秋葉原ヲタク白書27 秋ノ湯の伝説
主人公はSF作家を夢見るサラリーマン。
相棒はメイドカフェの美しきメイド長。
この2人が秋葉原で起こる事件を次々と解決するオトナの、オトナによる、オトナの為のラノベ第27話です。
今回は、メイド長のナリスマシが現れ、アキバ初心者にインチキ星占いセットを売りつける、という催眠商法の被害が続出します。
ところが、その背後には国際的ビジネスメール詐欺(BEC)団と彼等を追う国軍傭兵のバトルがあり、両者の決戦の場はアキバへと…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 "御主人様セミナー"を追え
男が吠える。
「ヲタクども!メイドは導かれるのを待っている!」
「おおっ!」
「迷えるメイドを導くのは…お前だっ!アキバの夜空に輝く星座となれっ!メイドを導けっ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「おかえりなさいませ、御主人様。初めての御帰宅ですか?」
「ヲレはジョナ。へびつかい座。メイドさん、お名前は?」
「メイド長のミユリと申します。改めまして、おかえりなさいませ。ジョナ御主人様」
ココは、僕の推し(てるメイド)ミユリさんがメイド長を務めてる御屋敷だ。
新規の御主人様を前に、ミユリさんが"勝負角"をキメて必殺?の営業中w
あ、"勝負角"って逝うのは、彼女が自分が1番可愛く見えると信じてる角度のコトだ。
カウンターに対し約72°で確かに1番可愛く見えるので僕なんかもうメロメロなんだが…
「あーあ。ガッカリだ!」
ところが、このジョナとか逝うヲタクは、失望を超えた絶望の表情で天を仰ぎ嘆息。
その余りの落胆ぶりに、周りの御主人様がザワつき思わずドン引き、遠巻きにする。
流石にジョナも慌てる←
「あ、ゴメンナサイ!モノホンのミユリさんを前にして…実は僕、騙されちゃったみたいで」
「私、"モノホンのミユリ"ですけど、騙されたって。どうされたの?ジョナ御主人様」
「昨日の"御主人様セミナー"に…"メイドのミユリ"を名乗る女の子がいたんです。だから、僕、てっきり貴女だと思って…」
えっ?ミユリさんに"ナリスマシ"が?
いやぁ油断ならないねぇ最近のアキバ笑
で、その"御主人様セミナー"って何?
「ヤタラしつこいキャッチ(ビラ配り)のメイドに食い下がられて…"腐女子倶楽部"だったんですけど」
「えっ?アソコってセクキャバだょね?ボッタクリなら万世警察へどうぞ」
「いいえ。昼だけ箱(店舗)貸ししてるみたいで、セミナーやってたんです。メイドさんにモテる御主人様になるセミナー」
おぉ!そんな素晴らしいセミナーがっ!
僕も受けてメイドさんにモテたいよっ!
「で、セミナー代がC千(¥1000)だったんで入ってみたら、実はキャバって初めて入ったんですけど、スゴいゴージャスな感じで、ズラリと有名メイドさんが並んでて…」
「有名メイドって誰?」
「だから…その、あの、コチラのミユリさんとか、"ホワイトエンジェル"のリンカさんとか…アキバの有名な御屋敷のナンバークラスばかりがズラッと勢揃いしていて…もう壮観でしたっ!」
で、最後に秋葉原メイドの最高峰、@のひろみんが顔を見せてセミナーは最高潮…
と、思ったら先日、国営放送で見た顔とドコか違う?ん?もしかして全員ニセ者?
「と、思った時は既に遅くて、もう買わされてたんdeath。恥ずかしながら…」
「何を?あ、わかった!幸運の壺だなっ!」
「いいえ。メイドを正しく導くための占星術セットdeath」
その瞬間、ジョナを取り囲む常連から一斉に溜め息が漏れ、カウンターの中のメイド2名は必死になって笑いを噛み殺すw
「バッカじゃないのっ!アンタ、ソレでもセクボなのっ?恥ずかしいのはアタシの方よっ!」
「わっ!クイーン?!コ、コレは失礼しましたっ!」
「あのね、私達はストリートギャングなのよっ!わかってる?ギャングなのっ!何が占星術よっ!星占いなら朝のTVショーでやってるっつーの!」
ジュリは怒ってイル←
あ、ジュリは、昭和通り界隈にタムロする、ストリートギャングのヘッドの妹だ。
あの昭和通りを2分した"ロミジュリ戦争"の時はジュリエットとか呼ばれてるw
可愛いJKコーデしてるけどアラサーです←
「なーんだ。ジュリんトコの若い人だったのか。しかし、散財したねぇ。高かったんじゃないの?」
「はぁ。なけなしのバイト代がパァに…」
「あー、情けない!アンタんトコ、お父さんの遺産が入るまではキツキツなんでしょ?ミユリさん、私はコレ、詐欺だと思う。取り締まってょ!」
あのなーw僕達は警察じゃないし、ストリート浄化委員会でもナイんだがな。
ってか、ミユリさんは、さっきからクスクス笑いっぱなしで取り合わないしw
わ!何だょジュリ。何か用か?
「テリィ!アンタの昭和通りに悪がハビこってんのょ!アンタがどうにかすべきよっ!」
「ええっ?昭和通りって僕のモノだったのか?ってか"チョベリバ"(ジュリが経営?してるJKキャバ)のライバルを潰したいだけなんじゃないの?」
「ち、ち、ち、違うわょ!とにかく!どんな連中なのか?だけでも調べてよっ!どうせ暇なんでしょ?」
暇で悪かったなw 昨夜"メトロキャプテン"の脚本が脱稿したばかりだ。
それに一応、昼間は売れないサラリーマンやっててソコソコ多忙だよっ!
ところが、いつの間にやら、ジョナまで横に来て、僕に両手を合わせる←
やめろ…と、手で払いのけながらカウンターの中のミユリさんを見ると…
まだクスクスと笑ってるw
第2章 13星座に導かれ
ところが、結局"御主人様セミナー"にはミユリさんも来るコトになる。
というのも、常連の誰かが変なブログを見つけて来たんだけど、内容が…
「えっ?"ヲレは秋葉原メイドのミユリとヤった"だって?な、何をヤったのかな?ってか"御主人様セミナー"って"ヤレるセミナー5年連続No.1"らしいぞっ!No.2は何処だろう?」
「テリィ御主人様っ!」
「ハ、ハイ!」
ミユリさんが、僕の名に"御主人様"をつけた時は非常事態だw
僕はジュリのお陰でヤタラ従順になったジョナから事情を聞く。
で、次のセミナーは…今日?
なんだょもう始まってるの?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
セクキャバ"腐女子倶楽部"は、アキバから離れた総武線の高架下にある。
昭和の昔によく見かけた"駅前キャバレー"を彷彿させる、小さめの箱だ。
ところが、ニセ大理石のカウンターを過ぎて中に入るとゴールドで統一された内装にシャンデリアがぶら下がるラグジュアリーさ。
既にセミナーは始まっていて8分の入り。
その客を前にステージ?で男が吠える。
「メイドは待ってる…」
「アキバの星座になれ…」
「占星術で導け…」
メイドを左右にズラリと並べたヤサ男は、ハッパをかけるタイプのアジテーターだ。
客に向かって揃いのポーズをキメるメイド達は全員が名前入りのタスキを掛けてる。
あ、ミユリさんもいるw
でも、全然似てねぇ笑
しかし、あぁヤバいなw アジテーターの男には見覚えがあるょ。
おいジルバw 君は、こんなトコロでこんなコトをしていたのか?
ホントに性懲りも無くw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジルバは、かつてアキバのヲタクに君臨するキングを夢見た男だ。
その野望を実現するため、危ない勢力と手を組むも挫折している。
その後、色々あって1度は親友的な関係になった仲なんだが、ちょっち目を離した隙に、またまた変なコトを始めたようだw
「リボン!その質問者の方には外に出てもらいなさい。くれぐれも丁重にな!」
「ミユリ姉様&テリィたん、ごめんなさい。ちょっちワケありなのん。少しお待ち頂けますぅ?」
「またジルバ御主人様とツルんでるの?ホント貴女も懲りないのね、リボンさん」
リボンさんは、ジルバから離れるコトが出来ない、困ったメイドさん。
かつて、ジルバにアロマ中毒にされかけたのに相変わらずの夫唱婦随←
質問タイムに挙手しまくり、セミナーの進行を妨害した僕達は、店の外へ追い出される。
やがて、セミナーが終わったらしく、受講?した御主人様達が青い紙袋を手に出て来る。
さらに待っていると、お次は"ニセ有名メイド"をやってたバイト女子の軍団だ。
「ヲタクに触られた」とか「大丈夫だった」とか話しつつ秋葉原駅方面へ消える。
「ミユリ姉様&テリィたん。お待たせしちゃいました。"ウチの人"がお会いになります」
「それ、テリィたん&ミユリさんで名前の順が逆だから。あ、それから"たん"もヤメてチョンマゲ」
「ではミユリ姉様とお連れの方、どうぞ」←
大分経ってから、キャバの重厚?なドアを開けリボンさんが顔をのぞかせる。
店内に入ると、撤収準備でダンボールを積み上げてるジルバが笑顔で迎える。
ん?ヤタラと爽やか?笑
「やぁ!お待たせしました。テリィさん、ミユリさん。久しぶりに懐かしい顔に会えて嬉しいなぁ!ホントその節はお世話になりました!実は占星術セットの売上が順調なんですょ!」
「アンタッ!手を動かしなっ!キャバの連中が出勤してくる前に撤収だよっ!」
「あいよっ!」
ややっ?カカァ天下?
夫唱婦随が婦唱夫随?
リボンさんに叱られ、イソイソ箱詰めを急ぐジルバにアキバの王を目指した面影はない。
ついでに、ジルバをアゴで使うリボンさんの方も儚くも幼気だったメイドの面影はゼロw
ウチと同じだ…と思った次の瞬間には、もうミユリさんの肘鉄が僕の鳩尾にキマってるw
彼女は、悪魔から授けられし能力により、僕の思考をリアルタイムで読むコトが出来る←
と逝うワケで、ココから先はミユリさんに任せてメイド同士で話してもらおう←
もう昔の話だけどミユリさんはリボンさんをKOしたコトがあり話も早いんだw
で、リボンさんの話では…
アキバ征服を目指す"オリオン事件"を引き起こして以来、鳴りを潜めていたジルバの下に"13星座団"からの接触がある。
ヤタラ豊富な資金を擁する彼等は、同団特製の"13星座占星術セット"をセミナーで無料配布する事業をジルバに持ちかける。
「あ、13星座占いって、いつもの12星座に新しい星座を加えた星占いだょね?」
「黄道(太陽の軌道)に12星座が並んでたのは実は2000年前の話で、以後、星は移動し現在では"へびつかい座"を加えた13星座が並んでいるのです」
「ソレって、バブルの頃に流行ったパーティジョークじゃなかったの?」
ところがドッコイ、しぶとく生き延びイルミナティの流れをくむ秘密?結社、科学的修正主義集団"13星座団"が継承中だw
まぁジルバって"オリオン事件"の時から、天文系が好きなんだょなw
で、人集めに(ニセ者)メイドを使うのはリボンさんのアイデアらしい。
「でも!ミユリ姉様のニセ者だけは、私達としましても、徹底的にコダワらせていただいたツモリなのですぅ!」
「全然うれしくナイけど、ソレってどーゆーコト?」
「彼女だけは特別!だって、専門のマネージャー付きのプロのメイドさんなんですぅ!専門のマネージャーがついてるなんて、スゴくないですか?」
リボンさんが持ってる角の丸い名刺には、オフィスと思しき住所が記されていたが、何と外神田5丁目で、ほとんどお隣さんw
「で、テリィさん。ココから先は御主人様同士のナイショの話なんですけど、実は…この住所にはお風呂屋さんがあるンですょ」
「ええっ?!お風呂屋さん?!」
「お!食いついた!恐らく住所的に、かなーり特殊なお風呂屋さんだと思うんデスけど、実はニセミユリのオーデ(ィション)を通す時に、優待券をドッサリもらったんで、ゼヒ今度行きましょう!ホントご一緒したいな、3Pなーんちゃって!わっはは…」
で、ついつい僕もウレしくなって、一緒に大笑いをしちゃったんだけど…
あのさぁこんな男の一体ドコがいいんだょ?と、僕がリボンさんに聞く前に、同じ質問をジルバはミユリさんにしているw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
で、優待券片手にジルバと一緒に出掛けたんだけど、行ってみたら何と本物の銭湯だw
何が特殊なお風呂屋さんだょ!全く健全な普通の街の銭湯じゃねぇか!ジルバのバカ!
しかも…
「いらっしゃい…あっ!」
「おおっ!貴女はニセミユリさんのマネージャーじゃナイですかっ!何で銭湯の番台に?」
「私、ココの女将です」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「…と逝うワケなんだょ。ジルバは"13星座団"から無料で仕入れた占星術セットをアキバ初心者に高値で売りつけて絶賛ボロ儲けって絵だね」
「なーんだ。ソレって無料配布された聖書をBOOKOFFで売るのと同じ?もっとダビンチ・コードみたいな国際的陰謀に発展すると睨んでたのにヤタラつまらないわ…ってか、どうかしたの?顔色が悪いわょ、ジョナ」
「こ、この銭湯は…私の実家です」
ミユリさんの御屋敷で、ジュリに中間報告してたら、騒ぎの発端であるジョナから驚きのカミングアウトで事態は思いがけない方向へ。
「え?秋ノ湯って、お前の実家だったの?じゃあの番台にいた女将と逝うか、ニセミユリさんのマネージャーだったかな、ってジョナのママンか?もしかして、銭湯の傍らタレント事務所もやってて、女湯で巨乳をチェックしてスカウトしてるとか?」
「スミマセン。実は俺、親父に勘当されてルンです。女将は…恐らく俺が勘当された後で家に入った妾だと思います」
「そりゃまた…ジョナの親父さんって、ヤタラとパワフルな人なんだなw」
ところが、今は老衰で病床にあるらしい。
ジョナ、今の内に詫び入れて家に帰れば?
第3章 後妻業 vs 青機関
「ヒモのテリィさん、今、秋ノ湯、とか仰いヤしたか?」
「え?仰いヤしたょ。ヒモじゃナイけど」
「いや。何、あの銭湯の親父とは古い馴染みでね。でも、最近悪い話を耳にしヤした。確か入り込んだ若い妾が後妻業だとか」
あ、虎吉さんだ。
パイプドステム&ボタンダウンのみゆき族ルックの虎吉さんはアキバを締める若頭だ。
その筋の会長さんの孫娘でもあるつぼみんを護るように、時折、御屋敷にも顔を出す…
ってか、実は単に、つぼみんのメイド姿に萌えてるだけ、と逝う説もアル←
「太平洋戦争中、身を挺して敵地に潜入し、アジアに蔓延る植民地主義と戦った戦士だったと聞いてヤす。でも、寄る年波には勝てず、メイド好きが高じて後妻業の餌食に…」
「ソレって陸軍中野学校か何かのスパイだったってコト?大東亜共栄圏の亡霊みたいな人だな。ところで、後妻業ってTVドラマの世界の話じゃないの?」
「とんでもない!秋ノ湯には業界じゃ老舗の"アカネット"からエースが逝ってるみたいですゼ。と逝うのも、あの界隈は再開発絡みで地上げの話があり、裏じゃ大手のゼネコンが動いてるって聞いてヤす」
何だか、にわかにバブルっぽい話になって来たょ?
東京オリンピックまで、こんな話が続くのかなぁ?
そこへ…
「ヲタクのみなさん、助けて!ママンが…私のママンが消えたの!」
「あ、あれ?き、君はミユリ…さん?ってかニセモノのミユリさんだょね?」
「えええええっ?全然、皆目、絶対的に、似てないよっ!」←
その場の全員が仰け反るw
御屋敷にメイド姿で飛び込んで来たのは"腐女子倶楽部"で見かけたニセミユリさんだ。
あの時は「ミユリ」ってタスキ掛けしてたからわかったけど、今は僕も誰かわからないw
「似てなくてゴメンナサイ!ニセモノだから仕方ないの!でも、今だけ、ニセミユリに免じてママンを探して!他に頼る人がいないのっ!」
「いきなり飛び込んで来てママン、ママンって逝われてもな。君のママンって誰だょ?」
「秋ノ湯の女将です」
えええっ?!
君達、母娘?
と逝うコトは、君は後妻業の娘ってコトか?
この忙しい時に母娘で一体何を企んでるの?
「し、しかし、そーゆー貴方達は、どうして母が後妻業だと御存知なの…でも、わかりました。全てお話します。特に、ジョナさんにだけは、わかって欲しい。私の気持ち」
ニセミユリのネームはカノン。
彼女が語る悲しい母娘の物語。
カノンの母親は、離婚後に登録した結婚相談所で後妻業を始める。
後妻業と逝うのは、資産家の老人の遺産相続を狙った結婚詐欺だ。
今回狙うのは、秋ノ湯の底地だが大手がついてるとかで成功報酬がハンパない。
メイド好きとのコトでお見合いパーティにメイド服で出掛けアッサリ落とすが…
「ちょ、ちょ、ちょっち待ったー!カノンのママンっていくつだょ?」
「…アラフィフ」
「ホントにメイドに飢えてたんだな、底地の地主って。あ、ジョナの親父か。ゴメン」←
ひとり息子とも絶縁中とのコトで、大した反対も受けずに婚姻届を出し、メイド姿wで遺産相続の公正証書の作成を迫るが…
コレが上手く逝かない!
病床に公証人を呼び、いざ公正証書作成となると、うわ言を口走り、言を左右させたり。
景気付けに、とメイド姿で迫れば、その時だけは元気になるが笑、朝になれば元どおりw
他方、何処かに誰かデッドラインを抱えた人がいるのか、この件に限り、結婚相談所からは、公正証書は未だか?と矢の催促だ。
しかも、ヒョンなコトから、頼みの婚姻届も本人が押捺まではしたものの、実は未だに届出をしてなかったコトが明らかになる。
このタヌキ親父w
完全に煮詰まったカノンのママンは、戦略転換し、勘当中のひとり息子に目をつける。
実の息子への遺産相続なら、あのタヌキ親父も公正証書の作成に同意するに違いない。
しかし、その前に先回りして、放蕩中の息子にツバをつけておく必要がある。
親の遺伝で息子も大のメイド好きらしいが、流石に自分が相手では可哀想だ笑
ココは、コチラも親の遺伝で、ヤタラ男の垂らし込みが上手くなった娘を使おう←
早速、娘に自分のメイド服を着せたら確かに自分よりも遥かに萌える(当たり前)w
後は銭湯の無料券をバラ撒き娘をインチキセミナーに押し込み、キャッチのメイドには小遣い掴ませ放蕩息子をセミナーに呼び込む。
さすがはプロの後妻業者!
母娘の連携もバッチリだ!
と逝いたいトコロだったが…
「ホントに好きになってしまったの!ジョナ御主人様のコトを」
「ええっ?!マジかょ?ちょっちウソくせぇだろぉよソレ」
「信じて!初めて恋した相手が…ジョナ御主人様だった!メイドは恋してはいけないと逝うの?」
メイドは恋しちゃダメだょw
店外交友の禁止は基本のキ!
(僕とミユリさんは例外←)
後妻業者としても零点でしょ?
とか僕なんかは思フのですが…
「…ジョナ。で、アンタはどーなの?」
「恥ずかしいけど、俺もカノンさんのコトが好きです。クイーン」
「じゃ決まりね。テリィたん、このメイドさんのママンを探してあげて。セクボの兵隊は好きに使っていいわ」
おぉい、ジュリ!
何逝ってんだぁ?
ジュリは、あの"昭和通りロミジュリ戦争"で身にしみた"ジュリエット体質"が抜けてなくて、この手のロマンス系に弱いんだw
僕は、カウンターの中の(モノホンの)ミユリさんに助けを求める。
でも、彼女は、小首を傾げて微笑んで僕の退路をアッサリと絶つw
僕は、大きく深呼吸してから声をかける。
「…と逝うワケだ!みんな、力を貸してくれ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
それにしても、ママンの消えた理由が謎だ。
まだ最後のピースが欠けているように思う。
「ヒモのテリィさん。秋ノ湯の親父の素性、少し洗ってみヤす。何かわかるカモ」
「カノンさん!ママンのケータイ番号わからないかな?追っかけるけど?」
「追跡チームは今、何処?スタンバイよ!」
御屋敷のヲタクパワーを総結集だ。
女サイバー屋のスピアが、ママンの電話番号から彼女のスマホの識別番号を特定する。
信号は昨夜遅くに途絶えてるが直前に昭和通り沿いの基地局を経由したコトがわかる。
基地局のあるビルは、御屋敷から数ブロック先。
スタンバイ中のセクボの追跡チームが現場急行。
そこへ電話だ。
「あ、虎吉?ご苦労さん…え?待って。テリィ様に代わるわ」
つぼみんが、スマホを寄越す。
「テリィです。虎吉さん、どうしました?」
「ビンゴでヤす。秋ノ湯の親父、青機関でヤした」
「青機関?あの"ビルマの竪琴"の?」
"ビルマの竪琴"は、ミャンマーがまだビルマだった太平洋戦争の末期に出家し僧になった日本兵が主人公の物語。
特定のモデルは存在しないとされてるが、一説には欧米による植民地支配の弱体化を謀る特務機関員との説もある。
その特務機関が"青機関"だ。
敗戦後、機関は解体され歴史の闇に姿を消すが、一部は地下潜行し、欧米列強からの独立戦争を指導したとされる。
ジョナの親父さんが"青機関"の生き残り?
パパはスパイでメイド好きってスゴくない?
「で、まだ秋ノ湯の親父はビルマコネクションと繋がってるようでヤす。先週、ミャンマー(ビルマ)からの団体さんがアキバ入りしたみたいで」
「ええっ?ミャンマーって、今、軍事政権だょね?もしかして情報機関かな?」
「ビルマは"黄金の三角地帯(世界最大の麻薬密造地帯)"の一角でヤす。薬屋(麻薬)絡みなら、人の1人や2人、いつ消えたって不思議じゃありヤせん」
アキバ入りしたのは麻薬カルテルか?
ママンが消えたのは麻薬絡みなのか?
「うわっスゴい!何なのこの口座」
「スピア、どーした?」
「ジョナパパの銀行口座をハッキングしてみたんだけど、スゴい額が出入りしてる」
口座で出入り?
相変わらず、スピアが何をどうしたのかは皆目ワカラナイが、彼女のPC上には秋ノ湯の口座の履歴が示されているw
何と秋ノ湯の口座に世界の名だたる有名企業からの入金が断続的にあるw
金額は、円換算で数百〜数千万円と幅があるが、入金自体は途切れない。
さらに不可解なのは、ソレらは入金されると即日、遅くても翌営業日までには必ず全額が引き落とされているコトだ。
なんなんだ、この口座?何かの代金の振込口座なのか?もしや麻薬代金?
突然、ジュリが歓声をあげる。
「見つけた!ウチの追跡チームが、カノンちゃんのママンを見つけたわ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
細長い雑居ビルの屋上に上がる狭い階段にセクボの追跡チームが張り付いている。
細く開けたドアの隙間から屋上の様子を伺っていたリーダーが僕達に気づき頷く。
彼は、ハンドサインで相手は4人、男3人に女1人と教えてくれ、場所を代わってくれる。
僕は、物音を立てないように注意しつつ、明滅するネオンに照らされた屋上を見たら…
げ!拷問中だょw
ケータイ基地局のアンテナの支柱に1人の女が縛り付けられてる。
ソレを男3人が取り囲んで、何事か聞き出そうとしているようだ。
あ、バーナーに点火w
えっ!顔を焼くのか?
次の瞬間、荒々しく僕を突き飛ばして、屋上へと駆け出す人影!
あ、バカ!カノンさんなんか修羅場に連れて来る奴がいるかょw
「ママー!」
「〒>☆♪○「〆\€*¥!」
「カノン、いいの!この人達はお友達よっ!貴女は帰って!」
飛び出すカノンさんを見て男達が上げた叫び声は…何語なんだ?よくワカラナイw
そして、ママン!誰だか知らないけど、顔を焼くお友達とは別れた方がいいよっ!
カノンさんは、バーナーを持った男に体当たりしママンを助けようとして…捕まるw
万事休すだ!でも、カノンさんを見殺しには出来ない!僕達も雪崩を打って屋上へ!
セクボの追跡チーム、僕とミユリさん、ジュリとジョナ、そしてカノンさんだ。
男達は数を頼みに取り囲む僕達に慌てもせず、まるで名刺入れでも出すように…
拳銃を抜くw
3丁のグロック19に狙われた僕達に"真実の瞬間"が訪れる。
"真実の瞬間"では、言葉は意味を失い、行為が全てを語る。
セクボの追跡チームは、全員がジュリを護る盾となり、瞬時に銃口の前で壁となる。
僕は、僕を庇おうと飛び出したミユリさんを力づくで押し倒し彼女に覆いかぶさる。
そして、取り残されて立ち竦むジョナに駆け寄ったのは…カノンさんだ!
決意に満ちた眼差しで、男達の前に跪き、思い切り左右に両手を広げる!
だが、その胸に銃口が押し当てられ…
やめろ!彼女を撃つならヲレを撃て!
誰かがそう叫ぶのと銃声がほぼ同時だ。
その瞬間、情けナイけど僕は目を瞑る。
そして、目を開けたら…
夜空から舞い降りた、完全武装の兵士がMP-5の銃尾で男達を殴り倒している。
さらにロープは何本も垂らされ続々降り立つ兵士は瞬く間に屋上を制圧する。
その時になって、ようやく僕は、上空に真っ黒なUH-60が、低い唸り声のようなジェット音を立ててホバリングしているコトに気がつく。
第4章 私を小さな銭湯に埋めて
カノンさんは無事だ…失神してたけどw
ソレからUH-60は軍用ヘリだけど、あの夜、僕達の頭上にいたのは多分、最新型だ。
ヘリ独特のバリバリと逝う爆音が全くしないステルスヘリだから恐らく…(以下省略)
あ、ソレからMP-5は、世界の特殊部隊が使う短機関銃のベストセラーだょ念のため。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
さて、何から話そうか。
先ず、あの夜、秋葉原でヘリボーンを行ったのは、ミャンマー警察軍の特殊部隊らしい。
警察が軍組織ってスゴいが、今回は傭兵として作戦中、因みに彼等が話すのはビルマ語。
と逝うのも、ミャンマー軍って変わってて、軍が独自の経済活動を行っている。
つまり、ミャンマーには軍が経営する企業や工場、ヘルスセンターとかがあるw
今回、そうした軍が経営する企業の1つが、国際的犯罪組織"メコン・アクス"の詐欺の標的となって、天文学的な損失を出す。
詐欺の手口は、企業のメアドを乗っ取り虚偽の振込を指示すると逝う、いわゆるBEC。
世界中で急増しており日本でもJALが4億円近くカモられて、警視庁も注意喚起に躍起だ。
ところで、オレオレ詐欺も「最後は出し子」と逝われ金を引き出す時が最も高リスクだ。
そこで"メコン・アクス"は、アジアでは信頼の高い?日本の銀行口座を振込先に使う。
ソレが秋ノ湯の口座だったワケで、恐らく、ジョナの親父は手数料を取って"メコン・アクス"の"出し子"をやっていたのだろう。
多分"メコン・アクス"の親玉(誰?)も"青機関"で、ジョナの親父さんとビルマの独立戦争を戦った絆で結ばれてるのではないか?
「あぁソコへ何も知らないウチのママンが、秋ノ湯の口座の暗証番号を変更して…」
「うーん。いや、君のママンは、薄々知ってたんじゃないかな?」
「そう逝えば、私達が踏み込んだ時、男達のコトをお友達だって言ってたっけ」←
一方で、食らいついたカモの銀行口座を抑えるのは、後妻業の基本中の基本だ。
カノンさんのママンは公正証書作りは失敗したが寝たきり老人の実印は見つける。
ジョナの親父さんには内緒で、難なく暗証番号を変更して口座を我が物とするが、その瞬間"メコン・アクス"の殺し屋が動き出す。
同時期に取引先wの開拓に励む"メコン・アクス"が、あろうコトか、国軍のフロント企業をBECでカモったものだからタイヘンだ。
日本に向かった"メコン・アクス"の殺し屋を追って、件の特殊部隊がステルスヘリに乗り込みアキバまで出張って来る事態となる…
…と逝う話をしてくれたサリィさんも、国益優先の特殊部隊に所属している。
日本政府は、高額取引が続く口座について銀行から通報を受けて事態を察知。
後は、ミャンマーの特殊部隊にアドバイスだけして推移を見守っていたらしい。
「つまり、アキバのコトなら、作家とメイド長のコンビをモニターしろってね。あのコンビなら、いつも必ず解決への最短コースを走ってるからって」
「ヒドイなー。じゃパスファインダー(本隊に先行する偵察員)が僕達を尾行して高見の見物してたってワケ?」
「あら、ちゃんと私も一緒だったわょ?」
余計ヒドいw
ヤタラとタイミングよくヘリボーンが来たのも、サリィさん達が物陰から的確にヘリをレーザービーコンで誘導したからだろう。
やれやれトンだ軍事目標体験をしたモンだ。
湾岸戦争のスカッドミサイルになった気分。
あ、僕達は今、例によって一件落着した後で、御屋敷に集まってマッタリしてるワケだけど、ソコにジョナとカノンさんの姿はない。
だって、彼等は今頃…
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"真実の瞬間"には、誰もが真実の行為を成す権利と義務がある。
カノンさんは、まさにその"真実の瞬間"に自分の義務を果たす。
だから、今、この時間だと恐らく彼女は…秋ノ湯の番台にいるハズだ←
つまり、晴れて銭湯の2代目に収まったジョナとウマいコトやってるワケだねw
ジョナは親父さんと和解して、今では父子でメイド話で盛り上がってるそうだ。
可哀想なのはカノンさんのママンだけど、また新たなカモを探して後妻業に余念がないw
流石に娘の舅をカモるのは自粛し、結果としてジョナの親父は、後妻業から遺産を守る。
でもさ!アキバを訪れる銭湯好きは気をつけろ。
秋ノ湯の女将は、伝統的に美人だけど手強いぞw
特に2代目は母親譲りの男垂らしだから、知らない内に、サウナ券とか、シャンプーとか、買わされちゃっても知らないからな。
おしまい
今回はビジネスメール詐欺(BEC)など扱う国際的犯罪組織や国軍にいながら傭兵として動く特殊部隊、後妻業の母娘やアキバの老舗銭湯を継ぐ父子などが登場しました。
実は、大の銭湯好きで、昔から秋葉原に限らず神田界隈の銭湯には、よく出没してました。
今は、息子とよく温泉に出かけますw
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。