第1章 『目覚めと新世界』
甲高い耳鳴りのような音が耳の中で響く……。
音はすぐに消え、木の葉の擦れる音に変わった。
「………うぅ……ここは……?」
ゆっくりと瞼を開け、周囲を確認する。
……木々が生い茂っている。深い森の中のようだ。
「え~っと……レティ?」
≪何でしょう?≫
頭の中に声が響く。
「とりあえず転生したみたいですけど。」
≪そうですね。≫
「……ここどこ?」
≪え~っとですね……………アルスト王国の森林内ですね。≫
ここはアルスト王国というのか。
「どちらに行けば街に着く?いや、人里であれば良いです。」
≪今向いている方に村が一つありますね。その先に王都があります。≫
「そうですか。」
とりあえずはその村で情報収集だ。
≪あと、死神さん。≫
「何ですか?」
≪『ステータス』って唱えたら状態確認ができます。≫
「ふむ……ステータス!」
目の前にやけに近未来的な画面が出現する。
【レイ・シュヴァルツのステータス】
称号:死神
性別:女
年齢:8歳
種族:人間
筋力:444 魔力:444
守備:444 精神:444
幸運:-99
スキル
転生者の知識:前世の知識がある。
壮絶な不運:神に嫌われてるクラスの不運。
女神の加護(発狂):複合スキル。(詳細は以下)
・言語理解 ・女神通信
・能力異常 ・永遠進化
状態異常効果:不老不死。
状態異常
死者の蘇生:所謂、ゾンビ。
……―――以上
「……レティはふざけてるのですか?」
呟くが返事はない。通信切りやがったな。
「………女にするのはなしでしょう……。」
色々ツッコミたいが仕方ない。
「はぁ………自力で頑張りますか。」
ガッ!!
「ひゃっ!?」
村を目指して歩き出そうとした瞬間、何かに躓く。
よろけつつ足元を確認すると……。
「あれ……私の愛銃?」
足元にあったのは前世の私の愛銃だ。エンブレムもそのままだ。
「……これも何かの縁です。この世界でも守ってもらいますよ、相棒。」
自分の背丈ほどになってしまった愛銃を背負い、歩き出す。
森の綺麗な空気を吸う。
「はぁ~……硝煙の匂いがしないって素晴らしいですねぇ……。」
しばらく歩くと森を抜けた。
「おぉ……!」
一面の緑の平原。ポツポツと集落や村がある。
「お、湖発見。姿の確認に使えそうですね。」
走って湖に近づく。
湖面を覗き込むと、そこには薄い緑の髪の少女が映った。
「こ……これが今の私ですか……。」
少々色白すぎるが、意外と可愛かった。
……ちなみに私はロリコンではないつもり。
「しかし、8歳ですか……。色々大変な気もしますが……。」
そんなことを呟きながら、村へ向かった………。