第3章 『死神を体現せし少女』
宿を叩き出されたので、とりあえず集会所に向かった。
(しばらくはフードを外さず、情報収集に徹しますか……。)
集会所に入り、中を確認する。
長椅子に座る老人と狩人らしき男……後、人当たりの良さそうな青年だ。
「………。」
ふと、青年と目があった。
「ん?どうしたのかな?」
「あ、あの……少しお話を伺ってもいいですか?」
「あぁ、良いが?」
青年から情報を集めることにした。
「その、最近になって田舎から出てきたので……。」
「あぁ……そういうことか。良いよ、お嬢ちゃん。」
「で、では早速……この国ってどういう国なんですか?」
「ん?アルスト王国のことかい?」
青年はしばらく考えたあと答えた。
「まぁ、一言でいうとかなり平和な国だ。……他の国よりは。」
「はぁ……あの、緑髪って不吉なんですか?」
「あぁ、緑髪か……。なんというか、あれは言い伝えのせいでね……。」
「言い伝え?」
青年が知っている言い伝えによれば、緑髪は隣国を滅ぼした者の特徴らしい。
そのせいで世界各地で忌避されているとのこと……。
「あ、ありがとうございました。」
「まぁ、旅をしているなら王都に行くのが良いかな。色々働けるし。」
「さ、参考にしてみます……。」
青年に礼をし、集会所を出た。
そこで………。
「大変だーーーッ!!魔物が来たぞーーーーーッ!!」
門番の衛兵さんの声が響く。
魔物とか物騒な存在がいるのかよ……。
「腕試しとか……するべきかな?」
一応、自分がどれだけできるか……知っておく必要がある。
「衛兵さーーーん!」
「な!?お嬢ちゃん!?何しに来た!!」
「私、傭兵なので……雇ってみませんか?」
「冗談を言ってる場合か!?早く逃げろ!!」
一匹のオオカミが走ってくる。
「はぁ……じゃあ………。」
オオカミに向けて長銃を構え、撃つ。
ドシュッ!!
ヘッドショットだ。もちろん即死。
「……これでもですか?」
「な……なんだ!?魔物が死んだ!?」
ん……?この様子じゃ、銃を知らないな。
「とりあえず任せてください。」
「……わかった。危なくなったら引けよ。」
衛兵に笑いかけて、走りだす。
一気に魔物たちとの距離を詰め、中距離ほどで銃を構える。
ドシュッ!!
一発目で先頭の魔物の足を撃つ。その魔物に引っかかって後ろが転び始める。
≪あの……あれは魔法で焼き払えますよ?≫
「レティ、魔法の使い方を教えてください。」
≪どれほどがいいですか?≫
「あれら全部焼けるくらいので。」
≪それでは、『ルシフェル・フレイム』と唱えてください。≫
「……ルシフェル・フレイムッ!!」
……瞬間、視界全てを『黒』が覆った。
「え。」
理解が追いつく前に、魔物全てを黒い炎が焼き始めた。
「ええええええええっ!!?」
規模がでかい。確かに全部焼いてるけどオーバーキルすぎる。
ビュオッ!!
強い熱風でフードが脱げる。
「……………。」
後ろを見ると、衛兵さんや村人たちが見ていた………恐怖の表情で。
「………死神だ………。」
誰かが、そう呟いた。