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鬼頭真琴の場合 01


第二章 鬼頭真琴きとう・まことの場合



第一節


 紆余曲折あったが、橋場の部屋である。


「…もう隠しても仕方が無いんで言うな」


「…」


 可愛らしいデートルックで自分のベッドに座っている同級生の彼女…というシチュエーションなら心ときめき胸躍るものなんだろうが、彼女の仏頂面はとてもそんな雰囲気ではない。


「オレたちは…とりあえず「メタモル能力」と呼んでる…能力があって、それで「自衛手段として」対戦相手を女にした上で、着替えさせることが出来るんだ」


「…」


 無反応だ。


「最初に話しかけたきっかけを覚えてるか?あのストーカー男だ」

「…(頷く)」

「あいつもオレがメタモル能力で成敗したんだ」

「…はぁ?どういうこと!?」

「その…オレたちは能力者同士だと試合が終われば基本的にお互い元に戻れるんだ。けど、能力を持たない一般人相手だと…」

「まさか…戻れないってんじゃないよね?」

「…戻れない」

「…あの人…女にしたの?」


 少し考えたがここまで話したからには仕方が無い。


「ああ」

「一生戻れないんだよね?」

「…多分な」

「…信じらんない…何考えてるの?」

「仕方がねえだろうが」



第二節


「だってその…男が女になるんだよね?一生」

「ああ」

「もしかして…それで『行方不明』ってことになってるっての?」

「…そうだろうな」

「そんな…お姉ちゃんに何て言えばいいの…」


 がっくりと肩を落とす美夕。

 「お姉ちゃん」とは従姉妹(いとこ)のお姉ちゃんのことで、行方不明になったマッチョの行方を心配していた。


 だが、美夕がそれ以上追及しようとしないのは、結果的にストーカー被害がそれで収まったこともあるのだろう。


「その後に「メタモル能力者」同士の腕の試し合いを知ってしまい、その世界に巻き込まれることになった」

「…」

「黙っててすまない」

「しょっちゅう女になってるの?」


 いきなり鋭い切り込みが来た。


「いや、今まで負けたことは…練習試合以外では一回しかない」


 気まずい。これは気まずい。


「ひょっとして、あの友達たちもメタモルファイト仲間なの?」


 斎賀や武林たちのことだろう。美夕も何度か会ったことがある。


「…ああ」


 沈黙。


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