犯人?
「俺じゃない! まってくれ、俺じゃないんだ!」
ウォーズは必死にアルグレート達に訴えている。
「犯人はみんなそう言う。隠しても無駄だ。」
アルグレートはウォーズを鋭い目つきで見ている。
「札束があったのが、何よりの証拠だよ。白状しなよ。」
イージスがウォーズと肩を組み、言った。口調は穏やかであったが、いつものおちゃらけた様子は全く感じられず、ターゲットを脅すような時と同じような邪悪な雰囲気を醸し出している。
「本当に俺じゃないんだ! 札束だって、俺が置いたんじゃない! 誰かに置かれたんだ!」
ウォーズは早口で、自分が犯人でないことを説明している。
「じゃあ誰が置いたっていうのよ!?」
エーデルが言う。
「それは、……分からない。でも、俺は嵌められたんだ! 信じてくれ!」
ウォーズはアルグレートを見つめ、信じてくれ、と目で訴える。
「話にならないな。」
アルグレートが言った。その言葉にウォーズはうなだれてしまう。
「とりあえず、ウォーズは地下に拘束することにして、そのあと部屋、調べるぞ。」
アルグレートが指示をだす。
「はいよ。」
イージスがウォーズの左腕をがっしりと掴み、動けないように抑える。
反対側はアルグレートが抑えた。
2人に捕まえられ、ウォーズは地下へと連れていかれる。
エーデルもその後についていく。
地下にはがある拘束具がある。それにウォーズの両手両足を、手際よく固定する。
「それじゃ、またね。」
イージスが笑って言い、アルグレートたちは階段を上っていった。
「俺じゃない……俺じゃないんだ……。」
暗い地下室で、ウォーズはぶつぶつと言う。
その声は小さかったが、コンクリートの壁に囲まれた部屋にはよく響いた。
ウォーズの部屋の前に戻って来た3人は、ウォーズの部屋を徹底的に調べ上げた。
だが、札束以外に、特に怪しいものはなかった。
「札束以外は、特に何もなさそうだね。」
イージスが残念そうに言う。
エーデルが、ベットの上を指さし「その札束、いくら分あるのかしら?」と聞く。
「数えてみるよ。」
イージスはウォーズのベットの上に座り、札束の数を数え始めた。
乱雑に積まれていた札束は、イージスが数えるため、綺麗に並べて置かれた。
「あれ……? 足りない……? ここにあるのは、ちょうど2億だね。」
「2億!? 報酬は4億だったはずでしょ!? 残りの2億はどこいったっていうのよ!?」
エーデルは、お金が半分しかないことに怒っていた。
アルグレートが腕を組み考察する。
「……2人で分けた、という可能性が高いな。ウォーズと、あと一人、……誰か。」
「誰なのよ?」
「それは、ウォーズに聞けば分かる。」
アルグレートが言った。
それはつまり、ウォーズに拷問するという意味であった。