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淡々史記  作者: ンバ
第八十六 刺客列伝
31/274

荊軻 十四、秦王暗殺(前編)

30-1.

遂至秦,持千金之資幣物,厚遺秦王寵臣中庶子蒙嘉。嘉為先言於秦王曰:「燕王誠振怖大王之威,不敢舉兵以逆軍吏,願舉國為內臣,比諸侯之列,給貢職如郡縣,而得奉守先王之宗廟。恐懼不敢自陳,謹斬樊於期之頭,及獻燕督亢之地圖,函封,燕王拜送于庭,使使以聞大王,唯大王命之。」秦王聞之,大喜,乃朝服,設九賓,見燕使者咸陽宮。荊軻奉樊於期頭函,而秦舞陽奉地圖柙,以次進。至陛,秦舞陽色變振恐,群臣怪之。荊軻顧笑舞陽,前謝曰:「北蕃蠻夷之鄙人,未嘗見天子,故振慴。願大王少假借之,使得畢使於前。」秦王謂軻曰:「取舞陽所持地圖。」軻既取圖奏之,秦王發圖,圖窮而匕首見。因左手把秦王之袖,而右手持匕首揕之。


(訳)

とうとう秦まで到着すると、

千金の資幣物を持って

秦王の寵臣である

中庶子ちゅうしょし(諸侯子弟の教育係)の

蒙嘉もうかへと手厚く捧げさせた。


蒙嘉は荊軻の為に、まず秦王にこう述べた。


「燕王は誠に大王の威を怖れて

敢えて挙兵して軍吏《武官》に逆らおうとせず、

国を挙げて秦の内臣となり

諸侯の列に加わりて

(秦の)郡県の如くに貢職を供給し、

先王の宗廟を守り、奉らんと願っております。


恐懼し、敢えて自ら陳べようとせずに

謹んで樊於期はんおきを斬首し、

同時に燕の督亢とくこうの地図を献上して

(これらを)はこへ封じて

燕王は宮廷より拝送し、使者を遣わして

大王へと上聞して参りました。


(この件に関して)

ただ大王の御命を賜りたく存じます」


秦王はこの事を聞くと大喜びし、

かくて朝服(正装)に召し替えて

九賓きゅうひんの礼を設え、

燕の使者団と咸陽かんよう宮にて見えた。


荊軻が樊於期の首の入った函を、

秦舞陽が地図の入ったはこを奉ったが、

次第に進んで階に至ろうとした際に

秦舞陽は顔色を変え、恐怖で震えだした。


群臣はこの事を怪訝に思ったが、

荊軻は舞陽の方を振り返って笑い、

進み出て謝辞を述べた。


「(彼は)北の蛮夷の田舎者でしてな。

いまだかつて天子に謁見した事がなく、

故に恐れ戦いておるのでございます。


どうか大王、いささかばかり

かの無礼をお許しくださいませ。


わたくしが王の御前にて

使者の役目をやり遂せましょう」


秦王は荊軻に対して謂った。


「舞陽の持参した地図をこれへ」


荊軻は地図を手に取りて奉呈した。


秦王が地図を開くと、終わり際に

(荊軻が事前に忍ばせておいた)

匕首が現れた。


(荊軻は透かさず)

左手で秦王の袖を掴み、

右手に匕首を待ちて、秦王を刺した。



(註釈)

地図の中に匕首を仕込んでおくとは

なかなか思い切った作戦です。


入国審査でボディチェックを

受けるでしょうから、得物を懐に

忍ばせておいたりは出来ないですからね。


荊軻の態度は堂々としたものですが、

秦の威容を目の前にした秦舞陽は

恐怖で震え上がってしまいます。

秦の群臣が違和感を覚えるレベルで

冷や汗ダラダラだったようで……。

だから言わんこっちゃない。


「すみませんね、あいつ田舎者なんで

許してやってください! アハハのハーw」


と誤魔化す荊軻ですが

内心は「計画ばれたらどうすんだ、

バーーーーーーーーーカ!!!!」

って思ってそう。


クローズの4巻あたりで

坊屋春道が杉原誠とたった2人で

200人からいる武装戦線に

ケンカ売りに行ったとき、

誠が内心怯えているのに対して

春道の方はまるで普段どおりの

自若っぷりを見せる場面を思い出しました。


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