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短編の短編

■グロい話


 男性器が何ちゃらかんちゃら〜。


 そんな言葉がふと耳に飛び込んできたので、声のヌシを捜すと同じ課で働くうら若き乙女の田所さんであった。


 「そう言えば、そんな事をブログに書いてましたよね?食べちゃったとか」


 同じく一緒に働く石崎君が私にそう言った。


 男性器……食べちゃう?


 そう言えば、男性器を切り落とした人の提供により行われた、男性器を食するパーティに対して、所轄の保健所が怒っているというニュー速のスレに対してコメントをしていたのを思い出した私だった。


 「あぁ、あれは食べているところの画像も見たよ」


 「これですよ。これ。私は見れませんけど」


 田所さんは愛用するIPhonを石崎君に付きだして、一生懸命見せようとしていたのだった。


 「僕だって、見たくないよ!! 何でそんなの見ないといけんとですか!!」


 「普通に料理していたね。薄切りウインナーを焼いたような感じで、元の形は想像できなかったけど」


 「そう言えば、海外かどこかで、裸のオッサンが、裸のオッサンに食べられる事件がありましたよね」


 「え?殺されたの?」


 「いや、顔が半分無くなっちゃったらしいけど、重症とか」


 「顔が……?」


 「物理的に顔と呼べるものが無くなっちゃったんだって。んで警官が制止しても食べるのを辞めないから射殺されたそうだ。動画も見たけど足しか見えなかったな」


 「もうバイオハザードかと!!」


 「加山雄三ならナイフ一本でタイムアタックとかしそうだけどね」


 「なんでそんなスレばっかり見てるんですか!?田所さんもだけど?」


 石崎君は呆れたように言った。


 「普通?」


 「普通じゃないですよ!!普通の人はそんなの見ませんよ!!だいたい、アンタは自分を基準にして普通とか言わないで下さい。一般的な普通からすでに遠く離れてしまっていますから!!」


 「そうかなぁ〜ネットじゃ平均値だと思うんだけどな」


 「違いますから!!」




■負け犬達


世の中を二つに分けてみたとして、勝ち組と負け組みがいるとするならば、どう考えてみたところで、私が負け組みであるということは、間違いないことであるように思う。


「その考え方が既に負けているんですよ」


と、田所さんが言う。


「そうやって逃げ道を用意しておく事によって、自分と言うものを守るわけです。良くならないなら、せめてこれ以上、悪くなりたくない。そんなところじゃないですかね?でも現実と言うやつは残酷で、現状でさえ最悪までの途中経過でしかないと言う」


「むしろ、とことん落ちてやるみたいな?」


「そう言うことは言うもんじゃないですよ。もっと人生前向きに考えなきゃダメですから」


あぁ、田所さんはまだまだ勝ち組なのだ。


まだ若い彼女は、いくらでもやり直すチャンスはいくらでもあり、未来はまだまだ広がっているのである。


「そう思ったこともありました……でも、今は遠い昔の話です」


「水前寺さん!!(怒)だから、そう言うこと言うんじゃねぇってばよっ!!」


「ごめんなさい」


ちょっと素の出た田所さんであった。


しかしそんなことを言われたところで、現実と言うやつはどうしようもないのである。


もう、まいっちんぐである。


「でも考えてみれば負け組みという存在がいるからこそ、勝ち組という存在があるのであって、両者はどちらかが掛けたら存在しないことになる。ならば、そんな世界なんて滅んでしまえばいいのに」


私は遠い目をして言う。


「なんかどこかで聞いたエヴァンゲリオンみたいですけれど、世界は水前寺さんだけのためだけに存在しているわけじゃないですからね。どちらかといえば切り捨てられることになるのは負け組みである私らのほうで間違いありません。カット、リストラ、そんなもんですよ。せいぜい」


何気に酷い事を言う田所さんであった。


こんなささやかな会話なのだけれど、世の多くの人々が似たような話をどこかしこでしているのではないかと思う。


 中には異常に前向き、ポジティブシンキングな人を見かけるけれど、社会的に成功しているならばそれも理解できるが、どう考えてもお前は俺と同じ世界の人間じゃないかと思う人がいる。


認識していないのは本人だけであって、その空回り感を何かほかのエネルギーに転換できたら、夏場の電力不足も解消できるのではないかと思うくらいである。


気がついている負け犬は、いい負け犬だ。


気がついていない負け犬は、悪い負け犬なのである。




■トイレ


 「最近はどこもかしこもトイレが綺麗なんですよ。かえってトイレが使いづらいくらいに。なんでも綺麗なトイレの方がお客さんが入るとかで」


 そんな事を仕事中に田所さんが言っていた。


 「まぁ、綺麗なトイレの方が、確かに汚いトイレよりもいいけどね。たまに住めるんじゃねぇか、このトイレ?と思う事があるけどね。僕の部屋より綺麗だと」


 石崎君がそれに答えている。


 ここは斜め上を行ってこそ年の功というものである。


 「トイレと言えば、公園の多目的トイレでエッチをする高校生がいて、そのトイレに自治会から注意書きが貼られた上に、夜間閉鎖されたトイレがあるそうだよ。中が広いからラブホ代わりに使われるとかで」


 私はネットで目にした知識を披露する。


 「まじですか。でもお金無いいですからね。高校生は。家じゃあずましくないだろうし。だから多目的トイレと言う事なんでしょう。まぁ、僕の地元では人がいないので野外という選択肢はあるのですが」


 「青姦ですか!?」


 石崎君の話題に田所さんがヒットしたようだ。


 「道東だと少し住宅地から離れたら、そこは未開の大自然ですからね。背丈より高い草がぼうぼうに生えてますから、どこでも好きなときにやり放題ですよ」


 「公道だって車も滅多に通らないところがあるだろうからな。路上でも可能だな」


 「前略、道の上よりっていうAVが出来そうですよね。困るのは夏場は虫が多くて、冬場は凍死する危険があると言う事くらいです」


 「でっかいアブとかいるからな。大事なところが刺されたら、それはそれで3倍速だな」


 「マジですごいですよ。汗もかくから寄ってくるわ、寄ってくるわ。ミツバチで髭が出来ちゃう写真を見た事があるけれど、あんな感じです」


 「虫除けスプレーは必須だね」


 「後は雨ですかね。5月末でも雪が降る歳があるくらいですから、夏場でも冷えるんですよ」


 「そこは雨天決行だろ」


 「どんなイベントなんですか」


 「ところで……」


 「はい?何ですか?」


 「何でそんなにリアルが充実してたんだい?」



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