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後悔と屈辱 sideエミリア

エミリア・メテオスside


テオとの記憶。彼テオドラ・ラバレルはラバレル侯爵家の一人息子で兄の友人として王宮に遊びに来ていたときに知り合った。


テオは、魔法が大好きでいつも兄に魔法の話しばかりしていた。

兄は優秀で欠点など一つもないように見えて実はあまり人と関わりあわない様にしているため両親はとても心配してたようだ。

二人はいつも、分厚い本を二人で読みながらああではない。こうではないと話し合っている。

そんな彼らが、ある日エミリアのところに来た。


「お初にお目にかかります。エミリア・メテオス第一王女様。」


そうテオが口にして私を見たときに私は呆気なく彼に惚れてしまった。


それからというもの、私はテオが王宮に来るたび話しかけた。テオも最初は少し困った様子だったけれど、私に構ってくれて、私にとってその時間が世界で一番に幸せな時間だった。


私が14歳になった頃、両親が私の婚約を決めた。当時の私は自分の結婚相手はテオだとばかり思っていて、違う人だと知ったときは泣いて泣いて、両親に一生結婚をしないとまで言って話を聞かなかった。


そのかいあって私はテオの婚約者になれた。今から考えれば王女という立場でそのような自由が出来る筈もないのに。両親は私の無茶な願いを叶えてくれた。


テオの婚約者になってからの私はテオに似合う奥さんになれるよう色々な勉強をした。


将来テオのお嫁さんになれると思うと全てが光輝いて見えた。

だけれど、そんな私とは反対にテオは毎日苦痛だったのだとおもう。


何せ、私が断った相手が彼と同じ爵位をもつ方で元から彼を目の敵にしており、なおかつ彼の通っている学院の先輩だったからだ。

学院でのいじめなどもあったと聞く。

それだけでなく、私の両親がテオと結婚出来るのは彼が一人前の魔導師として、そして将来侯爵夫人として、エミリアをきちんと迎えれるように、テオの両親や私の両親が認めるまで認めない。という条件を呑まされていたのを知ったのはここ最近だ。

私の婚約は、王家との繋がりやその他にも色々な人の考えや思惑があった筈なのに、私が全てを無視して我が儘を言ったせいでテオに色々な事を押し付けてしまった。


そのせいか、テオと私の仲は恋人や婚約者というよりは、面倒のかかる妹のような仲でしかない。

私個人としては、これでも見た目は悪くはないと思うし、家柄も悪くはないと思う。あまり女の子らしくはないが努力もしたし結果もある程度伴ってきてくれた。

だったら、何故私を妹のように扱うのか?


そんなこと、昔からわかってた。どんなに子供だって考えればすぐ分かる。

私の事をそう一人の好きな女性として見てないからだ。

・・・・いや、見てないのではい。人を好きになるということは考えたり理屈で出来ることではない。わたしはわかってた。わかってたのに。自分の思いが、いつか、いつか、この思いが報われると思っていたのだ。


私はテオの事を諦めることなんて出来ない。22年間も彼を思ってた。努力もした。

彼も、魔法騎士団で一人前の魔導師として頑張っている。大丈夫。大丈夫。


今から思えば、本当に愚かだった。

わたくしは第一王女。彼は侯爵子息。

私の願いを無下に断る何て事はなかなか出来ない立場の人。


わかってた。わかってたのに。

彼が、他の令嬢から恋文をもらったり友達としてと言いながら手作りのお菓子を貰っている所を何度も見た。

「あの、テオドラ様。訓練お疲れさまです。これ、宜しかったら食べてください。日頃お世話になっている方々に配っていて。〃〃〃」


明らかに凝ったラッピングのお菓子に頬が真っ赤な顔。明らかに好意があると言っているようなものだ。

私は、その場を何も言うことが出来ずにただ隠れて様子を見ていた。


彼女は伯爵令嬢で社交界デビューしたばかりの女性だ。

私より若く、可愛らしい。背も小さく守ってあげたくなるような女性だ。


テオドラもどこか嬉しそうに笑っている。でも、


「すいません。王女に悪いので受け取れません。」


そう。彼は毎回こう言って断る。

王女に悪いので。その一言がどれだけ私を傷つけたか。何故婚約者だからと言ってくれないのか。

陰で私が、身分を振りかざして無理矢理彼を婚約者にしたという話はかなり有名だ。


だって、本当の事なんだから。

悲しくて、悲しくて。何年かたったある日、私はその事を彼と同期の魔導師に話してしまった。

けれど、彼女は私の話を誰にも話さずむしろ相談にのってくれた。

私は、この頃彼女を心の拠り所にしていた。彼女はテオの好みやクセ。普段の魔導師としての活躍など、私の知らないテオを沢山教えてくれた。

お互い時間が空いたときにお茶をしたり魔法を教わったりもした。

まだまだ、学ばなければいけないこと

が沢山ある。テオの婚約者として、彼に好かれるよう彼が、私を見てくれる ように。私が、彼を。彼の家族を支えられるようにもう一度、頑張ろう。









そう思っていた矢先にこの、違法な聖女の召喚という忌々しい召喚が行われた。






私の、世界で一番大切な人を犠牲にして。








理由は簡単だ。私が仲がいいと思っていた、彼女。そう。私にテオの事を教えてくれた彼の同期の魔導師は、最初から私を騙すつもりで私に近づいていた。ただそれだけ。彼女の言葉にまんまと騙されて誘拐されて助けにきたテオが儀式の生け贄になってしまった。

ただそれだけ。

本当にわたくしは愚かだ。愚かの極みだ。


「彼女は、この国の第一王女。」


わかってる。わかってるよ。


「無下に扱っていい人ではない。」


私が、私が、悪かった。我儘を言ったから。


「だから、彼女だけは、助けてほしい。」


それは、婚約者としてではないよね。

テオ。


「待って、人質としてなら私の方が役に立つ。彼は、「別に人質にするわけでも見せしめにするわけでもないから大丈夫。」えっ?」


「ただ、大好きな婚約者の最後ぐらい見せてあげようと思って。」


彼女は、私に向かってそう言った。


私とテオは向かい合う様に地べたに座っていて、手足が鎖で拘束されている。


彼は、私に大丈夫。落ち着いて。大丈夫だから、と言ってくれた。

何も大丈夫じゃない。彼を失う訳にはいかない。この鎖は魔法を封じる鎖らしく一切魔法が使えない。手足が千切れてもいい。そう思って鎖を引っ張ったら彼にやめてくれと言われた。

何で、テオがそんな泣きそうな顔で声で私をとめるのかわからない。


自分を過信してた。魔法も剣も勿論その他のことだって、へたに優秀だったから変に自信がついちゃって、今から考えれば彼女のおかしいところはあったはずなのに。


目の前で、彼の手足がなくなっていく所を泣きながら見るしか出来ない私。


「っだ、だい、じ、よ、ぶ。、ェ、ミリァ。」


どうして、どうしてどうして。


手足なんてさっさとちぎって彼のところに行かないと、助けはどうすれば、

何をすればいいのかもわからず私は、

暴れた。手足が擦りきれ血が出ても涙で前が見えなくても。



でも、結局。私は、何も出来なかった。


出来なかっただけではない。彼は今瀕死の状態で、彼女は牢屋の中だ。


その後で知った。彼は違法な聖女の召喚の生け贄にされたということを。


何で、何で、テオがこんなことに利用されなければいけないのか。

怒りや憎しみがわいてきて。でも、私では何もできなくて、悔しくって、情けなくって、辛くってどうしようもなくて。



聖女という存在がなければ、私にもっともっと力があれば。



だから、私は聖女の一人を利用して彼を助ける作戦を考えた。

私では、何をやってもきっと成功しない。だけれど、テオをあんな風に利用してまで呼び寄せた聖女なら、死のうがなんだろうが彼を助けられる手だてをもっているのではないかと。


そう考えて、私はすぐに行動に移した。


彼女は、きっと想像しているよりももっと若いと言うことが一緒にお風呂に入ってわかった。

身長はやはり小さく150㎝あるかないか位だろう。透き通るような白い肌に程よくついた筋肉。バランスがとれた体型をしている。

先程から、私の胸と自分の胸を見比べてがっかりしたようなちょっと嬉しそうな顔をしているが、胸が小さいのを気にしているのだろうか?私は、胸に関しては諦めているが、彼女はさほど大きくも小さくもなくそんなにコンプレックスに思う必要もないような気がするのだけれど。


そして、彼女はよく頭の上にいる鼠に視線を向けている。他から見ていると何か異様な光景だが、このあと私はもっと異様な光景を目にする。

突然、お金が空からふってきたと思ったら社さんが拾った瞬間、物に変化した。二人は満足そうに使っているようだか、私は彼女達?が使っているものは始めてみるものばかりだ。

この人なら、もしかしたらテオを助ける方法を知っているのではないか。そう私は思ったがやはり彼女はこの国のことも魔法も何も知らなかった。


だけれど、私はもう引き返せない所まで来てしまった。もう一人の天道宮と言う聖女より彼女の方がきっとお父様やお母様にも色々言われなさそうな気もするし。何より彼女より可能性がある。

それに、もう一人の彼女はどことなく私とは性格的にあわないように感じられた。だから、彼女に賭けようと。


そう思って、彼女を図書館の一部の人以外が入れない区域まで入れるように手配をし方法を探らせていた。


だけれど、途中でお父様とお母様達にに見つかってしまい、凄い剣幕で叱られた。彼の両親にすら泣きながら叱られた。


「エミリア。気持ちは分からなくもない。テオドラ本人が魔法を発動したわけではないし、もしかしたら助かる道もあるのかもしれん。だが、これ以上は駄目だ。」


「エミリア。もう休みなさい。きっと疲れているのよ。後は、私達に任せなさい。」


テオがあんな状態の時に休めると思うの?

きっと、私の事を心配して言ってくれてる言葉だとは思う。だけど、もうそんなこと一々考える余裕もない。感情が追い付いていかない。


私は諦めることなんて出来ない。諦めたくない。


私は、心配する人達をよそに返事をすることはなかった。




まだ言えてない。





テオの笑った顔が好き。

困ったように怒る顔も、

楽しそうに魔法について話す顔も


彼のやさしい声が好き。

魔法の事になると話す速度かはやくなるところも

本を読みながら、たまに声に出てることに気づいてないところも。


彼の匂いが好き。

薬品の匂いや土っぽい匂い。

どこで何をしてたのかまるわかりで可愛い。


全部。全部。大好き。







だから、ごめんなさい。社さん。







今度、プロローグに社と姫華がこの世界に来る前の日常を書こうと思ってます。



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