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淡々史記  作者: ンバ
第六十三、老子・韓非列伝
181/274

韓非 三、説難

3.

然韓非知說之難,為說難書甚具,終死於秦,不能自脫。

說難曰:凡說之難,非吾知之有以說之難也;又非吾辯之難能明吾意之難也;又非吾敢橫失能盡之難也。凡說之難,在知所說之心,可以吾說當之。所說出於為名高者也,而說之以厚利,則見下節而遇卑賤,必棄遠矣。所說出於厚利者也。而說之以名高,則見無心而遠事情,必不收矣。所說實為厚利而顯為名高者也,而說之以名高,則陽收其身而實疏之;若說之以厚利,則陰用其言而顯棄其身。此之不可不知也。


(訳)

しかして韓非は

説くことの難しさを知って

説難ぜいなん」を為し、

書面は甚だ具わっていたが

最終的には秦で死んでしまい

自ら免れることはできなかった。


「説難」にいう、


「およそ説くことの難しさは

自身の有する知識を以てこれに

説く事の難しさではない。


また、自身の弁舌により

自身の意見を表明出来る事の

難しさでもない。


また、自身が敢えて横失し

これを尽くす事の難しさでもない。


およそ説くことの難しさとは

説く所(伝える相手=君主)の心を知りて

我が(論)説を以てこれに

当て嵌めるべき事にある。


説く所は

名声を高める為に出た者である。

しかるに、利益を厚くする事を説けば

則ち、節義を低く見て

卑賤な者に遭遇したものと見なされ

必ずや見捨てられ、遠ざけられるだろう。


説く所は

利益を望む為に出た者である。

しかるに、名声を高める事を説けば

則ち、心無く、

事情に遠いものと見なされ

必ずや受け入れられぬであろう。


説く所は

内実は利益を望んでいるが、

表面上は名声を高めようとしている者である。

しかるに、名声を高める事を説けば

則ち、陽(表面上)はその身を受け入れられるが

実際にはこれを疎んじる。

もし利益の追求を説いたなら、

則ち、陰ではその言辞を用いるが、

表面上はその身を棄つる。


これは、知っておかなければならない」


(註釈)

説くことの難しさは


自身に知識が備わっているか

自身に弁舌が備わっているか

君主を恐れずに言いたい事を言い尽くせるか


……という事ではない。


君主の心情を理解できるか、という事にある。


博識さや口の旨さや度胸も

相手のパーソナリティを考えなければ

まるで意味をなさない。


名望を高める事が目的の君主に

利益を追求する道を説いたとすると、

「こいつは節義のない奴と付き合ってきたから

利益のことしか考えられないのか」

と思われてしまう。


利益の追求が目的の君主に

名望を高める道を説いたとすると、

「こいつは考えなしで事情に通じていない」

と思われてしまう。


表面上は名声型で、内面は利益型の君主に

名望を高める道を説いたとすると、

ポーズとしては使ってくれるけど

内心では見下されてしまう。


かといって利益について説けば、

見えない所でその案を採用するが

表向きには捨てられる事になる。


説く前にこの事を知らなければならぬ。


めっちゃロジカルだ。

でもこれを提唱している本人が

周りから讒言を受けて

殺されるという皮肉な結果に。


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