范増を葬る事には成功したものの

依然としてピンチには変わりない漢軍。


紀信はここで囮作戦を進言、


「私が漢王に成りすまして

楚軍の気を引きますので、

その隙にお逃げください」


紀信の最初で最後の見せ場です。

うーん、男だぜ紀信!!


項羽は劉邦の引っ掛けに

まんまとハマった事がわかると

怒りで紀信を焼き殺してしまいました。


彼の義心に、1ミリでもいいので

敬意を示して欲しかった。

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