第27話 念願の鑑定眼
今回、読みづらかったらすみません。
夜の家。
一階奥の部屋でリノが買ってきた大量の眼鏡とルーペを僕は治した。
そしてついに【鑑定眼】のついた虫眼鏡を手に入れた。
例えば。
双剣士ミーニャ。
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【黒銀の円月刀☆5】750万
攻+120(切れ味永続・攻撃上昇:中(50%)・攻速上昇:中(50%)・残像斬撃・影縛付与・先制影撃・死影抜刀)
【聖白金の曲刀☆5】1100万
攻+150(切れ味永続・攻撃上昇:大(100%)・攻速上昇:大(100%)・瞬間移動・爆風付与・追加多連撃・聖風周癒・聖光昇天)
【紅乙女戦装束☆5】280万
守+140(清浄永続・防御上昇:大(100%)・状態異常抵抗:大(50%)・火抵抗:大(100%)・全速度上昇:中(25%)・即死無効)
【天狐外套☆4】100万
守+35(回避率:大(50%)・状態異常抵抗:中(25%)・全魔法抵抗:中(25%)・天変察知・輪郭幻影)
【瞬時皮帯☆5】450万
守+60(アイテム自動リロード・攻速上昇:中(50%)・全速度上昇:大(50%)・追加使用・時空改変)
【魔法財布☆3】130万
(マジックウォレット:お金+宝石)
【茨の指輪☆2】5万
守+5(睡眠抵抗:中(50%)・麻痺抵抗:小(25%))
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――なんか、めちゃくちゃ強い。
特殊効果がたくさん。しかも有用なものばかり。
【死影抜刀】居合切りの斬撃が影の分だけ伸びる。確率で即死を与える。
【聖光昇天】アンデッドに即死を与える。
【アイテム自動リロード】ベルトのポケットに、バッグから同じ消費アイテムを自動的に補充する。
ミーニャの強さの片鱗が見えた気がした。
ちなみにリノの装備はこうだった。
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【聖癒銀のペティナイフ☆5】160万
攻+255(切れ味永続・攻撃上昇:超極大(1600%)・調理技術上昇・旨味上昇・腐敗低下・治癒効果付与・完全解毒)
【聖女の私服☆4】50万
守+100(防御上昇:大(100%)・全異常抵抗:大(50%)・回避率:中(25%)・闇抵抗:小(25%)・自動回復・即死無効)
【可憐外套☆5】1億5000万
守+20(回避率:小(10%)・半透明・完全不可知)
【魔法鞄☆4】200万
(マジックバッグ:アイテムのみ・大物不可・馬車半分)
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僕は突出した数字に驚いた。
「えっ……リノの外套、1億5000万カルスもするんだ」
「えええええっ!? そんなに!? ……確かに、なんかおかしくて。最初は50万ぐらいかなと思ってたんですけど、使ううちに『高いんじゃないかな?』って思えてきて……でも【半透明】の効果しか出ないんですよね。半透明の外套は50万なんです」
「【完全不可知】って特殊効果がついてるみたいだけど……羽織ると存在自体を絶対に消して誰からも見つけられなくするって」
「ふぇぇ……着てるけど、その効果は発動したことないです……」
ミーニャがボソッと呟く。
「何か、特殊な発動条件があるはず」
「スキル説明には羽織るだけって書いてある」
僕は虫眼鏡でじろじろリノを眺めた。表示される情報に間違いはなかった。
リノが口を曲げて唸る。
「う~ん。着てるけど、発動してないし。そもそも1億5000万なんて、王族ぐらいしか買えません」
「だよね……まあ、あとで調べてみよう。――それにしてもリノって、マジックバッグ持ってたんだね。だから1000個も運べたんだ」
「何言ってるんですか。ラースさんのくれたこのショルダーバッグ、マジックバッグですよ?」
リノが肩から斜めにかけるタイプのショルダーバッグをポンポンと叩いた。
僕は驚いて首を振った。
「知らなかった……でも、リノが鑑定眼を買ってきてくれたおかげで、今後はちゃんと見分けられそうだよ。ありがとう」
「ラースさんの力になれたら、嬉しいですっ」
リノが青い目を細めて微笑んだ。
僕は、ちらっと999個の眼鏡とルーペを虫眼鏡越しに見た。
「あとは……微妙な物ばかりだね」
「ですね……遮光とか、魚眼視とか、二倍遠視とか。何か一つ高いのあった気がするけど、まあ誤差ですね――開店セールと称して、激安で売り払っちゃいましょう。元は壊れたものだから、激安で売っても元が取れますし」
「なるほど。……やっぱり、ヒールで治して売るって、お得だね。みんなすればいいのに」
僕の言葉にリノとミーニャの目が半目になった。
ジトっとした視線で睨まれる。
――なにか間違えたこと言ったかな?
困っていると、にわかに店の入り口が騒がしくなった。
若い男の声が店内に響く。
「すんませーん! 大通りの家具屋に頼まれて、配達に上がったんですけど~」
「あ、はーい」
僕はいそいそと外へ向かった。
運ばれてきたのは天蓋付きのベッド。
受け取りサインをしてベッドを引き取った。
配達員が見えなくなったのを見計らって、マジックバッグにベッドを入れた。
店の奥に戻ると、リノが金髪を揺らして首を傾げた。
「なにを買ったんですか?」
「ああ、リノに似合うかなと思って……部屋に来てもらっていいかな?」
「ふぇ? あ、はい?」
僕はリノの手を引いて二階へと上がった。
突然、ミーニャが無表情で手拍子を始めたのが気になったけど、無視した。
二階にある廊下の奥の部屋に僕は入った。
二部屋続きの部屋。
奥の部屋に行って、窓際に天蓋付きベッドを置いた。
ついて来ていたリノが目を丸くする。
「えっ、これって……」
「リノはお嬢様っぽいから、こういうベッドの方が似合うかなって……」
僕の言葉に、リノが胸の前で手を合わせて青い瞳をうるうると潤ませる。
「ありがとうございます、ラースさん……一緒にいないときでも、あたしのことを想ってくれてたなんて。――ほんとに嬉しいですっ」
「喜んでもらえたならよかった」
「はいっ、喜ばないわけがないですっ」
そう言って、リノは僕に飛びついてきた。
華奢で柔らかな体をぎゅっと抱きしめる。
金髪をぽんぽんと撫でつつ、ほっと吐息を漏らす。
――気に入ってくれたようで何より。
僕は気軽に言った。
「じゃあ、お風呂入ってくる」
「はいっ、いってらっしゃいですっ!」
リノは涙を浮かべた目を細めて笑った。
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次話は明日更新
→第28話 リノが尊い