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プロローグ

主人公が来る前の世界の話。

広大な土地と高度な魔法が発達した国ティアリス王国。それだけではなくこの国は色々な面で世界有数の力のある国である。


しかし、この国の周辺諸国もまた、世界有数の力のある国であった。


そんな国々で、一番の問題となっていたのは数百年前から増え続けている魔物であった。


魔物は年々増加し続け、また魔物が放つ穢れも多くの問題を発生させていた。そんな魔物はとても凶暴であり、穢れは人間やその他の種族にとりついて、人を化け物に変えたり、人格をかえ今まで優しかった人が家族を皆殺しにしたり、時には国などや友人などをめちゃめちゃにしてそれぞれの友好関係に亀裂を招いていた。

そして今、世界中で穢れや魔物の対処に困った末に国や教会、そして個人の組織として穢れをはらう又は魔物を倒すことを生業とする冒険者や巫女、騎士等を増やしていた。



その中の国の一つティアリス王国には、今現在王子が二人と王女が二人いる。


ティアリス王国は代々男系の男子が跡を次いでおり、次期国王と有望視されている第一王子は建国以来の天才と言われている。


彼は、国の防衛の強化や貴族の汚職問題の解決など色々な分野で若くして実力を発揮している。


そして何より多少貧しいものでも富裕層や通常軍に入らない限り中々学ぶことが出来ない魔術なども学べるように彼は何年もかけて、試行錯誤し今現在その取り組みが次々と実を結んでいっている。

その方法も、中々に面白いもので元は貴族の屋敷などをうまく再利用し、地方に教育機関を設置した上で元から教えていた者に対してさらに高度な教育を施し、次代の世代に受け継いでいくというとても画期的なものであった。


しかし、彼は周りの期待をよそに自分は国王にはなれないと言った。

その事に、国王や王妃を含め国の重鎮たちは驚き、王子を説得するものが今現在も多くいる。


何故ならその理由は、好きな人がいるけれどその人は自分の事は知らないし爵位のある人でもこの国の人でもないからとのこと。自分はその人に重荷を背負わせたくない。という何とも言えない理由だったからだ。



多くの者がいう。色恋沙汰と(まつりごと)を混ぜるのではないと。王妃を迎え子をなすことは王族としての義務だと。何なら妾として側に置けばいいのではないのか。と言うものもいた。

しかし、その時の王子の答えは決まって一つ。

「生涯の伴侶となるものは彼女ただ一人。それ以外の人を伴侶とするならば王位を捨て、爵位もいらない。自分一人で好きな人の心を射止め養っていく。」


そう言ったのだ。

その言葉は、夢見る若者の戯れ言とは到底思えなかった。何故なら彼はそれができる人物だからだ。知力、魔力、政をする能力、交渉力、そして人格的にも優れた彼はそれぐらいやってのけそうなのだ。


そして何より、彼のような人材が他国に行くような事があればそれは火をみるより明らかになるだろう。

そんなことから、彼の周りの者達は今一つ強く行動出来なくなっていた。


しかし、話をよく聞いていくと彼はその人物に会ったこともなく、顔の特徴や名前など全てがわからないという。

初めてその話を聞いたものは何の冗談かと疑いもしたが、やはり疑いようのない事実であった。

それを知った者達は自分の娘や孫を我先にと彼に勧めた。王子の能力や容姿などを知っている周辺諸国の王女までもが彼に長年アピールしていたが、カレが靡くことは一切なくもしやと思ったのか近頃では王妃に近い年齢の女性までもが彼にアピールする事態にまでなっていた。


そんなある日、事件が起こった。


とある社交界でいつものように第一王子は美しい令嬢に囲まれていた。

第一王子は社交界の場では基本女性よりも男性と話をし情報を探ったり実状を聞くことが多いが彼とてそればかりか優先させるわけにはいかない。


やがて、ダンスが始まり第一王子も踊り始めた。


今、第一王子と踊っている美しく可憐な少女、隣国のニネ・デダリア・タリタス 第一王女は今現在第一王子にぞっこんであり彼の外堀を埋めるためあの手この手で策をねっている。


第一王子は、聡明で思慮深い為それにあわせて会話が弾むよう工夫をしていた。いまだってそうだ。


「王子。実は最近我が国では新しく特産品を作ろうという政策を心みてますの。」


「それは、いい試みですね。我が国でも取り入れたい位だ。」


「うふふ。そう言って頂けると嬉しいですわ。」


「いえいえ、本当の事を言ったまでです。実際にどんなものを特産品にしようとしているのですか?」


「ええ、実は今品種改良した果物を売り出している途中でして、これから色々な方法でこれを広めていきたいんです。」


「果物ですか。それはいいですね。」


優雅に踊りながらも二人ともまるで立って話をしているように会話をしていた。そんな二人に一人の女性がぶつかった。


そう、誰がどう見てもわざとではないかと思えるような動きで。


ドンッ。バシャ。


王子は王女をかばい、王女に飲み物がかからないようにした。


「怪我はないですか。ニネ王女。」


「はっ。はい。」


そう王女が応え王子に口を開こうとしたところで、

「あっ。す、すいません。」


そう言って、ぶつかった彼女は謝ってきた。王女は少し不服そうな顔をしていたがすぐに表情を元に戻した。彼女は謝ったはいいが王子の服にはべっとりと飲み物がかかっておりせっかくの正装が台無しになっていた。


「お構い無く。それよりもあなたはお怪我はなさっていませんか?」


「あっ。いえ、大丈夫です。」


「そうですか。貴女に怪我がなくてよかったです。

もし、体調が悪いようでしたら別室があるので使って下さい。」


「本当に申し訳ありません。また今度御詫びに行きます。」


その光景を見ていたニネ・デダリア・タリタスは表情が固まっており、周りの貴婦人方も唖然としていた。


彼女は、このティアリス王国に留学に来ている女性なのだか、余り評判がよくなかった。

彼女は、ニネ・デリタス・タリタスと同じ国の出身であり、身分は公爵令嬢というものでこの国の王とこの公爵は旧知の仲であったため、見聞を広めるためという名目でこの国に留学させてもらっていた。



というのもこの公爵令嬢に関わると国の重鎮達の息子(美形に限る)が婚約者をほったらかしにして彼女に熱をあげるという大惨事が自国で多発したのだ。

そのせいか、彼女は自国の彼女を知る女性に嫌われており、彼女に惚れた者は皆使い物にならなくなってしまっているため、急遽対策をした公爵は何と彼女の兄が留学しているティアリス王国に彼女を留学させるという事態を起こしてしまったのだ。

これは、彼女が公爵に願い出たことであり、本来ならこのような状況でかつ女性である彼女が留学などと公爵は思ったのだが彼女が涙を見せると普段の公爵からは考えられない態度になってしまい、他の者の意見を無視し意地で意見を通したのだ。

無論、ニネ・デリタス・タリタスはもう反対をしたが国の重鎮達がもしかしたらあの第一王子をこちらの国に引き込めるのではと言い出し、結果彼女はこの国に留学している。

しかし、彼女が留学しているのはこの国の女学院。つまり女性しかいないのだ。だから気を抜いていたのだ、舞踏会位ならと。


そして、王子が服を着替え再び戻ったときに何とこの公爵令嬢は人目もはばからず王子に声をかけた。


「王子。先程は私の不注意で、大事なお召し物を汚してしまい本当に申し訳ありません。」


「いえ。大丈夫ですよ。ラブ・ユハマ公爵令嬢。」


「まぁ。私の名前を知ってるんですね。」


「ええ。貴女の父上は国王と旧知の仲でしたので、当然貴女がこちらに留学していることも存じ上げています。」


「そうなんですか。でも、少し残念です。もっと個人的に覚えてて欲しかったです。」


そんな二人の会話を聞いていた会場の人々は分かりやすく顔をしかめた。

特にニネ王女は顔色を悪くして唖然と立ちつくしてしまった。

もし仮に彼女が社交界に出たばかりの女性でかつこのような醜聞がなければここまで周りはおもむろに態度には出さなかっただろう。

なぜなら、彼女は、自分の名すら名乗ってなかったのだ。

しかし、王子は彼女の顔をたてて、その事をなかったことにしたにも関わらず彼女は彼に非礼を詫びようともせず自分をもっと個人的に気にかけてくれと言ったのだ。


いくら、隣国の公爵令嬢といえど初めて会う王族の方にとっていい行動ではない。ましてや相手は建国始まって以来の天才と言われている第一王子。

確かに彼は婚約者や浮わついた話は一切なく運命の人とやら以外とはけして結婚しないと言っているが、それがなければ間違いなく彼は次期国王だ。


優良物件過ぎてはっきり言って少し怖いぐらいだ。


しかし、王女の考えをよそに王子が彼女に放った一言に会場の話し声は一切やんでしまった。


「はは。お気持ちありがとうございます。」


「からかわないで下さい。」


「からかってはいませんよ。ただ、一つだけお聞きしてもいいでしょうか?」


「??はい。どうぞ。」


「私に、そう言う手の干渉をこれから先してほしくないのですが、それは貴女の意思ではどうにもならないのですか?」


「えっ???」


「いえ。何と言いますか、私は今貴女に好意を持っているのですが。それは」


「好意だなんて。冗談でもそんなことを言われると照れます。」


「そうですか。」


「はい。もしや王子は」


「兄上。ちょうどよかった。・・・・あっ。申し訳ないお話をしている途中だったかな?」


「えっ。あっ。いえ。王子さっきの話なんですが、王子が私に好意を持っているのならば、もしかしたら私は、貴女の探していた女性だからという可能性も考えられませんか?」


ニネ王女は、ラブの言っていることを止めなければいけないのにあまりの事に何も出来ずにいた。

第二王子に言葉をほとんど返さず、かつこのような所でこのような発言・行動はあまりにも、異様だ。


「そ「兄上、では行きましょう。」」


そう言って、彼は兄を無理矢理引きずって行った。



それからというもの。彼女が王子やその他の有力者候補などとあまり会えないように周りは動いた。



彼女は、この事をきっかけに周りから白い目で見られ、公爵家に帰っていった。










ここに出てくる。男を魅了する彼女。

今後も出てくる予定です。

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