血と汗と涙
武器を持った3人が近づいてゆく。
ウォーズは、拘束されていながらも、必死に暴れる。
だが、人間の力で拘束具は壊れるはずがない。
「やめろよ、な、仲間だろ!? なんでそんな、俺をターゲットみたいに……。」
3人は、ウォーズを既にウォーズとして見ていなかった。
お面を被った時、それは”仕事”であり、私情は挟まないこと。それが、4人の決まりだった。
あと一つ、決まりがある。
「俺をものとしてみるんじゃねえ! 俺は人だ!」
ターゲットを”もの”として見ること。
そうすることで、感情が揺さぶられないのだ。
4人は今までそうやって何人も殺してきた。
今、3人にとっては、ウォーズは、音の鳴るおもちゃくらいの認識なのだ。
キツネは小さなナイフで、ウォーズの右手の小指を切る。
「うがあああ! やめろよ! やめてくれ!」
「やめてほしかったら、早く白状しろよ。」
般若は気怠そうに言った。般若は効率重視なのだ。
報酬と釣り合わない任務は引き受けない。
「じゃあ、次、薬指ね。」
キツネが薬指を切る。料理をするみたいに、作業的に、切っていく。
キツネが右手の指をすべて切り落とした。
「指なくなっちゃったから、代わりになるもの、あげるよ。」
ピエロは5本のねじを持ち、指の切り口にズブズブと差し込んでいく。
「さっさと白状しちゃえばいいものを。」
般若はため息をつく。
「もうめんどくさいから、足、切り落とすぞ、いいな?」
般若はウォーズに聞いた。
けれどウォーズは痛みに耐えていて、息のする音しか聞こえない。
般若は思いっきり武器を斧をウォーズの左足に向かって振る。
般若は普段指示役で、あまり武器を使うことがなかったが、上手く足を切ることが出来た。
ウォーズは叫び声をあげ、汗と涙で顔がぐちゃぐちゃになっている。
それでもウォーズは口を割らなかった。
その後も3人は思い思いの方法でウォーズを痛めつけた。
そのうちウォーズの反応も鈍くなっていったため、水をぶっかけて意識を戻させた。
それを何度か繰り返すうちに、ウォーズはピクリとも動かなくなった。
「知らなかったのか、知ってて言わなかったのか……どっちだ、ウォーズ。」
般若が聞く。
ウォーズは答えない。
3人は、何も情報を得ることが出来なかった。