謎の少女の場合 06
第十三節
「あ…」
いつの間にか上半身を覆う布は極端に少なくなっており、肩には細いひも状のそれがあるだけだった。
生地は真っ赤になっており、乳房を丸く覆いつつも谷間に切れ込むそれは表面に絶妙な皺をよらせ、光沢を放っている。
少し動くだけで長い髪が背中の素肌をさらさらとなでる。
…背中が殆どむき出しになっているようだ。
「は…しばくん…」
「ほーらっ!」
ぐるん!という勢いと共にストン!という感じで下半身に触れていた内側の生地も全て離れた。
「ああっ!」
だがその生地は再び戻ってくるかの様に橋場の生まれたばかりの乙女の柔肌に吸い付き、セクシーなプロポーションを浮き上がらせた。
「…これは…」
ぐぐぐっ!とスニーカーの裏側が持ち上げられる。
一瞬前につんのめりそうになった。
白いスニーカーはあっという間に紅く溶けて行き、光沢を放つハイヒールとなっていた。足も小さくなっていたのでブカブカではあったのだが、足の両端からぎゅっ!と握りしめられる様に細長くまとめられていく。
つつーっとワンピーススカートにはスリットが上がって行く。
間違いなかった。
橋場は大胆に背中の露出した身体にぴったりのラインのパーティドレス…ナイトドレスとかカクテルドレスとかいう姿の妙齢の美女にされつつあるのだ!
「俺の能力は街中で使うには向いてなくてよ…お前ら制服組がうらやましくてな…」
そりゃそうだろう。こちとらセーラー服の女子高生とかブレザーの女子高生とかだ。活動するための普段着の役割も十分に果たせる服装である。
それに対してこれは水商売の女性と言っても通りそうなセクシースタイルである。
「き…さま」
当然声も女になっているのだが、心なしかいつもよりも低めに落ち着いている印象だ。年齢設定は二十代半ばというところか。
「こんどこそ仕上げだ」
第十四節
さらさらさらっ!と長い髪の毛が生き物のように動き、まとまって行く。
「流しとくのも悪くねえけどよ。こっちの方が好みでな」
背中やら身体の前に流れていた黒髪は頭上にまとまっていく。アップスタイルヘアに整えられているのだ!
「あ…」
きゅっ!ときつめに結ばれ、表面に何かのオイルが塗られているのか更に光沢が入った。
むき出しになった首筋のセクシーさは正に「大人の女」の魅力だった。
何となく甘い香りがする。
顔の表面がぬらぬらしてきた。
「これは…」
覚えがある。この間のスチュワーデスにされた時やらだ。め、メイク…まで…。
うっすらと頬が染まり、まつ毛が重くなる。
チリン!と音がして耳たぶが重くなる。
…こ、これは…イヤリングだあぁっ!
柔らかそうな唇にぬら~っとくすぐったいような感触が覆っていく。口紅を塗られているのだ!
「ほれ、完成だ。綺麗だぜ?」
「あ…ああ…」
メイクが完璧にきまっているせいか、元が男子高校生…橋場英男だったことなど全く感じさせない、赤いキャミソール形状のセクシーナイトドレスのワンピースに身を包んだ美女がそこにはいた。
両手を縛られて吊り上げられているため、両方の腋の下が全開になっている。
対戦相手の男にならともかく、デート相手の女の子に観られている屈辱のためか、苦悶に歪んでいる様に見える表情がよりセクシーだ。
「…」
美夕はずっと目を見開いている。その視線が痛い。
リーゼントがやっとそばにやってきた。
「ふん」
興味深そうにじろじろ見ながら周囲をぐるぐると回る。
「ほれ!」
ピラリと橋場のスリットの入ったスカートをめくり上げた。
「ああああっ!」
ドレスに合わせた真っ赤なパンティ部分が、ドレス内側のドレスと同じ真っ赤な色と共にリーゼントと美夕の視線にさらされた。




