表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

立夏の砂漠

 皆の制服が夜から昼間になるみたいに,衣替えが始まった。

 黒い学ランも駅前や忙しく動く電車内では見られたものの,季節に依って時に服装は人を殺す,それは十分に理解した。

 理解できた理由,自分が校内で衣替えが今日から始まることをすっかり忘れていた。それにも関わらず太陽は黒い大きめの制服目掛け,容赦なく照りつけるからである。ワイシャツはそもそも着ていない。着替えようもない。眼鏡は曇る。

悪魔や運命の悪戯の所業をまじまじと感じた。


 ここで読者の皆さんは違和感を覚えた人は多いであろう。

「え,今春だよね。入学式も始まってないじゃん!」

その言葉を浴びせられるのは重々承知している。

作者がこの小説,文章を考えたのは平成最後の夏である。

が,去年は作者が色々忙しかったのである。

偏差値という曲がりに曲がった定規で学生を'はかる'行事(というより苦行?)があった。そう,受験だ。

おっと,話を戻さんと。



二,三カ月前の受験終わりの一息が心地よかった。

「潤い」もあった。

西原翔は苦悶の表情を浮かべ,そう思う。

おまけに向かう先は死地。

乾燥帯しかもステップではない,沙漠。そう沙漠。

いや, 行き先は伊豆大島ではないのだが...。



 今日は幸運な日であった。学ランで登校したが早めに学校に来たため焦熱地獄を事前に回避した!そして何より...今日から...

流石都内の私立!クーラーが効いている!快適だぁ!

 宮崎翼は心の中で絶叫した。田舎の夏はおさらば!

 皆が言うこの高校の欠点は,宮崎にとってはある意味利点だ。

 快適だが...。少し早く来すぎたらしい。

 僕の教室は見ての通りがらんどうだ。

 仕方ない,雑学を話そう。中国語ではね...



「こいつ誰と話してんの?」読者さん,彼はそういう人です。

無視して。マンガのモノローグだと思っておいて。



 中国語ではね,'床'って「ベッド」て意味なんだよね。



「なんなのコイツ」ちょっと黙って。彼を大目にみて。



 ベッドと言えばこの高校の九割がなにやら疚しい,如何わしいことを考えるのだろう。男子校だから当然だわな。

 眉毛に届くほどの前髪がクーラーに靡く。


 次に前髪が靡いたのは,千葉と春日部が部活が終わって,勢いよくドアを開けた時だ。思いの外デカイ音がなって春日部がピクッと驚いていた。長身でがたいのいい彼には似合わない仕草である。

 一方千葉は何故かこちらに足裏を向けたまま。ちb..小柄な彼は音にびくついてもいない。

「おい,チビ。デカイ音立てんなよ。背丈と音が比例してるじゃん。宮崎も椅子から跳ねたぞ」

 春日部が言う。比例じゃない反比例だ。あと...

「いや,びっくりした訳じゃないからー(棒)」

 その宮崎の言葉を遮る。千葉は鋭い双眸で矯めつ眇めつ眺めて

「チビじゃねぇ,千葉だ。覚えろよカス」と言った。

 中学数学もな,と付け足す。

 毎度見る光景だが彼らが飽きないことに少し感心する。

 悪い意味で。


 口喧嘩に「暑い,暑い」の声が混じる。


 声の主は作者ですら忘れかけた...えっと誰だっけ?

 ゴメンちょっと確認するね(汗)...

 そう!えっと,冒頭で出てから忘れかけられた西原翔だった!


 翔は開口一番こう言った。

「いやー,砂漠でもゲルはあるからだいぶマシだぁ」

 誰かに向けた言葉ではないが,宮崎が拾った。

「ゲイ?」

「いや,ゲル」

「ゲロ?」千葉が続ける。

「いや,ゲル!」

「ゲル?」本気で解ってない顔で春日部は訊く。

「砂漠にゲル状のスライムでもいたのか」

「...もういいや」翔は会話を降りたのだが...。

「違う,ゲイのゲル状のスライムがいたんだ!」

 どこに!?

「ザキも違う,グロくてグレた,ゲイのゲルもといゲロ状のスライムがいたんだよ!」

もうやめろよ!ゲシュタルト崩壊が起きてんだよ!もう起きてる!

 ってあれ?ゲルタシュト崩壊だっけ?

「なるほど」春日部が続ける。「そういうことだったのか」

 いや納得する箇所あった?

まだ続ける。 

「でも,スライムって性別あんの?ないならゲイじゃなくね」

「言われて見れば」「確かに!流石だ,カス!」

 気にするとこソコなの?スライムがいるとこは突っ込まないの??

「最後に至っては悪口じゃん!」思わず声に出した。


 斯くして四人衆のボケとツッコミは熱を帯び,ホームルームが始まるまで持ち越されたのだった。



「え,リア充関係ないじゃん」いや,だってストーリー始まってすぐだし!そんなすぐに展開できんから!暫し待って!

 ここで伝えたいのは彼・彼女いなくても充実な学校生活は送れること(多分...確証できない...)だから。

 週1日の小説内の男子校生活,是非お試しあれ。



西原 翔 (16) 得意教科:数学    苦手科目:現代文


春日部 匠(15) 得意教科:保体    苦手科目:勉強全般


千葉 隼人(15) 得意教科:保体・歴史 苦手科目:国語


宮崎 翼 (15) 得意教科:美術・国語 苦手科目:日本・世界史



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ