般若。ピエロ。キツネ。
アルグレート達は、ウォーズがいる地下へと降りてゆく。
その音に気付いたウォーズは、「アルグレート! いい加減にしろ! 俺は犯人じゃない!」と叫ぶ。
仲間だった奴らに疑いをかけられたうえに、拘束され、放置までされたので、いくら温厚なウォーズでも怒るのは当然だった。
「うるせえよ。黙ってじってしてろ。」
ウォーズの前に近づきながら、アルグレートはウォーズを睨み、言う。
ウォーズはこの中で一番体格が良い。けれど、3人相手に出来るほど、力はない。それに今は拘束されている。
ウォーズは右を見る。
地下には、多くの武器がある。今日使ったものもあるし、普通のナイフや、刀、チェーンソー、ハンマーなど実に沢山の武器が取り揃えられてある。
このまま、疑いが晴れなければ、危ねえな、とウォーズは思った。
「ねえ、もともと金庫にあったお金、いくらか知ってる?」
エーデルがウォーズのもとにしゃがみ込んで聞く。
「はあ? 4億だろ?」
ウォーズは吐き捨てるように答える。
「じゃあ、ウォーズの部屋のベットの上にあった金額は?」
今度はイージスが聞く。
「同じく、4億に決まっ……」
「違うんだよ、ウォーズ。」
アルグレートは、ウォーズの言葉を遮り言った。
「お前の部屋のベットの上にあった金は、2億しかなかった。わかるか? 半分ねえんだよ。」
アルグレートはポケットからライターを取り出した。
いつも、タバコを吸うために持ち歩いているのだ。
「お前、4億を山分けしたんだろ? もう一人のやつの名前を言え。これは命令だ。」
アルグレートは重圧の利かせた声でウォーズに命令する。
そして、ライターに火をつけ、ウォーズの顔に近づけてゆく。
「お、俺は、そもそも、俺の部屋にあった2億だって、知らねえんだ。答えられるわけ、ねえだろ。」
ウォーズは、自分に対して敵意むき出しのアルグレートに恐れを抱いた。
でも、ウォーズは、「知らない」としか答えることが出来なかった。
「……そうか。残念だ。ウォーズ。」
アルグレートはため息をついて、ウォーズの顔ギリギリのところで、ライターの火を消した。
アルグレートは、ウォーズから遠ざかっていく。ウォーズは一瞬ほっとした。
その後、アルグレートは部屋の隅の棚に向かって行く。
そこに何が置いてあるのかを、ウォーズは知っている。
ウォーズの顔は青ざめる。
アルグレートが手に持ったのは、お面だった。
アルグレートは、イージスにピエロのお面、とエーデルにキツネのお面を渡す。
3人は、いつものように、お面をつけ、フードを被る。
般若。ピエロ。キツネ。
3人はそれぞれ、思い思いの武器を選ぶ。
「白状させるんだから、死なないように、気をつけろよ。」
般若は言った。
般若の仮面をしている者の名は、アルグレート。
ピエロの仮面をしている者の名は、イージス。
パンダの仮面をしている者の名は、ウォーズ。
キツネの仮面をしている者の名は、エーデル。