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勇くんと12人の嫁  作者: 夏目八尋
第一章
18/39

第18話

 日の暮れた森の中を、俺達三人は危機迫るジルヴィス村に向かって走っていた。


「法術ってすごいな」

「シ・ル・ク・が、すごいんだよ」


 村を出る際にシルクが掛けてくれた移動力強化の効果は絶大で、俺は今、あの時命がけで争ったエビルボアの突進よりも速く森を駆け抜けている。むしろ普段と勝手が違う視界の見え方に戸惑って慣れるまで大変だった。さらにはもう一つ、俺達に追従しながら行く道の光源となり照らし続ける光の玉、これも同じくシルクの法術によるものだ。本当にすごい。


「術の効果は同じ物でも使用者によってガラッと変わるからねー」

「得意不得意があるんですよ。私は誰かを支援したり回復したりが得意で……」


 雑談を交えながらもアルカとシルクが風のように駆け抜けていく。


「おっと、道はわたしらの通ったところを追いかける感じでついて来て」

「わ、分かった!」


 アルカの言葉に従い俺は二人の通った後を真っ直ぐに追いかけている。が、少しでも気を抜けばすぐに置いていかれそうになる。


(二人とも速い。アルカはともかくシルクも行き慣れてる)


 思っていた以上にシルクの動きは機敏だ。アルカのように小刻みにステップを踏み加速するのではなく、その長い足を活かして一歩一歩を的確に踏みしめている。足の踏みどころが分かっているのとしっかりとしたバランス感覚は流石の村育ち、森育ちだ。


(それに……)


 彼女のローブに入ってるスリットの機能性がよく分かった。ただのお洒落ってだけじゃないのだ。


「………」

「あ」


 ずっと見ていたせいか俺の視線は気づかれていたらしい。シルクが恥ずかしそうにしながらスリットの布地を引っ張った。


「イサム、余裕だねー?」

「ごめんなさい!」


 不意に耳元で聞こえた声に反射的に謝る。気づくとアルカが隣まで下がってきていた。


「でもきっと、それくらい余裕な方が上手くいくよ。ほんと、これからすることって面倒だから」


 ぽんぽんと軽く肩を叩いて、彼女はまた先頭に戻っていった。


「……うん」


 アルカの言う面倒事。ジルヴィス村に迫る危機、突然のデモン兵の襲撃。俺達はその被害を最小限に留めるために今、入り組んだ森の中を走っている。


「出るよ!」


 アルカの声を聞いた直後、俺達はついに森を抜ける。辿り着いたのはキュリオス村に似た畑の一帯で、開けた視界の向こうにはキュリオス村より一回り広く、そして同じくらい平和そうな村の日常風景が広がっていた。


「間に合った、かな?」

「争うような声はしないね」


 立ち止まり、三人で顔を見合わせ頷き合う。やるべきことはある程度道中で話し合っていた。


「まずは村長さんのところだね」

「だね」

「急ごう」


 俺は遠くに見える村の入り口を見つめた。村を仕切る柵の向こうから、とてつもなく嫌な気配が近づいてくるのを確かに感じる。

 この平和な村の風景は間もなく俺の見たことのない色に塗り替えられてしまう。そう思うと自然と険しい表情になってしまっていた。


「行くよイサム!」

「ああ!」

 先を行くアルカに声を掛けられ俺も駆け出す。今は一分一秒も無駄に出来なかった。


   ※      ※      ※


「ええっ? それは本当かい!?」

「はい。街道で巡回兵士を襲撃したデモン兵の一団が、この村を標的にしてるんです!」


 シルクの説明は簡潔で、そして的確だった。


「分かった。すぐに村人に避難を呼びかけよう」

「私達も手伝います!」

「この村、腕っ節がいいのって今どれくらいいるの?」

「狩人のオラン一家と、後は酒場で飲んだくれてる元冒険者のパリスくらいだな」

「あれ、治療院のサニアさんは?」

「ああー、あの子は今腹が出てるんだ」

「わお」

「ランドの奴が上手くやってなぁ……」

「農家の三男頑張ったねー」

「雑談、雑談になっちゃってる!」


 古今東西久しぶりに会った顔はつい話し込む法則はここでも健在だった。いや、これもアルカがさっき言っていた心の余裕を持つための儀式だろうか。現に程よく肩の力が抜けたらしいジルヴィス村の村長の次の動きは早かった。


「鐘鳴らせー! 教会に年寄り子供を避難させろー!」


 100人を少し超える程度の人口だというジルヴィス村には、マナ教と呼ばれる宗教の教会がある。それは村の外れの小高い丘に建ち、ジルヴィス村の中でも最も強固な石造りの建造物で、さらにはある程度魔法に対しても耐性があるように建築されているのだそうだ。

 非常事態を知らせる鐘が鳴り続々と村人達が家から出てきては、不審がりつつも指示に従う。詳しい事情を話すことよりも避難を優先した結果だが、悠長に説明していてはそれこそ最悪の事態を招くだろうし、正しい判断だと思った。


 そう、確かに正しかったが。


「おい、あれ!」


 村の入り口で見張りに立っていた狩人のオランさんが声を張る。


「本当に来た……って、予想より来るの早いぞ!」

「おいおい何か、連中の中の一人全力で走ってきてねーか?!」

「Hyaaaaaaaahhaaaaaaaaaa!!」


 先頭を走る顔面もふもふウサギ頭の男が大声で叫んだ。ぼてぼてとした足の運びからは想像もつかない速さで村の入り口までやってくると次の瞬間、


「È schiacciato!」

「う、おわあああ!?」


 1m以上ある柵を軽々と飛び越え、オランさん達のど真ん中に着地。同時に何らかの魔法を発動させたのか、突如として周囲に吹き上がる突風を起こして入り口の守りについていた二人を派手に吹き飛ばした。


「ええ、何だあれ!?」

「ライカン族っていう獣要素混じってる魔人種の一種!」

「そういうことじゃなくて!」


 年老いた村人の避難誘導を手伝っていた俺はその光景を目の当たりにした。大の大人が二人あっさりと吹き飛ばされる光景は、過去に見た戦争映画で爆弾を放り込まれたシーンに近い。


「イサム、おばあちゃんちゃんと連れてってね! わたし達も後で教会行くから!」


 剣を抜き、アルカが駆け出す。足並みを乱された入り口の人達のフォローに入るためだ。


「È qualcosa da fare, piccola figlia」

「何言ってるのかさっぱりだ、よ!」


 物凄い速度で飛び込んでいったアルカの一撃は、ウサギの魔人種の剣に受け止められていた。


「……っと。おばあちゃん、行こう!」

「は、はい」


 ウサギの魔人種とアルカがぶつかるのを見て、俺はすぐに老婆の手を引き歩き出す。抱きかかえた方が早いとは思ったが、両手を塞ぐのは怖かった。もうここは戦場だ。命のやり取りが始まっている。


「聞いてた時間より早まったのは、やっぱりあれだよな?」


 今も聞こえる鐘の音。非常事態を告げるそれは村を目指すデモン兵達にも聞こえたんだろう。だから村人達がどこかに隠れてしまうより先に辿り着いて、その動きを把握しに来たに違いない。


「となると教会に集まってるってのがバレるのも時間の問題か」


 家捜ししたりして時間を取られればそれだけ町の兵士隊が来るまでの時間が稼げる。人的被害を減らすための最善手だと思っていたが、最初から教会を目指されてしまえばそれも無駄になる可能性があった。


(相手の本当の狙いが分からない以上何をどうしたらいいかってのもさっぱりだけどな!)


 軍としての行動なら何かしら目的があるはず。強盗か、人攫いか、あるいは支配か破壊か。何も分からない状態で考えても意味はない。そんなことは分かっていても頭が空回りし続ける。それも想定して、考えが纏まらなければともかく一番失って困る物、人命を最優先でという決定の元俺達は動き続けた。


「兄ちゃん!」

「すいません、この人をお願いします! あと気をつけてください、デモン兵が来ました」

「本当に来たのか……!?」

「よりにもよってどうしてこの村に!?」


 教会まで来ればすぐ、先に避難を済ませていた男性に老婆を預ける。デモン兵の襲来を告げれば、避難していた住民達の顔に真剣味が増した。だが、理由の分からない襲撃の理不尽さに村人達の動揺も大きいのか、その顔はすぐに不安でいっぱいといった様子になる。


「ああ、家財道具全部壊されやしないだろうか」

「それならまだマシさ、家畜を殺されでもしたら生きられないよ!」

「そもそもここまで攻め込まれたら私達どうなるの!?」


 口々に不満が噴出し始める。それをいかにも教会の神父様といった格好の男性が村長と一緒に必死に宥めて回っていた。


「イサムさん!」

「シルク!」


 同じように避難する人を連れてきたシルクと合流した。アルカがすでに交戦していると伝えると、彼女は心配そうに村の入り口の方を見る。


「大丈夫でしょうか」

「大丈夫、だとは思う」


 彼女が相手をしたのは突出してきた魔人種一人だけだ。そこさえいなせば後は逃げて隠れたりも出来るはず。


(事前に打ち合わせしてたとはいえ、もどかしい)


 三人の中で実戦に耐えうるのはアルカ一人だけだ。俺はもちろんのこと、法術の使いどころの多いシルクであっても、アルカにありったけの補助の法術を掛けた後はもう彼女の傍にいるだけ足手まといになる。


「そもそもわたしみたいな戦い方は相手の攻撃食らった時点で終わりだからね。回復とか悠長にしてもらうより逃げた方が安全だし。自由に戦えるだけ一人のが楽なんだよねー」


 ケロッとそう言ってのけた彼女が、俺には頼もしいやら怖いやらだ。


「ほんと、参っちゃうよねー」

「うわぁっ!?」


 居た。


「とりあえずあのウサギ頭。思いっきりぼこって気絶させておいた」


 そう言って彼女の指を差す方を見れば、そこには意識を失ったまま縛られ無力化されているウサギ頭が居た。どうやら敵の第一波は無事しのげたらしい。っていうかこの短時間で勝った上に縛ったのか。アルカすごい。


「アルカ、無事で良かった!」

「とりあえずはねー」


 見ればさっき吹き飛ばされていた人達も無事にここまで逃げて来れたみたいで、狩人のオランさんは家族と合流していた。


 バターンッ!


「!?」


 遠くで何か重い物が倒される音がする。


「デモン兵?」

「だね。どうやら連中、この村を滅茶苦茶にするのが目的みたいだよ」


 ため息をつきながらアルカが言う。


「相手の本隊が近づいて来たからわたしら逃げたんだけどさ。全然追いかけてくる気配がなかったもん」

「そうだったのか」


 ドンッ!


 今度は何かの爆発する音。


「あれ!」


 シルクの指した場所、誰かの家の倉庫らしき場所が炎上していた。


「何だ、何があった!?」

「教会から出ないでください!」


 大きな音を聞いて不安になった村人の何人かが扉から出ようとするのをシルクが止める。今は少しでも目立つ真似を避けたい時間だ。どうせ時間の問題だといっても、その時間の一分一秒は長い方がいい。とにかく篭城して時間を稼ぐしかないそんな状況で、村の建物をいくらか破壊されてしまうのは残念ながら想定の範囲内だった。


「村人はみんな教会まで避難出来たんだよな?」

「イサムに頼んだおばあちゃんが一番遠いところ住みだからそのはずだよ」

「そっか」


 それを聞いて一安心する。後は、街の兵士隊が来るまでどれだけあれらから被害を減らせるかだ。


「みんなあのウサギみたいに突撃してくれたら楽なんだけどね」


 ノリがいいらしいデモン国の気風も、流石にすべての魔人種に適用されるわけじゃない。


「チラッと見たけどリーダーのオーガ族、あれかなり強そうだったよ。どっかり構えてた」


 オーガ族。角があって屈強な体を持ち、魔人種の得意とする魔術も操るすごい種族らしい。


「出来ればぶつかりたくないな」


 そういう偉い人にはぜひとも本陣に引きこもって大人しくしておいて欲しいものだ。


「そうもいかないんじゃない? だってあれ、略奪じゃなくて破壊が目的っぽいし」

「ううーん」


 いずれはここに来る。それは避けようがない。


「かく乱しないといけないんじゃないか?」

「時間は稼げた方がいいんだよな?」


 家族との再会を終えたオランさんと軽く周囲を見回っていたパリスさんが戻ってくる。


「相手が纏まって動くのが一番厄介だというのなら、地の利を生かして分断させていくのが有効だろう」

「どうだろ。そもそもこの村遮蔽物ほとんどないよね?」


 分断するにしても見渡せてしまっていてはどうとでもなる。少人数同士のぶつかり合いなら尚の事だ。


「どこかで待ち伏せて奇襲する方がまだ可能性があるんじゃないでしょうか?」

「それはもう手遅れだよね。こうやってわたし達集まっちゃってるし」


 次いで口にしたシルクの意見もアルカが打ち消す。奇襲は事前の打ち合わせがものを言う。村を放棄して教会に集まってしまっている以上、今更奇襲を仕掛けようとしても遅いのだと言うアルカの弁に、誰も言葉を返せなかった。


「つまりはもう、既に打つ手がないってことか」

「うん。ってことでさあ引き篭もろうそうしよう」


 俺の言葉にアルカが頷く。この場を取り仕切る彼女の言葉が、今の全員を動かしていた。


「まぁ、やりようがないよね。わたし達じゃさ」


 刻々と変わる戦局で、俺達のような素人は理想的に動くことなんて出来ないのだと痛感する。


「わたしとオランさん、パリスのおっちゃんで二階から弓撃って牽制。シルクはわたし達に支援の法術重ね掛けして。イサムはとにかく村長と神父様と一緒に村人を落ち着かせて」

「分かった」


 勇んでやって来た戦場だったが、俺程度の人間にやれることは本当に少なかった。


(後はもう、町の兵士隊が早く来るように祈るしかないのか)


 それでもやれることは一つでも多くこなしていこうと思う。そんな矢先だった。


「ちょっと、出ちゃダメですって!」

「すまない! 本当にすまない!」


 教会の扉を無理矢理に開けて、30台半ばの男性が外に出ようとしてシルクに止められていた。


「ちょっとおじさん、ダメだって」

「ああ、君は外を見回ってきたんだろう? だったら娘を見なかったか!?」


 シルクを助けようと声を掛けたアルカに、男性は危機迫る表情で問いかけていた。


「俺の娘のカトリが、家を出てすぐに忘れ物を取りに戻ったんだ! 友達と合流してからすぐに来るって言ってたのに、ここにいねぇんだよ!」

「私達、カトリちゃんが来るより先に避難してて、どうなってるか知らないの!」


 男性の後ろにはカトリと言われた娘の友達らしき子達が涙目で訴えている。


「そんな……カトリちゃんが!?」


 それを聞いたシルクも不安そうな顔をした。どうやらカトリは彼女の知り合いでもあるらしい。


「くそう! カトリ! カトリー!」


 我を忘れて飛び出そうとするカトリの父親は他の村人に押さえられ再び教会の奥へと引きずられていく。戦う術を持たない人が出て行ったところでどうしようもないのだと、皆が知っていた。


「ちっ、マズいな」


 無精ひげをこすりながらパリスさんが舌打ちする。


「助けに行くったって、流石に虎の巣に突っ込むような真似は出来ねぇぞ?」

「上手く隠れてくれていればいいんだが」


 オランさんも歯がゆさを露わにして、村の方をじっと見つめる。


「わ、私!」

「シルクがここに居ないでどうするのさ」


 飛び出そうとしたシルクをアルカが止めた。持久戦を前にして法術の助けのあるなしは大きい。その理屈は正しいから。


「でも!」

「シルク、お願いだから冷静になって」

「!」


 この場の誰もが娘の救出には行くべきではない、それは出来ないと考えていた。それでも行こうとするシルクの意思は、しかし戦局に致命的な不利を招く判断になりえると止められた。

 そして状況はここに来てさらに変化した。


「……っていうか、ダメだ。急いで配置につく!」


 アルカが声を張った。そして彼女の視線は空を見上げていた。その視線の先に、そいつは居た。


「Kishishishi……!」


 蝙蝠のような羽を生やした小柄で紫の肌色をした男。シルクから学んだ知識があれも魔人種だと言っている。インプ族だ!


「Pioggia di ghiaccio!」

「みんな避けて!」


 アルカの指示で俺達は一斉に散る。直後、


「うおあああっ!」


 突如として現れ飛来した氷の雨に攻撃される。降り注ぐ氷はどれも鈍く尖っていて、貫通こそしないが頭をかばう腕が容赦なく突かれ痛みを訴える。


「くっ!」

「Fu~!」


 オランさんが迎撃に矢を射るも、それはくるりと華麗に回避されてしまう。それは当然素人の動きではなく訓練されたものだった。


「早く配置に!」

「くそっ!」


 あまり高くは飛べないのかおちょくっているのか、絶妙な高度を維持してインプのデモン兵が魔術を使う。対して位置取りの悪いアルカ達は急いで教会の中へと避難した。


「イサムさん!」


 シルクの声に俺も教会へ足を向け、


「……」

「! え、本気で?」


 一瞬、アルカと視線を重ね、


「……ちょ、イサムさんどこへ!?」


 そのまま踵を返し、シルクの声も無視して丘を下り始めた。それも全力で。


「うわああああ!!」

「イサムさーーーん!」


 声を張り両手を挙げ、一目散に丘を駆け抜け森の中へと突っ込んでいく。


「Haha! È scappato!」


 インプのデモン兵は……追ってこない。


(とりあえず、よし!)


 俺は自分の作戦が成功したことに一先ず胸を撫で下ろす。腕に負った傷を、治癒の法術で癒した。


「名前はカトリ、だったか」


 あの場の誰も出来ないと判断したこと。俺はそれを実行するべくこちらに逃げ込んだ。


「このまま放置してたら、隠れてたとしても家を破壊されるなりして無事じゃ済まない」


 デモン兵の一人があの場所に来た以上、本隊もまずは教会に向かうはず。希望的観測だが今はそれに賭けるしかない。


「助けられるチャンスは今だけだ」


 そしてそれに割くことが出来る人員は、俺だけだ。


「気張れよ俺。その子を助けられなきゃシルクが悲しむぞ」


 俺の目的は彼女達の望みを可能な限り叶えることだ。それを行う以上、ここは飛び込まないといけない危険だと思った。


(正直怖い。でも、カトリって子もあの時のシルク達みたいに怯えているんだ)


 最初に出会った時の窮地にいた二人。あんな顔をその子がしているのだと思えば足は止まらなかった。


「はぁー……すぅー、はぁー」


 深く息を吐いて、ゆっくりと吸う。そしてもう一度吐いて、深呼吸を終える。


「……やるぞ!」


 そうして俺は、冒険を開始した。

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