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月光の下、大陸の東  作者: wildgun
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 高い場所から幽かな光が降り注いで、段々のガラス螺旋階段を透かしてきた。月光が複数の角度から階段、壁などの数々の透明な平面に映っているのは、いくつもの月が一緒に夜空で照り輝いているように、錯覚を起こさせる。


 階段の手すりに、植物の蔓が疎らに残っていて、モダンスタイルのガラス螺旋階段とねじれた藤蔓が絡み合って、夜空を指しているようだ。


 見上げれば、この新しいでもあり、古いでもあって、奇妙なバランスがあるファンタジーな光景は現実の如し。


 いや、正確に言うと、これは現実そのものだ。



 こんなファンタジーな夜景が視野ではっきり見えてきた時、賽博(サイバク、cyber)が自分の目覚めるのを感じた。自分が膝枕してもらう状態も、気付きだ。頭が誰かの膝に乗せて、仰向けのまま寝っていた。寝る前にぼーっとして読んでいた本も、右の手元に置きっぱなしにした。


 「ポンポンと、疲れ〜飛んでけ〜!」


 膝を貸してくれる隣の少女はこう愛嬌たっぷりの声で、言っていた。何度も聞いたこのセリフだが、いつものシステムボイスと比べ、目の前で生で聴いたら、中にはてれてれする気持ちが感じられる。



 もちろん、聞く側も照れてる。一般的に考えて、膝枕というのはある程度の恥ずかしさに達したシーンで、自分もこんな実感で叶うなんて、まさに予想外だ。恥ずかしい空気をほぐす為に、賽博が何かを喋ろうとしているところ、一種静かな安心感に包まれた。


 真っ暗なホールの空間では、チクタク、チクタクって、機械装置が響いて、時間の流れを静かに感じさせる。


 ——こちらは、望ましい異世界だ!



 MMORPG〈エルダー・テイル〉世界の中、ユーレッド大陸東部にあって海洋に臨んで冒険者の都会=〈大都〉。このゲームは<ハーフガイア・プロジェク>というデザイン理念をもって、ゲームの世界に地球を1/2にして再現していて、〈大都〉は現実世界のユーラシア大陸の東方明珠である「中国·上海市」に対応する。ゲームの背景は中世ファンタジーなので、他のゲームと同じく、〈ヒューマン〉、〈エルフ〉、〈ドワーフ〉などの様々な種族の〈冒険者〉が住んでいるプレイヤー都会だ。四六時中で、この町が活気で満ちていて、クエストを受けたり出征したりバトルしたりするプレイ方法はゲームプレイヤーさんたちソ一シャルコミュニケーションの基本である。その上に、商売、ギルド団体、競技、アイテムコレクション、社交、祝日イベント、世界探索、情報探り……など多彩な活動が様々なプレイヤーさんを楽しませる。プレイヤーさんたちが自分で行うイベントも徐々に展開している。ログインしさえすれば、こちらが無数の奇妙なことがプレイヤーさんの探索し突破するのを待っています。現実世界の上海と比べ、こちらの方が「モダン都市」、「不夜城」と称するに足りる。こちらでは、〈冒険者〉たちが決して退屈しなくて、学業と職業でのしなければいけないことも決してない。これは、コンピュータサイエンスとゲームデザイン理論で築き上げた仮想都市「魔都」である!



 ——はずだった、だろう?


 しかし、〈真穿事件〉が起こった。



 〈真穿事件〉とは何?誰も知らない。この呼び方すら、ゲームプレイヤーさんたちが「おおっ、本当に異世界に転移した!」と驚いて叫ぶ言葉の略したものだ。(*中国語では異世界転移を「穿越」と言う。)痛々しい「針穿」(針で穿刺する)の発音と似ているか?神々しい「真伝」(秘伝)の発音と似ているのか?この呼び方はそのままプレイヤーさんの間に広く伝わってきた。


 誰も知らないこと〈真穿事件〉は、約3週間前にプレイヤーさんたちが異世界作品に書かれたように、本人の姿のままでゲームの世界に入った事件を指す。これはいったい飛び込みか?仮想現実か?夢か?もしくはニュースなどでよく報道されている長時間でパソコンゲームを遊びによる突然死で起こる臨死体験の幻覚か?誰でもはっきり分からない。唯一の知っているのは、プレイヤーさんがこの〈エルダー・テイル〉の異世界に「到達」したといことだ。〈真穿事件〉発生した後最初の3、4日間には、皆んなが驚く気持ちを抱いてびくびくして事態について話し合っていて、のちほど、誰でもお互いに説得できないし、頭の中が整理できないまま、時間が経つにつれて、恐怖感とプレッシャーがだんだんとプライヤーたちの忍耐力を失わせていった。4、5日目に入ると、プレイヤーさんたちの好奇心がほとんど失って、この夢から逃げる方法、元の世界に戻る方法を見つからなかったため、彼達はこの事件の本質についての話が途切れた。皆んなは自分について、自分のこれからの運命について、話し始めた。


 〈大都〉の社会的雰囲気は、〈真穿事件〉発生したばかりの1、2時間後全体の沈黙から、爆ぜさせた爆竹のほうに大騒ぎになって、そして急速に悲しみに満ちたのは、たった一週間しか経っていなかった。


 もちろん、この期間では、自らの方法でこの未知な世界を模索するプレイヤーが何人もいて、昔彼達がこのゲームの世界を探索するようだ。彼達にとって、〈真穿事件〉が何も邪魔にならなくて、たた一つの現実からもう一つの現実に変わったことにすぎないんだ。


 目覚めたばかりの賽博·卡雷庫特は、こういうプレイヤーであって、現在は〈冒険者〉を呼んだ方が適切かもしれない。



 「師匠、無事ただいまにゃ〜。成功率が87%にゃん!」


 肉球で螺旋階段を降りってくるのは、もう一人の〈冒険者〉、レベル90の〈召喚術師〉で、名前はキャラメルラテと呼ぶ。白い長毛猫、いいえ、綺麗で真っ白な長毛種〈猫人族〉〈冒険者〉で、耳先にコーヒー色の毛が付いているのは、名前の由来だろう。尻尾がピチピチ動きは気持ちい表現であると、賽博がわかっている。お二人はゲームで昔からの友人で、現実世界で直接会った事が何回もある。ところが、尻尾の動きで気持ちを表すのは〈真穿事件〉発生後、つまりプレイヤーさんがこの異世界の〈冒険者〉になった後のことだ。このような動きは、キャラメルラテさんがロール・プレイング精神で意識的に振る?もしくは無自覚のまま尻尾が動いている?分からないことだ。先ほとの「にゃん〜」という猫語尾は、絶対故意にロール・プレイングするもので、ゲームの時代からもうそのまま喋っていたので。


 「87%っていうのは?」賽博は先に立ち上がって、隣の少女を引き上げた。


 「六分儀の補足計測で、僕の算法と記憶に基づいて〈妖精の輪〉でのテレポートする成功率だよ。けど、毎回位置測定が約10分かかるんだにゃ。ちなみにゃん、六分儀の不使用場合は、5回のうち2回が成功した!」


 ちょっと、先の「ちなみにゃん」って何?まあ、ツッコミはとりあえず、「本当に測定に行ったの?結構長い時間がかかったよね。安全だった?なにかモンスターと遭ったの?」


 「大丈夫だにゃん。虎は森の王者、そして吾輩である猫は虎の師匠なのでにゃ!」キャラメルラテはこう言いながら、持っている六分儀を周囲の真っ暗なスペースにある本棚にのせた。「師匠さんは南瓜だにゃ!」と。


 猫語尾だらけで分かりにくいけど、とりあえず、無事で何よりだ。しかも〈妖精の輪〉の実験もやや成功したそうだ。



 二人が喋ってるのは〈エルダー・テイル〉世界の中で〈妖精の輪〉と呼ばれるテレポート装置。このゲームでは、幾つの空間転移方法がある。例えば〈冒険者〉たちの基本的スキルとして使えるのは〈帰還呪文〉、もう一つはプレイヤー都市で設置された〈トランスポート・ゲート〉、そして、〈妖精の輪〉と呼ばれ、野外に設置されて転移装置などだ。しかし、〈真穿事件〉後、都市の〈トランスポート・ゲート〉がなんとなく停止された。〈帰還呪文〉なら24時間に一回した使えないのだ。〈妖精の輪〉の場合は、その機能が使えるだが、転送先は複雑な計算によって決められたので、昔のゲーム時代は全世界のプレイヤーさんたちが何年も経てデータを収集し分析した上で、ついにその条件は月の満ち欠けに影響を受けることを判明した。これで、攻略サイトは〈妖精の輪〉の転送ルートとタイミングを整理して公表した。そのおかげで、プレイヤーさんが予想通りで〈妖精の輪〉を利用することが可能になった。〈真穿事件〉後の現在、攻略サイトが完全に使えないので、〈妖精の輪〉がどの場所と繋がっているのとそちらはどんな敵と危機があるのが未知なものになった。その故、ほとんどのプレイヤーさんにとっては、これからの〈妖精の輪〉が役に立たず。


 けれども、キャラメルラテが例外。彼は最初に〈妖精の輪〉と月の盈虚の原理を解明した人ではなく、古参プレイヤーさんでもあんまり認められないのに、彼は攻略サイトの結論に満足しないで、自分の「猫の好奇心」(自称)を用いて先輩プレイヤーさん整理したデータ、研究のプロセス、全世界のプレイヤーたに提出された仮説など、〈妖精の輪〉に関するすべでの資料を読み上げたうえ。自らの研究も含めて、ついにまとめたのは「算法」らしいものだ。ゲーム時代でも、彼が攻略サイトを頼らずに、自分ひとりで〈妖精の輪〉の転移先を分単位で予測できる。〈真穿事件〉発生したの昨今、彼が〈妖精の輪〉の状態を探検し始めた。ゲーム内アイテムである六分儀を使って、方位と月の角度を概ねに測定しているのだ。先のどの「成功率が87%」は、予想を実証した結果だった。


 「へぇ〜?猫なのに、月にはそんなに敏感あるの?もしかして、君は大きな尻尾の〈狼牙族〉か?」


 「〈冒険者〉のくせに、〈真穿事件〉から目覚めたすぐに〈大地人〉の彼女に告白した師匠は、そういう立場がないにゃ〜。」


 賽博の側にいる〈大地人〉少女は、こう聞いたら思わず笑ってしまう。


 師匠で呼ぶけど、この二人の〈冒険者〉は昔からの親友で、マニアックなプレイヤーとも言える。しかも、〈真穿事件〉発生したの今、僅かしかいない積極的な探索者である。


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