十、司馬遷の評
10.
太史公曰:世俗所稱師旅,皆道孫子十三篇,吳起兵法,世多有,故弗論,論其行事所施設者。語曰:「能行之者未必能言,能言之者未必能行。」孫子籌策龐涓明矣,然不能蚤救患於被刑。吳起說武侯以形勢不如德,然行之於楚,以刻暴少恩亡其軀。悲夫!
(訳)
太史公はいう、
世俗で師旅を称える所
(兵法の論者)
は皆、孫子の十三篇、
呉起の兵法について述べ、
世に多く出回っているので
論じる事はせず、
その行跡や施策について論じた。
古語にいわく、
「これを能く行う者は
いまた必ずしも能く言わず、
能く言う者はいまだ
必ずしも能く行わず」
孫子(孫臏)が龐涓を謀った事は
明らかであるが、
刑を被るより以前に
憂患を取り除く事はできなかった。
呉起は、(魏の)武侯に
形勢は徳に如かずと説いたが、
楚に於いてこれを行うと
残酷にして乱暴、恩徳に欠け、
その事で軀は亡んでしまった。
悲しきかな。
(註釈)
孫臏と韓非は同門生の
裏切りでひどい目に遭ってんだよね…。
それすらも予測しろというのは
さすがに酷だと思う。
・呉起評価
戦闘 ★★★★★★★★★★ 10
戦略 ★★★★★★★★★ 9
内政 ★★★★★★★★ 8
人格 ★★★★ 4
戦闘はマジで強く、負けた事がない。
四方の敵を破って
楚を強国に押し上げる。
田穰苴が★9なので
彼以上と言われた呉起は★10で。
「呉子」は、呉起が著したものとは
限らないが、孫子に次いで
読まれていた兵法書らしい。
兵卒に優しいのはいいが、
出世のためなら嫁でも殺す。
誹謗した奴も殺しまくる。
自分より上の地位の奴には文句を垂れる。
名族に阿る事がなくどこかシステマチック。
結果行く先々で嫌われ、命を狙われてしまう。
人格以外はパーフェクトな呉起伝でした。
これにて列伝五を終わります。




