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鬼頭真琴の場合その2 25


第五十二節


「うん、大体仕組みは分かった」


 まるで『男の子に戻った』みたいな恰好になる真琴。


「あらあら。可愛いね。男の子…じゃないよね?」

「うん。生まれた時からずっと女だよ」


 妙な会話だ。


「ふーん…でも…女の子ならおめかししないともてない…よっ!」

「鬼頭!気を付けろ!」


 パシイ!とセーラー服女の腕を取る真琴。


「はいそこまで」

「っ!?何で!?あんたメタモルファイターだよね?」

「そうそう」


 呉福妹うー・ふーめいの能力は触ったならば必ず自動発動してしまう。手を取ってもそこからチャイナドレス姿にさせられるはずなのだ。


「ちょっと!離して!離しなさいよ!」


 何故か被害者みたいな言い方をするセーラー服姿のウー。手を離す真琴。


「どういうこと!?」

「相手の同意要らずで条件を押し付けるってことに関しちゃあたしの方が一日の長があるってこと。不意を衝かれたんならともかくハッキリ分かってんだから頭の中で「お断りします」って言い続けるだけだよ」


 …なんてこった。真琴の特殊な性能は特殊系に対してもちょっとした応用を効かせるだけで対処してしまった。


「こーゆー人たちと仲良く戦ってる訳だ…橋場くんたちは」

「…こいつは特別だよ」

「…なんでいつまでもそうやってチャイナドレス着てんの?まことみたくさっさと戻ればいいじゃん」

「それは…その」


 確かにウーの能力は発動こそ任意ではあるが、本人にやる気が全く無いので持続力が全く無い。慣れたメタモルファイターなら簡単に「相手の試合放棄」を意識することで戻れる。戻れるんだが…。


「鬼頭!今から試合いいか?」

「…?どゆこと」

「同意してくれ」

「何それ?早くも一戦やらかそうっての?」

「いや、そうじゃなくて…」

「いいから戻んなさい!」


 とっくに別れたことになってたとばかり思ったんだが何故か怒鳴られている橋場。

 渋い表情で「男」に戻った。


「やれば出来るじゃん。何ですぐに戻らないの?そんなにチャイナ着てたいんだ…?」

「それはだなあ」

「うりゃっ!」

「うわわわわわっ!」


 また不意を衝いて後ろからドン!と押された橋場は、今度は首元だけを覆い隠したホルターネックみたいな形状の大きく背中が開いたセクシーチャイナドレス姿の美女にされていた。

 同時につつーっ!と背中を人差し指で撫でられてしまう。


「あっ…」



第五十三節


 思わず悩ましい表情で力が抜けてしまう。

 お団子に固められてアップにまとめられた髪型と、一瞬にして再び形成された美女のフルメイク+イヤリングの媚態がよろめいた。


「や、やめろ!やめろって!」


 腐ってもメタモルファイターであるウーは後ろから前に回り込むと「ぶわり!」とスカートを跳ね上げる。


「いやああああーっ!」


 セーラースカートの様にプリーツが入って変形しやすいからめくりやすいのではなく、余りにも深く入ったスリットによって、ワンピースロングスカートはまるで「前後に一枚ずつの板状の布を垂れ下げた」様な形状になってしまっているのだ。

 だからこそほぼ真上にめくることも可能となる。


 慌てて両手でスカートを押さえつけるが、今度はウーは背後から全く同じ要領でスカートを天高く舞い上げた。


「きゃああああーっ!」


 両手で前のスカートを押さえていた橋場は完全に無防備な状態で「スカートめくり」をモロに食らっていた。

 その視界の先にいた美夕は、チャイナドレスと同じ真っ黒なパンティに包まれた「女のグラマーな尻」を背後からモロ見せにされてしまった。

 同時にドン!と吹き飛ばされるセーラー服女。


「きゃっ!」


 もんどりうって倒れ…はしなかったが尻もちをつくウー。こちらもスカートがめくれあがって白いものが見えたが余りそそられなかった。


「ゴメン。殺すつもりないんで加減が分からなくて」

「いや、いいよ」

「理解遅くて悪い。対戦成立で」

「よっしゃ」


 ぼうん!と元に戻る橋場。

 橋場‐真琴ラインの対戦が合意されたので、前の対戦の変身状態である「チャイナドレス」状態がキャンセルされたのだ。


「おばさん、続きやる?」


 よっこらしょ…と言いながら長いスカートを踏まない様に苦労しつつ立ち上がるウー。


「やるわけないでしょうが。あたしは武闘派じゃないんだから」

「?つまりどういうこと?」


 流石の真琴も理解が追いつかないらしい。



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